赤根洋子のレビュー一覧
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自分自身はパンダハガーでは全くないが、オバマ的な対中協調を重視する考えがあったのは事実。本書を読むとそれがいかに甘いかを実感させられるような事実が示されている。
米海軍の太平洋部隊の歴史から始まり、1995年の台湾海峡危機と中国海軍の発展、2001年に起きた海南島事件、2013年末に南シナ海で遼寧とその周囲の揚陸艦との間に起きたカウペンス事件、2014年のリムパックに情報収集船が現れた事件、同年8月のポセイドン事件など。
それに対して力をつける米海軍の話も出ていて、ズムウォルト級、レールガン、無人艦上戦闘機、海軍の増強に乗り出すトランプ政権についてなど。 -
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[無人革命]ヨム・キプール戦争、ユーゴスラビア内戦、そしてアフガニスタンとイラクにおける対テロ戦争を経て、今や軍事の構図を変えた感のあるドローンの歴史と、それに携わった人々の歩みを記した作品。傍流中の傍流だった技術や考え方がいかに革命をもたらしたかが詳述されています。著者は、国立航空宇宙博物館の研究員や「ダラスモーニングニュース」の記者を長年にわたり務めたリチャード・ウィッテル。訳者は、英語と独語の翻訳を多く手がける赤根洋子。原題は、『Predator: The Secret Origins of the Drone Revolution』。
無人機が本格的に実践投入されてからまだ日が浅い -
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現時点でドローンの定義は明確ではないが、本書ではプレデターとして知られる軍事作戦に用いる無人偵察機、無人攻撃機の発案から開発、採用、実用に至るまでを記したノンフィクションである。よく、ここまで実名を出したと思えるほど、多くの個人名が出てくる。
有人パイロットの集団である空軍には嫌われ、予算や軍官僚組織に阻まれ、開発には苦労してきたことが良く分かる。
まずは長時間飛行、偵察、遠距離リアルタイム操作、照準、ミサイル搭載と技術的に1歩1歩進んできたが、飛翔体としての進歩よりも、それを使いこなすための技術の進歩の方が大きいのが特徴である。そのなかでもソフトウェアの役割がかなり大きそうだ。
本書 -
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米軍がアフガニスタンやイラクで運用している無人機「プレデター」がどのような経緯で開発されていったのかを辿るノンフィクションです。1980年代、敵情偵察は人工衛星と有人偵察機が主な手段でした。人工衛星は情報を得たい場所を連続して監視する事ができず、有人偵察機は常に撃墜されるリスクがありました。それを補う手段として無人偵察機が開発され、1990年代のボスニア紛争で大きな効果を挙げます。2000年代に入り、9.11テロを受けてアフガニスタンでの対テロ作戦でビンラディンを発見しながらも、攻撃する事ができなかった教訓から、無人機の武装化が進みます。テクノロジーの発達と国際情勢からの要請がタイミングよく合
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アメリカのテロとの戦いには無人機が多用されているのは皆様ご存知の通り。
本書はその無人機の開発史をテーマにしており、第四次中東戦争で苦戦したイスラエル空軍のニーズを満たす為、イスラエル人天才技術者エイブラハム・カレルが開発を始めたレーダー欺瞞用の囮が、やがて無人機プレデターの誕生とその実戦投入へ結び付いていった過程が解説されています。
色々と興味深い内容が多かったのですが、最も印象的だったのが、
・静止画像を高く評価していた軍偵察部門から受けた過小評価や空軍パイロットからの軽視、新技術の実用化に伴う法的課題の浮上等の文化的・法的な抵抗
・地球の裏側から人工衛星経由でコントロール可能になる -
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ネタバレとてもざっくりと言ってしまうと、遥か紀元前5世紀のギリシャ物理学から21世紀の現代に至るまでの、「科学」もしくは「科学と呼ばれ、みなされたもの」を概観する「科学分野の歴史書」であり、もう少し細かく言うと、過去に「科学者」と呼ばれた人たちや理論への批評的論考、でもある。刊行された際、歴史家や哲学者から猛反発を浴び、大論争を巻き起こした本らしいが、むべなるかな。
特に科学界や哲学界に拘りも誇りもない、いち読者として読むならば、本書はとても面白い。古代を扱う1章から8章、中世を扱う9章と10章あたりは、学校の物理や世界史で習った(ような気がする)様々な散らばった知識を、「科学の発展の歴史」という一 -
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ある治療や医薬品などの効果を立証するには、最終的にはいわゆる臨床試験をするしかないわけであるが、この臨床試験とは別の言い方をすれば人体実験である、と言い換えることができる。
もちろん、現在の臨床試験については厳密なプロトコルが定められ、安全性への最大限の配慮がなされているため、人体実験という言葉からイメージするような危険性は排除されているわけであるが、ともあれ、医学の発展というのが人体実験と共にあった、というのは一つの医学史の事実である。
さて、本書は医学の発展のためにそんな人体実験を、主に自らの身体を差し出して実施した医学者たちの姿を描くノンフィクションである。こう書くとかなり硬い本のよ -
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著者のように物理学をやっている人から見たら,科学哲学など,科学研究の推進力にはならないと考えるでしょうね。例えば,ギリシャ自然哲学(アリストテレスなど)にはかなり手厳しい感じがします。でも,「現代アート」はそれまでのアートがあってこそなのと同様,それがなければもっと早く科学が展開してきたかというとよく分からないのではないかと思います。「巨人の肩の上に立つ」という時の巨人に含めるべきものを現代の科学の視点で評価してみようという感じでしょうか。
やっぱり,「(厳密な)理論と実験の両輪」ですよ。
宗教と科学の論争についても「歴史は繰り返す」という印象を持ちました。今は「エビデンスベイストに関する -
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人体実験、というとマッドサイエンティストだとか、戦時中の非人道的な行為、というイメージが先行する。
確かに本書に出てくる実験はそういったものもある。
だが、それを、なかったことにできる?
自分に関係ない、と言える?
誰にだって程度の差はあれ、興味はあるでしょう?
私は空気抵抗の実験をしたことがある。仮説はこうだ。
パラシュートが安全に脱出できるのなら、傘でも空気抵抗を実現できるはずだ。
そして私は駐輪場の屋根から傘を両手に持って飛び降りた!
最悪の結果にならなかったが、端的に言えば失敗した。
他にも、「アルコールの摂取量による消化器官と判断力の変化に対する考察」を行ってみたこともある。
が、