赤根洋子のレビュー一覧

  • 米中海戦はもう始まっている 21世紀の太平洋戦争

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    自分自身はパンダハガーでは全くないが、オバマ的な対中協調を重視する考えがあったのは事実。本書を読むとそれがいかに甘いかを実感させられるような事実が示されている。
    米海軍の太平洋部隊の歴史から始まり、1995年の台湾海峡危機と中国海軍の発展、2001年に起きた海南島事件、2013年末に南シナ海で遼寧とその周囲の揚陸艦との間に起きたカウペンス事件、2014年のリムパックに情報収集船が現れた事件、同年8月のポセイドン事件など。
    それに対して力をつける米海軍の話も出ていて、ズムウォルト級、レールガン、無人艦上戦闘機、海軍の増強に乗り出すトランプ政権についてなど。

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    2018年08月24日
  • 科学の発見

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    非常に面白い。
    一刀両断が心地良い。

    難点は余計な訳注が本文中にあること。訳注がないと分からない人だとこの本は読み切れないのではないか?

    オランダの出版社「エルゼビア」を「エルゼビール」と書いてしまうあたりで翻訳者の馬脚が現れている。

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    2016年08月18日
  • 無人暗殺機 ドローンの誕生

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    [無人革命]ヨム・キプール戦争、ユーゴスラビア内戦、そしてアフガニスタンとイラクにおける対テロ戦争を経て、今や軍事の構図を変えた感のあるドローンの歴史と、それに携わった人々の歩みを記した作品。傍流中の傍流だった技術や考え方がいかに革命をもたらしたかが詳述されています。著者は、国立航空宇宙博物館の研究員や「ダラスモーニングニュース」の記者を長年にわたり務めたリチャード・ウィッテル。訳者は、英語と独語の翻訳を多く手がける赤根洋子。原題は、『Predator: The Secret Origins of the Drone Revolution』。


    無人機が本格的に実践投入されてからまだ日が浅い

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    2015年11月11日
  • 無人暗殺機 ドローンの誕生

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     現時点でドローンの定義は明確ではないが、本書ではプレデターとして知られる軍事作戦に用いる無人偵察機、無人攻撃機の発案から開発、採用、実用に至るまでを記したノンフィクションである。よく、ここまで実名を出したと思えるほど、多くの個人名が出てくる。
     有人パイロットの集団である空軍には嫌われ、予算や軍官僚組織に阻まれ、開発には苦労してきたことが良く分かる。
     まずは長時間飛行、偵察、遠距離リアルタイム操作、照準、ミサイル搭載と技術的に1歩1歩進んできたが、飛翔体としての進歩よりも、それを使いこなすための技術の進歩の方が大きいのが特徴である。そのなかでもソフトウェアの役割がかなり大きそうだ。
     本書

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    2015年06月14日
  • 無人暗殺機 ドローンの誕生

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    米軍がアフガニスタンやイラクで運用している無人機「プレデター」がどのような経緯で開発されていったのかを辿るノンフィクションです。1980年代、敵情偵察は人工衛星と有人偵察機が主な手段でした。人工衛星は情報を得たい場所を連続して監視する事ができず、有人偵察機は常に撃墜されるリスクがありました。それを補う手段として無人偵察機が開発され、1990年代のボスニア紛争で大きな効果を挙げます。2000年代に入り、9.11テロを受けてアフガニスタンでの対テロ作戦でビンラディンを発見しながらも、攻撃する事ができなかった教訓から、無人機の武装化が進みます。テクノロジーの発達と国際情勢からの要請がタイミングよく合

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    2015年05月16日
  • 無人暗殺機 ドローンの誕生

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    アメリカのテロとの戦いには無人機が多用されているのは皆様ご存知の通り。
    本書はその無人機の開発史をテーマにしており、第四次中東戦争で苦戦したイスラエル空軍のニーズを満たす為、イスラエル人天才技術者エイブラハム・カレルが開発を始めたレーダー欺瞞用の囮が、やがて無人機プレデターの誕生とその実戦投入へ結び付いていった過程が解説されています。

