乾ルカのレビュー一覧

  • モノクローム

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    冬の日に、母親に見捨てられた少年。彼は、施設で暖かく見守られて育ちながらも、そのわだかまりの記憶を胸中に抱え続けていた。やがて彼は信頼できる友達と出会い、ゆっくりと一歩ずつ前に踏み出していき、過去の自分、そして母親の真実と向き合う覚悟を抱いていく、とう物語。
    囲碁を話のキーとしてはいても、物語の重心は息子と母親の間の葛藤。
    一人称で訥々と繰り返される主人公である彼の独白は、きりきりと痛ましいのだけれど、少しばかり、重すぎるように感じました。敵が周りにいるのではなく、自分が高い壁を作っているというのは、彼の境遇を思えば理解はできるのですが…。
    エピソードほとんどが「壁を作る」「自覚する」「内省する」の繰り返しばかりなので、少し辛く思いながら読んでいました。コーラの話は少しホラー化と思いました…作者的に。
    それでもユニークな友人の力添えもあって何とか踏み出していき、ようやく、ほっとしたものでけしてした。
    終盤にきっぱり別れを選択した母子の姿は痛ましいし、母親はやはり身勝手だと感じてやみません。あの対局時に集中力を乱した理由、というのを考えると、「優先するもの」が違っていただけということになるのでしょうが、その意識は、あまりにも、残酷だと思うのでした。
    彼がこの別れ以降、真っ当に進んでくれることを思うばかりです。

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    2014年08月30日
  • メグル

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    大学の学生部の不思議な女性が斡旋するアルバイト5つの話。

    1番目の話がなかなかホラーで印象的だった分、その後の話はややインパクトに欠けた。でも、最後のメグル、が1番綺麗な余韻があった。

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    2014年08月03日
  • モノクローム

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    母親に捨てられた経験から、人を信じることができず、何事もネガティブな捉え方をする青年が、天真爛漫な友人と過ごすうちに少しずつ成長していく。碁石と写真のモノクロームがタイトルの由来。
    主人公が引きずっていた突然捨てられた理由は、最後に明かされる。が、やはり母親の行動は安易な責任放棄にしか見えない。もう少し、母親の立場を掘り下げて描いて欲しかった。

    作者の作品では、「夏光」と「四龍海城」がいい。

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    2014年07月18日
  • モノクローム

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    2014.7.15.三月半ば過ぎの寒い日、沖田慶吾の母親は五つばかりのパンを置いて出て行ったきり帰る日を一日過ぎても戻って来なかった。寒さとひもじさに我慢ならず、慶吾は寒い日によく撫でに行っていた犬の小屋にもぐりこみ、犬の餌を食べ老犬の暖かい毛の中で一晩を過ごした。翌日、その家の人に見つかり、児童相談所に連れていかれ、そのまま施設で育てられることになった。施設で18まで育ち、優秀なことから地元の信金に採用された慶吾だが、ずっと孤独な境遇のままだった。一人の風変わりな友人香田をのぞいては…。母はなぜ、自分を捨てたのか、いろいろなことを乗り越えるうちに、その疑問に真正面から向き合おうとする慶吾の成長の物語。

    読み応えがある深い話だったことはたしかです。ストーリーとしては五つ星。でも、実際問題として慶吾にとってはよかったと思いますが、慶吾の母親は何がとうあっても許せないし、理解できない。なぜ、作者のこの母親の描き方はちょっと想像を超えていました。子供の18年は長いし、誰もが慶吾のようにかしこく内省できる子供とは限らない。それを導いてやるのが大人の責任ではないかと思いました。その点で三つ星。

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    2014年07月16日
  • モノクローム

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    乾ルカ作品初読み。
    初読み作家が増えております(笑)
    囲碁のことはよくわからないけれど捨てられた子供と捨ててしまった母親がお互いに相手と自身に赦しを与えるストーリー。
    幸せでなければ赦し合うことなどできないのかもしれない。

