金子勝のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
市場や生命という複雑なしくみを解明する新たな方法を、著者たちは「逆システム学」と呼ぶ。
それは、新古典派経済学や遺伝子決定論などの主流の学問研究を批判し、市場や生命の本質を多重フィードバックのしくみに見出すというものだ。
経済学と生命科学の対話から浮かび上がる、まったく新しい科学の方法論。
[ 目次 ]
序章 逆システム学とは何か
第1章 セントラルドグマの暴走
第2章 制度の束と多重フィードバック
第3章 フィードフォーワードの罠?医学と経済学の逆システム学
第4章 変化と進化における多様性と適応
終章 どのようにしてパラダイムは転換してきたか
[ POP ]
[ おす -
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[ 内容 ]
イラク戦争以後、アメリカの一国決定主義がますます突出し、世界は「分裂と不安定の時代」に入っている。
一方、経済状況をみると、当分の間、世界同時デフレから抜け出せそうにない。
それに苛立つかのように、日本国内ではバブル待望論が絶えないが、アメリカの景気頼みの日本経済回復シナリオは非常に危うい。
むしろ地方へとデフレが波及し、さらに深刻化していくおそれがある。
もはや古い時代の発想は通用しない。
思考および政策の大転換が必要だ。
日本経済の位相を確かな目でとらえる、『セーフティーネットの政治経済学』『長期停滞』に続く、三部作の完結篇。
[ 目次 ]
序章 分裂の時代へ
第1章 バブ -
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[ 内容 ]
市場の自動調整能力というイメージにもかかわらず、市場原理主義者の説明は、現実からますます乖離している。
いかにして市場の暴走を食い止めうるか。
「市場を我らの手に」という思考にむけた根本的転換への知的戦略とは何か。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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経済学の先生が答える悩み相談なのに、ほとんどの相談が経済学とは何の関係もない。それでも一つにひとつ見事に回答しきっている。秀逸なのは小説や寓話を題材に答えを導き出し相談者に普遍的な安心感を与えているところ。加えて質問の内容も凄い。五年前、夫に先立たれた70代のお婆さんが趣味の集まりで知り合った、奥さんに先立たれた70代の爺さんと月1~2回のペースでホテル通いをしているという悩み。罪悪感に苛まれ悶絶しているとのこと。また、同じく70歳の婆さん。中学の時の初恋の人から電話があり、一度でいいから握手をしたいという妄念にかられ、四六時中頭から離れず、眠れぬ夜が続いているというもの。世界に類をみない高齢
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主流派経済学の市場主義的発想を批判してきた著者による、「市場」というタイトルの本ということで、著者自身の立場から包括的に「市場」の意義と役割が論じられているのではないかと予想したのですが、やや期待していた内容とは異なっていました。むしろ、これまでの経済倫理思想における人間観を掘り下げ、それらの抽象性を明らかにすることに、本書における著者の眼目があるように思います。
著者は、新古典派経済学のみならず、スミスやハイエクの人間観を取り上げ、それらが「強い個人」を前提にしていることを明らかにしていきます。しかし、「強い個人の仮定」に基づく市場主義は、人びとの生活の足場となっている公共性の地盤を掘り崩 -
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『セーフティーネットの政治経済学』『長期停滞』(ともにちくま新書)の続編で、3部作の完結編となる本です。
著者の基本的なスタンスは前著から一貫しており、本書でも小泉政権下における竹中平蔵の経済政策に対して舌鋒鋭く批判をおこなっています。とくに不良債権問題に対しては、銀行に対する十分な引当金を積むことのないまま弥縫策に終始していても、繰り返し損失が表面化することになり、そのたびに貸し渋りや貸し剥がしがおこなわれ、デフレ不況から脱することはできないと著者は言います。その上で、十分な引当金によって信用収縮に歯止めをかけることが、デフレ脱却へのもっとも有効な道筋だというシナリオが提示されています。
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18世紀、ダイナミックに動くシステムの予測のため、イギリスの牧師トーマス・ベイズにより人間の経験を事前予測とし、そこにデータを加えてよりよい事後予測を生み出す方法が提唱された。
今日の認知・認識の科学の進歩と、コンピュータの演算能力の爆発的な向上が新たな可能性を生み出しており、今後は、ベイズ主義の予測を進化させ、人間の認知・認識を客観視し、より精緻な事前モデルを生み出し、バイアスを与えないデータで推論サイクルを繰り返し、新たな予測モデルを打ち立てることが、6人にひとりの子どもが貧困となり、高齢者の9割が貧困に向かい、地域が衰退するという深刻な実情を直視する当事者主権、現場主義からの議論が求