    色々と興味深い内容が多かったのですが、最も印象的だったのが、

    ・静止画像を高く評価していた軍偵察部門から受けた過小評価や空軍パイロットからの軽視、新技術の実用化に伴う法的課題の浮上等の文化的・法的な抵抗

    ・地球の裏側から人工衛星経由でコントロール可能になる

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    2015年03月08日
  • 直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

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    著者のデシルヴァはダートマス大学人類学部教授。ボストン科学博物館でサイエンス・エデュケーターをしていた経験もあって、人類の直立二足歩行をめぐるよもやま話、トリビアが満載。脳科学や文化史への言及もある。かなり広く多様な議論を紹介している。逆に、情報量は多い分、メリハリに欠けるのが難。
    研究者としては、2019年のラエトリの足跡遺跡の再調査にも参加している。その結果を受けて、ヒトの直立二足歩行の進化は漸次的・直線的なものではない可能性を指摘している。(日経サイエンス2023年6月号、デシルヴァ「覆る直立二足歩行の進化史」参照。)

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    2025年09月23日
  • 世にも奇妙な人体実験の歴史

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    数々の人体実験チャレンジに挑んだ過去の人物の挑戦内容を紹介する本書。その中に見覚えのある名前”ジョン・ハンター”。この人は以前読んだ『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(河出書房)で覚えていたのだが、かなりの変人だだった。それと同列の、とにかく危険よりも好奇心が勝るチャレンジャーたちの挑戦の数々が、読みやすい文章で綴られており、なかなか面白い。
    それにしても患者の嘔吐物を飲むという行為を行う気持ちが理解できない…。

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    2025年07月16日
  • 直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

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    めちゃくちゃ面白い。
    そもそも進化して人類が直立二足歩行になったのではなく、人類とチンパンジー等の共通祖先がもともと直立二足歩行に近い形で歩いてて、ナックルウォークする類人猿の四足歩行がむしろ進化したのではないか説。

    信憑性がある。

    個人的にはサヘラントロプス・チャデンシスのあの感じも類人猿だと思ってるので、ただただ「直立二足歩行」をヒトの定義にしちゃったのがいけないんじゃないですかね?

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    2024年08月13日
  • 直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

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    人類学の最新の学説(著者関与の者含む)に基づき、進化の系統樹が多方向であるという事例を「ホミニン(ヒト属)においても同様である」としつつ、直立二足歩行こそ、ヒトをヒトたらしめた要因であると紹介した著作。

    読後に自分の二足歩行を確かめずにはいられなくなる本。

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    2023年01月11日
  • 世にも奇妙な人体実験の歴史

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    自分の体を使った人体実験を紹介した本。知的好奇心と探究心画一線を超えると、人はこうなってしまうのかと驚き、とても興味深く読みました。そこまでやるか!自分の体にそこまでできるものなのかと、驚いているうちに読み終わってしまった。凄く面白かった。

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    2022年09月15日
  • 科学の発見

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    ネタバレ

    とてもざっくりと言ってしまうと、遥か紀元前5世紀のギリシャ物理学から21世紀の現代に至るまでの、「科学」もしくは「科学と呼ばれ、みなされたもの」を概観する「科学分野の歴史書」であり、もう少し細かく言うと、過去に「科学者」と呼ばれた人たちや理論への批評的論考、でもある。刊行された際、歴史家や哲学者から猛反発を浴び、大論争を巻き起こした本らしいが、むべなるかな。

    特に科学界や哲学界に拘りも誇りもない、いち読者として読むならば、本書はとても面白い。古代を扱う1章から8章、中世を扱う9章と10章あたりは、学校の物理や世界史で習った(ような気がする)様々な散らばった知識を、「科学の発展の歴史」という一

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    2022年06月26日
  • 世にも奇妙な人体実験の歴史

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    ある治療や医薬品などの効果を立証するには、最終的にはいわゆる臨床試験をするしかないわけであるが、この臨床試験とは別の言い方をすれば人体実験である、と言い換えることができる。