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    2014年07月16日
  • あの日にかえりたい

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    人生の分岐点
    そんな過去の『あの日』に色々な角度から触れ合う物語

    忘れてしまいたい『あの日』
    やり直したい『あの日』
    懐かしい『あの日』
    楽しかった『あの日』

    現実ならば心の中でしか思い出すことのできない『あの日』
    戻ることなど絶対に叶わない『あの日』へ旅立ちます

    ファンタジーならでは
    とっても温かい物語の数々

    あなたも忘れていた『あの日』を思い出すかもしれませんよ

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    2014年06月17日
  • プロメテウスの涙

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    原因不明の奇行をする女の子、何の病気なのか。そして、死なない死刑囚、なぜ全身ガンに冒されて死臭を放っても生き続きるのか。

    女性医師二人の固い絆が、日本とアメリカでそれぞれ起きている奇怪な現象の謎を解いていきます。なかなか面白かった。

    ホラーに属する作品のようで、S16の描写がエグいのだけは、ちょっと苦手。

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    2014年06月14日
  • あの日にかえりたい

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    変幻自在な作風が特徴の作者らしい、日常と非日常が絶妙に交差する「あの日」をテーマにした短編集。
    お気に入りは表題作。まさしく「あの日、あの時」が強烈な印象を残す。誰もが思い浮かべるが、誰も実現できないのが「あの日」に帰ること。小説の表現が自由に広がるテーマだけに、作者の力量も試される。本作の余韻は清々しい。

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    2014年06月01日
  • あの日にかえりたい

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    第143回直木賞候補作。
    なるほど候補作。惜しい。
    短編集であり、2つほど素敵だなと思うものがあったが、あとは退屈だった。
    文章はうまく、好きなので、長編を読んでみたい。

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    2014年05月04日
  • メグル

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    ヒカレル、タベルは綺麗にオチがついて面白かったなー。それ以外は読み物として退屈はしなかった。ただ、「短編連作」という触れ込みと「メグル」というタイトルから全話通してのストーリーがあるものだと思っていたのだけど、なんてことはない、ただの「短編集」で、少し拍子抜け。

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    2014年03月25日
  • メグル

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    うーん、不思議な世界。ヒカレルは半身浴しながらなのに寒くなるような話。モドルは現実にありそうな大切な話。アタエルは誰もが持ってしまいそうな毒の話。タベルは最後に救われた話。メグルは不思議な話。すごいなーこんな話書けるの。感想書くのは難しいけれど(笑)

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    2014年03月04日
  • メグル

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    思っていたより全体に暗く重たい。第1話の恋愛要素は引き継がれないし。で、面白かったのは唯一の「行くべきじゃないわ」回でした。予測はなんとなくつくけれど、イヤな感じが嫌ーなまま締められていっそ小気味いい。

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    2013年12月02日
  • プロメテウスの涙

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    遠く離れた日本とアメリカで起こる不可思議な事象。偶然、関わった女性医師が奇跡を呼ぶホラーサスペンス小説。
    非科学的で非論理的だ。某ガリレオ先生なら、この現実をどう推理して解決に導くのだろう。

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    2013年09月30日
  • メグル

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    フォンタジー仕立てのミステリーと言うジャンルでいいのだろうか。なぜ学生課の謎めいた職員はそのアルバイトを紹介したのか、最後に明らかになる理由に必然性はなく、あくまでもフォンタジー。そこが作品の魅力だろうが、個人的にはパターン崩しの作品の後味の悪さがとても印象的だった。生肉を食べたのは誰かと言う結末にはぞっとする怖さがある。

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    2013年09月15日
  • あの日にかえりたい

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     過去や未来の「あの日」をテーマに6編を収録した短編集。

