乾ルカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
螺旋プロジェクトで知った作家さんの他作品も読んでみようプロジェクト。
家賃激安のボロアパートは各部屋に地縛霊付き。一室ごとに住人と地縛霊の関係性を変えながら、日常に絡む怪異、心温まる小話集…と思わせて、大きく振れていく心理描写はそこに収まらない。優しさや善意と同じくらい、怨恨や悪意の冷たい描写が巧み。
後半の種明かしから結末までは急展開。
大家さんの美声、聴いてみたい。
作者は北海道出身の方。エゾヤマザクラから八重桜に移り変わり…というくだりがあって、北国の春をリアルに思い出す。舞台は(読み逃しでなければ)明記されてなかったはずだけど、坂があって大学があって古い建物が似合う…というとあの街 -
Posted by ブクログ
ネタバレ甘さや弱さから脱却するのって多分想像以上に難しい。人間ってよっぽどできた人間でないと逃げてしまうものだと思う(逃げが悪いかどうかは置いておいて)
そのなかで主人公がそこを乗り越えようとしたこと、それに周りが協力したことが本当にすごいと思う。多分これから先も彼は逃げるだろうし、嫌なことがあったら崩れると思う。人間の本質ってあんまりすぐには変わらないだろうし。でも、一度乗り越えた経験は味方をするんだろうって思う。
一つ気になったのは道下さんがどうしてあんなことを言ったのか。あまりにも一方的で理解できなかった。お礼だけを言おうと思ってたなかで、気に入らない発言があったからってああも態度を帰るものだろ -
Posted by ブクログ
ネタバレ蒼はとにかく一人が好きな女の子。友達と一緒にいても何だか息苦しい。修学旅行も行かずに過ごした。そんな蒼の心の支えは夜に街の灯りを数える仕事に就くこと。そんな仕事、現実にはないけど子どもの頃の同級生から聞いたその職業にずっと惹かれていた。
登場人物のセリフが心に残るものが多かった。蒼の友達、冬子が本当にいい子でちょっとずるくて好きだ。蒼が一人でいるのが好きと聞いても、私は蒼ちゃんと一緒だったら嬉しいなと自分の気持ちも伝えられる強さ。でも押し付けじゃないところも良い。
あとは定時制に通っている看護師の関さんも良かった。最初はなんなんだこのズケズケ言ってくる人は!と思ったけど、自分は人とは違うって -
Posted by ブクログ
作者はどうしてこんな話を書くのだろうと思う。
失うことで成就する、純粋な愛? 確かにその気持ちが描きたいなら、このラストしかないのだろう。若干ピンとこない感じは、もしかしたらこの話を異性愛に置き換えたら、違ったものに感じられたのだろうか? うーん、異性愛だったらより凡庸に見えるのかもしれない。上川さんと天野さんのエピソードのように。この年代の男の子同士の友情だから(女の子同士の友情でも良かったんだろうけど)より純粋に感じられるのかもしれない。
でもそういう「純粋さ」を、今の僕は求めていなかったように思う。それこそ彼らの同年代だったら感動したのかもしれない。あるいは、そういう純粋さだったら、短