    もちろん、現在の臨床試験については厳密なプロトコルが定められ、安全性への最大限の配慮がなされているため、人体実験という言葉からイメージするような危険性は排除されているわけであるが、ともあれ、医学の発展というのが人体実験と共にあった、というのは一つの医学史の事実である。

    さて、本書は医学の発展のためにそんな人体実験を、主に自らの身体を差し出して実施した医学者たちの姿を描くノンフィクションである。こう書くとかなり硬い本のよ

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    2022年03月27日
  • 科学の発見

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    著者のように物理学をやっている人から見たら,科学哲学など,科学研究の推進力にはならないと考えるでしょうね。例えば,ギリシャ自然哲学(アリストテレスなど)にはかなり手厳しい感じがします。でも,「現代アート」はそれまでのアートがあってこそなのと同様,それがなければもっと早く科学が展開してきたかというとよく分からないのではないかと思います。「巨人の肩の上に立つ」という時の巨人に含めるべきものを現代の科学の視点で評価してみようという感じでしょうか。

    やっぱり,「(厳密な)理論と実験の両輪」ですよ。

    宗教と科学の論争についても「歴史は繰り返す」という印象を持ちました。今は「エビデンスベイストに関する

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    2022年01月24日
  • 米中もし戦わば 戦争の地政学

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    かなり前に読んだ本。現状の米中を中心とする国際関係をわかりやすく描いている。若干、中国の脅威を過大評価している気がしないでもないが、分かりやすく、知識がない人でも読みやすい。これからの国際関係を知りたいと思う人は必読すべき本である。

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    2021年07月13日
  • 世にも奇妙な人体実験の歴史

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    「自己実験という危険な行為を成し遂げた、偉大なる奇人に捧げるウィットに富んだ賞賛」

    語り口が軽妙で楽しく読めた。正義感や好奇心が振り切れると人間はここまでできるのか。先人たちに感謝。

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    2021年03月26日
  • 米中もし戦わば 戦争の地政学

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    トランプ政権の補佐官を務めたナバロの著作。政治家としては行動が稚拙で、調整ができない感じの人だったが、本書の質問形式で論点を挙げて解説していく手法は読みやすくよく出来ている。トランプ時代の対中安保政策の背景思想がよくわかる。

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    2021年02月16日
  • 闇の脳科学 「完全な人間」をつくる

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    忘れられた天災、ロバート・ヒース。
    今でいう脳深部刺激療法を50年前に独自に開発して統合失調症を治療していた。

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    2020年12月03日
  • 闇の脳科学 「完全な人間」をつくる

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    ネタバレ

    精神症状における脳深部刺激術の歴史と、その中で消された存在となったヒースの半生をまとめたルポです。題名から胡散臭そうな印象を与えてしまいようですが、真っ当な内容です。脳深部刺激術はパーキンソン病などの治療で現在普通に行われる手術ですが、精神症状の治療のために1950年代から試行錯誤されていて、その歴史が忘れられたものであるは驚きでした。精神症状が脳から生じるという共通認識がない時代にはタブーであったのでしょうか?それぞれの時代の治療を後から批判するのは簡単でしょうが、多くの研究者はその時のベストを尽くしていたと信じています。

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    2020年11月06日
  • 世にも奇妙な人体実験の歴史

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    人体実験、というとマッドサイエンティストだとか、戦時中の非人道的な行為、というイメージが先行する。
    確かに本書に出てくる実験はそういったものもある。
    だが、それを、なかったことにできる?
    自分に関係ない、と言える?
    誰にだって程度の差はあれ、興味はあるでしょう?

    私は空気抵抗の実験をしたことがある。仮説はこうだ。
    パラシュートが安全に脱出できるのなら、傘でも空気抵抗を実現できるはずだ。
    そして私は駐輪場の屋根から傘を両手に持って飛び降りた!
    最悪の結果にならなかったが、端的に言えば失敗した。
    他にも、「アルコールの摂取量による消化器官と判断力の変化に対する考察」を行ってみたこともある。
    が、

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    2020年05月09日