     設定は各短編違うものの、展開は似たようなものが多いのでもう少し展開にバリエーションがあるともっと星は高かったかなあ、と思います。

     そうは思ったものの、とても感動的で力のある短編もあります。地震にあった子どもが不思議なおばさんに遊んでもらう『翔る少年』

     話のもとは1993年に起こった北海道南西沖地震らしいのですがやはり今読むと東日本大震災を思わずにはいられません。なんとなく先は読めたものの先が読めるからこそ、安心して感動できた、という一面もあると思います。

     『夜、歩く』は雪の日だけ散歩をしているおばあさんと一人の女性の交流の話。

     最後のおばあさんの一言が非常に効いている話でした。心にまっすぐに届いてくる短編だったと思います。

     この二つの短編が非常によかったです。

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    2015年02月23日
  • 四龍海城

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    えー。なんか納得いかないー。
    だから、星四つ。

    最後に、健太郎が思い出せなかったのは貴希のこと。でも、それが大切な宝物であることは記憶してた。
    その後、家について、覚えているのか、夢だったと思うのか。までは書かれていないから。でも、城を出たところでは、貴希のこと以外、関のことも天野さんのことも覚えていて…だから、貴希は考えすぎていたのか?
    本当に全てを忘れてしまうのなら、門番が、ここのことは話すなと言うことは矛盾するし。
    でも、気付いてしまったかとも。

    なんか…希望。だったんだと思うけど、出城料は、なんか…ここまで、読者に希望を与えて、あの結末、そりゃないよって思うの。出て、2人かそれぞれ忘れてしまっても、以前よりも何か変わった筈だと思うから。

    まぁでも、読者の思うとおりにならないのも、また本なんだけど、ね。

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    2013年03月22日
  • プロメテウスの涙

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    映画のカッコーの巣の下でを思い出した。
    ジャックニコルソン、出世作。
    1975年。
    科学ではわからない、こういうことはあるように深く想う。

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    2013年03月20日
  • 夏光(なつひかり)

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    【夏光】乾ルカ/ 虐げられた人間の悲しみが漂う、ノスタルジックで摩訶不思議な物語。『夏光』『夜鷹の朝』『風、檸檬、冬の終わり』が良かったです。

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    2012年08月09日
  • 夏光(なつひかり)

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    表題作はオール讀物新人賞受賞のデビュー作。
    残酷でグロテスクではあるが、ホラーというにはイマジネーション豊かで美しく切ない短編集。
    ベストはやはり戦時中を舞台に二人の少年の運命を描いた表題作。喬史の目にはどんな世界が映っていたのか。
    それと、匂いで人の感情がわかる少女を語り手に据えた「風、檸檬、冬の終わり」。つらく哀しい話だが希望を感じさせる終わり方が泣けた。

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    2012年03月30日
  • 四龍海城

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    ネタバレ

    <内容>
    日本領海内にありながら、その存在を認められていない不気味な塔「四龍海城」。そこに閉じ込められた2人の少年同士が交わす友情とほの暗い冒険の物語。

    <感想>
    不穏な城、内部の町、感情を失った城人たちなど、細かい設定がなかなか面白いファンタジーだった。物語の鍵である「出城料」については結構早い段階で気付いてしまい、また、そこから最後の結末までもなんとなく予想がついてしまったのがちょっと残念。ただ、それでも貴希と健太郎の友情の描写が眩しく綺麗で、だからこそわかっていてもラストは切なかった。

    読んでいて共感を覚えたのは、2人の少年よりも関という登場人物だった。貴希や健太郎よりも後から入城しながら、2人を明るく励ましつつ未来への道標を立ててやる人物として描かれており、読んでいて気持ちのいいキャラクターだったように思う。末っ子だからこそ、歳若い少年たちを前にして兄貴面をしてしまうメンタリティみたいなものもちょっと自分に似ていて、中盤は関と自分を重ねながら読んでしまった。思えば自分は主人公たちよりも関のほうの年齢に近く、彼のように少年たちに良い影響を与えていかねばと反省する次第。

    ともあれ、少年たちの友情や関を含めた3人のやりとりが妙に温かく微笑ましい一冊だったと思う。

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    2012年03月12日