乾ルカのレビュー一覧

  • コイコワレ
    ※評価はすべて3にしています

    螺旋プロジェクト。私が読んだ中では4冊目。

    身分制度が形式的になくなった後、強調されるのは差別。そこにさらに集団心理が強調された。
    物語の構図が対立から学びに変わる過程はあまりに見事。

    ストーリーではないが、方言を文字ですんなりと読める表現にも驚く。
    特に宮城や山...続きを読む
  • 水底のスピカ

    人に言えない秘密を抱える3人の女子高生。

    一人は痛みを隠して周りに敢えて溶け込み、
    一人は平凡を蔑み孤独を孤高に置き換え、
    一人は鎖を達観したかのように背を伸ばす。

    違いを嫌悪する心と特別を切望しする気持ち。

    水中に揺蕩う泡沫のような儚さと、
    自他を傷つける諸刃の剣のような危うさ。

    さま...続きを読む
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクト、昭和前期編。
    太平洋戦争末期、舞台は東京と仙台。
    蒼い目を持つ聡明な小学生、清子は、その目の為に周囲から奇異な者として扱われ悲しい思いをしてきた。空襲を避け、仙台の山村に疎開。そこで、犬の様な耳を持つ、寺の養い子リツと出会ってしまう。
    彼女らは、お互いの存在を認めた瞬間から憎悪か、...続きを読む
  • 龍神の子どもたち
    一昔(ふた昔くらいか)前のニュータウン開発と地域の伝統との対立に巻き込まれる子供たちの話。
    冒険譚の色合が強い。
    ニュータウン側と地元の間でいがみ合っていたが、災害に遭い、乗り越える中で次第に打ち解けあって結束を深めてゆく。
    ドラえもん映画のような団結感で乗り越えてゆくのは、懐かしさすら感じます。
    ...続きを読む
  • 水底のスピカ
     北海道立白麗高校2年8組。
     校内カースト、マウンティング女子が幅を利かせる世界に投じられた一石 ―― 東京からの転校生 ―― 汐谷美令。
     和奈、美令、更紗、そして萌芽、清太の物語が和奈、更紗、美令、萌芽、それぞれの一人称で語られてゆく。


    「人の秘密は借金みたいなものだよ。連帯保証人になる覚...続きを読む
  • 水底のスピカ
    札幌市の公立高校を舞台にした友情と過去のトラウマや家族のあり方を描いている。転校してきた才色兼備の美令、クラスカーストの上位にいる更紗、田舎から出てきて一人暮らししている和奈、後男子二人を加えた5人の視点で語られ、それぞれの悩みがお互いを成長させていく。若々しさが眩しい青春物語。男子二人がとても爽や...続きを読む
  • 水底のスピカ
    自分は特別ではないただのモブだはないのか、、。わかるー!学生の時そんな思い抱えてたなぁ。色々高校時代を思い出して読みました。
    震災表現出てきます。でも大半は青春群像劇。
  • 六月の輝き
    色々な方面から見た2人の話で進んで行く構成?は面白かったが、切ない?やり切れない?そんな気持ちが残る。他の本も
    読んだみたくはある。
  • 水底のスピカ
    窓から白樺並木が見える札幌の高校。
    美令が「私、神様の見張り番をしてるの」と言う。
    高校生時代の、微妙なカーストが難しいところに転校してきた美令。
    美令を含む3人の友情が、良いものになっていく過程が、清々しくて青春。
    修学旅行が楽しそう。
    スピカは五連星。
    男子2人を入れて、自由行動組も5人。
    星座...続きを読む
  • 水底のスピカ
    海って身近に感じてるようで、高校生まではけっこう縁遠かったわ。あのころチャリしか乗れないから、10キロは離れてる海辺まで自走して行くのは辛い。でもやっぱり山より海に憧れた。あの大海原と水平線を眺めてるだけで気分が晴れる。潮風と磯の香りが心地いい。岩場で潜れば海底の神秘に高揚し、三次元を浮遊する愉しみ...続きを読む
  • 紙魚の手帖Vol.07
    秋永真琴『ファインダー越しの、』:創刊号に載ってた『フォトジェニック」の森島さんが再登場で嬉しい。まだ続きがありそうで楽しみ。ただ、私は、完全に森島さんの興味対象外の「素朴な(婉曲表現)男性たち」たる「みやっちさん」側の人間なんで、ちょっとへこむ。
    「自分は写真写りが悪い」という認識に「いやいや、だ...続きを読む
  • わたしの忘れ物
    主人公、大学生の中辻恵麻
    アルバイト先、忘れ物センターでの出来事のはなし。

    6篇で成り立っていて
    妻の忘れ物
    兄の忘れ物
    家族の忘れ物
    友の忘れ物
    彼女の忘れ物
    わたしの忘れ物
    エビローグとなっている。

    忘れ物センターに忘れ物を受け取りに来る人たちの話と共に、主人公、絵麻の生活も流れていく。

    ...続きを読む
  • 心音(しんおん)
    難しい作品だと思いました。

    ーあなたはまるで、人の死を自分の幸福に変えて生きているようだ。募金活動で得た1億5千万円で命を救われた少女・城石明音。その苛烈な半生を、周囲の人間の目を通して描いた社会派エンターテイメント!ー文庫帯より。

    1億5千万円の募金で真面目に順番待ちをしていた人たちの列に割り...続きを読む
  • 龍神の子どもたち
    助け合うことや、お互いを思いやることでわかり合えることって沢山ある。敵対ばかりしていたら見えるものも見えなくなる。
  • 四龍海城
    切ない。苦しくなるラスト。
    でもそれが美しく尊い…

    だいたいの謎解きができた後も、ラストはどうなるのかとハラハラ。
    序~中盤の説明文が長くて挫折しそうになったけど、最後まで読んで良かった。
    泣いた。
  • わたしの忘れ物
    表紙の「lost and found」という英語タイトルが良いなと思った。
    おもしろいけど好みかと聞かれたら返答に戸惑うであろうこの設定。
    ちょっと厳しめな★3つかなー。
  • 妖し
    地に足がつかない。結末は、個々に委ねられる。短篇でしかたないけど、展開の変化や末路に至る解説を欲してしまう。不自由な自分に星3つ。
  • 紙魚の手帖Vol.02
    ★★★『羅馬ジェラートの謎』米澤穂信
    小鳩くんと小山内さんの掛け合いが楽しい。テンポが私と友達の会話に似てて少し親近感。
    だんだんと気がつくのだが、手がかりは、あちこちに散りばめられている。
    それも?え?それも?そうつながる?
    ハラハラドキドキはないが、納得できる結末と…ちょっとした余韻が、癖になる...続きを読む
  • わたしの忘れ物
    ショッピングセンターの忘れ物センターでバイトする恵麻が、そこの社員の水樹が忘れ物の由来などを見事に推理するという形式のミステリーなのだが、実は恵麻自身が、という意外な展開をするのだが、全般的に推理内容が難しくてストンと落ちない。
  • わたしの忘れ物
    忘れ物センターが舞台の6つの短編。

    乾ルカさん、こういう話も書くのか~、と、読み始める。
    少し作りこみすぎなストーリーもあったが、心温まる話や切なくなる話もあって、何となく違和感を覚えながら読み進め…。
    最後の
    「わたしの忘れ物」を読んで、
    あ~、やっぱり~、となった。
    そうでなくては、ルカさんら...続きを読む