Posted by ブクログ
2018年10月18日
すごく示唆に富む本
「複雑系」との違い・・・システム全体のモデル化を目的にする複雑系と異なり、調節制御の仕組みや要素間の関係そのものが研究対象
ノイズとシグナルの峻別・・・重要な差異か、無視してよい誤差か
「一創造百盗作」−大野乾の遺伝子重複仮説
ゲーム理論に基づく情報の経済学の限界−年金制...続きを読む度や失業保険制度で論理破綻
日本企業の「現場監督者(フォアマン)」は、職場の代表であると同時に経営側(制御系)の末端機構である。
└2つの調節制御の機能が一人の人間に重複し、その機能を果たせないようになっている。
交渉モデルでは、相反する利害を持つ者同士が交渉しないと均衡には達しないのに、「現場監督者」の心の中で行われる交渉ゲームになってしまい、重要なフィードバック機能を失わせる。
多重フィードバックが効かなくなって、インセンティブに頼るような、一方向に向かって進む状態を「フィードフォワード」という。現実による調節のかからない危険な仕組である。
システムが切り替わるとき−一度に切り替わるほうがうまくいく
胎児→乳児
乳児→幼児
※成長→成熟 成熟→老化は、はっきりとした区切りがない中で進行するため、かつ成功体験があるため、困難が伴う。
同じ遺伝子が正反対の働きをすることがある。
└調節制御の遺伝子が、時期を見て働かせ方を変える。素朴な『遺伝子決定論』では説明がつかない。
政策者がバブルを望むワケ−必要消費より顕示的消費が盛んになるから
成長期にはフィードフォワードが有効な場合も多いが、成熟期にはもろくなってしまう。
セーフティネットには、自立の契機が必要。「状態」の変化に応じてセーフティネットを張りかえないと、多重フィードバックは壊れてしまう。
セーフティネットは、画一的に人々にインセンティブを与えるような仕組みではない。人々の多様性や多元的社会を保証するものでなければならない。