さやかのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一鬼夜行シリーズ第六弾・第一部完結の「鬼が笑う」。
過去の出来事から孤独と孤立を選び、己だけで生きていくことを選んだ喜蔵。突然現れた小春との日々が、少しずつ解きほぐしてゆく中、意固地になっているかのように思えます。
一方、猫又の長者との決戦が近い小春も、喜蔵たちを危険に巻き込まないために孤立を選びます。
互いに他者との関わりを断とうとする二人。その思いの根っこは違うけども、同じ行動をとってしまう彼らが、「鬼が笑う」で経験した出来事によってどう変化するのか。
喜蔵の変化の方が大きくわかりやすく、やっとここまで来たか、という感想になる。彼が過去の出来事でどんな傷を負ったのかは描かれていても、こ -
Posted by ブクログ
一鬼夜行シリーズ第五弾「鬼の祝言」。
タイトルから想像したのは、ついに喜蔵と綾子の縁結びが叶ったのか。ということは、これでシリーズも終幕なのか、でした。
いやいや、それはないでしょうという結末。
祝言の相手として登場したのは、家の因縁に囚われでいる初という女性。彼女がなぜに喜蔵を選んだのかは終盤で明かされるわけですが、ここが別れ話になってしまうのはいいとします。こう言っては何ですが、初自身の記憶感情はどうあれ、読者としてはぽっと出の女性に靡くのは違うよね、というところです。
いくら金持ちだからって、引き出物が豪華だからって、フローラ選ぶのは違わないか?というのに近い。
しかし、その後の顛末 -
Posted by ブクログ
一鬼夜行シリーズ第四弾「枯れずの鬼灯」。
物語のキーとなる妖怪としてアマビエが登場するのですが、コロナ禍以前の2012年初版なので今ほど知名度高くなかったのではないかな。コロナ禍の妖怪界隈におけるアマビエブームは、熱狂というものだったように思います。あれで一気に認知度上げたと思います。真VVにも出演しましたし。
ただ、コロナ禍でのアマビエのイメージで読み進めると、なかなか面食らう役回りだと思います。
まあ、だいぶ真VVのキャッチーなアマビエイメージがついてしまっている自分なので、正常な判断ではないのですが、不穏さが漂っているんですよね。
ひょうきんな意味合いも感じられる妖怪という種族でなく -
Posted by ブクログ
百鬼夜行から零れ落ちてしまった鬼、小春と、人間なのに鬼のような顔をしている喜蔵のお話。
とにかく小春のキャラがいい。やんちゃで人をくってって小面憎くていつもお腹を減らしていて、ヒトではないのでヒトよりも少し高い位置からヒトを見ている。
河童の弥々子は妙にリアルで、河童がほんとに居たらこんな感じかもって思わせました。
喜蔵の周りで起こる妖怪騒動といってもそんなに大事件はなく、ヒトとヒト、ヒトと妖怪の関わり、情とつながりがお話のメインです。
表紙の絵はちょっと優しすぎて喜蔵のイメージと違う気がしましたが、小春はきっとあんな感じ!もし続編が出たらぜひ読みたいです。 -
Posted by ブクログ
明治初期、強面で人嫌いの若商人・喜蔵の家の庭に、小生意気な少年・小春が落ちてきた。自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼」と主張する小春と、喜蔵は嫌々同居することとなる。
かなり巻を重ねているシリーズの1作目ですが、今回初読で、作家さんも初めての方。ほかにも感想で書いている方いらっしゃいますが、なぜか序盤すごく読みづらく苦戦してしまいました。慣れるとすらすら読めるんですが。
今調べたら漫画も出ているようで、試し読みで「強面の喜蔵」がすごい美青年でびっくりしました(笑)
メインのストーリーとしては、人間と妖怪の人情噺です。
妖怪よりも妖怪らしい、強面不愛想な喜蔵が、鬼の小春と共に妖怪がらみの事件にに -
Posted by ブクログ
江戸から明治へと移り早5年。初めて参加する百鬼夜行に浮かれていた子鬼の『小春』は、突如商家の庭先へ落ちてしまう。その家の主は、妖怪よりも恐ろしい顔をした『喜蔵』という男で…
ジャイブ小説大賞受賞作。
長く続いた江戸の風情を色濃く残しながらも西洋の文化が混在する、人と妖とが違和感なく混在できる時代。
明るく快活で、一見人の幼子のようにしか見えない妖怪と、無愛想で人に心を開かない若い男が同居するはめになる。そこに町の人や他の妖怪も巻き込んで怪奇を解決していく…となれば、おのずと進む方向は見えて来る感じ。二人が絆を繋ぎ、特に喜蔵がどう変わって行くかを描くのかという点に尽きると思う。で、そんな話。
-
Posted by ブクログ
読みも読んだりシリーズ5弾の6冊完結版、全体を通してみれば「面白かった!」となるのだがそれと同じくらいに「え、これで終わりなの!」という感も強いのが正直なところなのである。
前の巻では広げた大風呂敷を纏めに締め上げるところで結び目からこぼれる云々の例えをしたのだが今回は風呂敷が破れてしまったような気がする…巻を追うごとに登場した結末への鍵を握るであろう人と妖たちはいったいどこへ行ってしまったのだろう(最終巻でも更に登場した猫たちはスピンオフにつながるようだが…)
最後は酷評になってしまったがこの作家さんはあらゆる面で上手いと思う、それだけに企画を膨らませ過ぎたことが残念でならない
第二部へ -
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾4冊目…そろそろ物語の行方を定める時期に来ているのだがエメルさんの生真面目さというかサービス精神の旺盛さというかそんかところが裏目に出てしまったような気がする。
話を盛り上げ深みを増していくために登場人物の過去を遡るのはよくある手法なのだがそれをサブのキャラクターまで拡げてしまうのはいかがなものだろう、言い換えればそれらは伏線ともなるだけにこれから収拾していくためにはかなり難しくなると老婆心ながら思うのだが…
よきお手本の鬼平犯科帳のようにシンプルに一話完結としていくほうが読み手もわかりやすい、書き手も描きやすい、そしてなにより主人公が活きてくる