佐藤さくらのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
師匠
個人としてずば抜けた戦闘力を見せつけるゼクス
遂に戦場へ赴くことにした師匠レオン
個人の戦闘力が如何に優れていても圧倒的物量差にどうなっていくのか
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購入済み
期待を込めての星5つ
4話まで収録されており、1巻は序章で終わったという印象です。(原作未読)
2巻以降から盛り上がってくるのかな?
ゼクスがどう成長していくのか、師弟関係がどうなるのか楽しみです。
あと、近年コミカライズが流行っている(?)みたいですが、群を抜いて画力が高いです。そういう意味も込めて期待値が高い! -
Posted by ブクログ
ネタバレ取り憑かれたように読み続けていたシリーズだけれどもとうとう読み終わってしまった。もっと読んでいたかった。もっとこの世界に浸りたかった。という気持ちでいっぱい。
シリーズ最終作となる今作ではカデンツァ自治区とラバルタが再度の停戦に至るまでが描かれる。
一作目の停戦から12年もの時が経過しているので、意外なひとが亡くなっていたり逆に意外なひとが存命で驚かされたり……とにかく総集編とばかりにこれまで出てきた人物が次々登場する。変わらぬ姿あり誇らしく成長を遂げた姿あり、ずっとこの世界に浸っていたので懐かしい顔ぶれが出てくると嬉しい。
肝心の内乱は、自治区とラバルタ王家だけでなく第三者勢力の介入あり、寧ろそちらが今回の主役であり、王家のあるリアンノンサイドも王家と鉄の砦と近衛騎士団とで思惑が異なっていたりして、意外な方向に収束していく。これが本当に意外だった。このタイミングでようやく…。しかしこのタイミングでなければ動けなかったという某卿の気持ちも理解できないものではなくて、この作品は弱い人間の決意で進んでいく物語だなと思う。
終盤でこの世界が少しずつ良い方向に進んでいくだろう可能性が示唆されているけれど、1巻の『魔導の系譜』では「三十年以上の長きに亘り続く、北ラバルタ内乱」という記述があるので、読者が目にした自治区を取り巻く物語はその半分にも満たない。(――し、いずれ滅ぶと予告され続けてきたラバルタ国家が少なくともあと30年は存続するということでもある。)これからもたくさんの犠牲を払って、代替わりもして、粘り強く耐えながら少しずつ少しずつ夜明けを迎えていくのだろう。
オールスター総集編的な演出だった分個々の描写は薄めで、禁術のもたらしたものであるとか、鉄の砦のその後であるとか、もう少し厚みのある描写をして欲しかったなと思う部分はあるのだけれども、そう簡単に「めでたしめでたし」とはいかない世界ではいくら描写されてもきっと足りないと感じてしまうので、これくらいでちょうど良かったのかなとも思う。願わくば少しでも良い方向に進んでいきますようにと願う。
主人公の師弟は俗っぽい言い方をしてしまうと末永く爆発しろという感じで、何度絆を確かめ合ったら気が済むんだろう!
一時は師に依存してしがみついている感のあったゼクスがすっかり精神的に自立した一個人になっていて、寄る辺を得て初期よりは芯が強くなったもののいまだに危なっかしさの残るレオンとの対比が際立つ。レオンはもっと大丈夫な大人になったんだと思っていたのだけど、まだまだ駄目な大人だなあ。でも懸命に生きているこの人がとても好きだ。ゼクスが何度でも迎えに行くと宣言してしまったし、きっとこの二人はいつまでもこんな感じなんだろう。もう末永く寄り添っていて。
最後の最後で第一巻のタイトルである『魔導の系譜』を思わせる発言が魔導師ではないガトーから出てきたのも良かった。やっぱりこれ最終巻なんだなあ。
読み終わるのがもったいないと思える本と出会えて良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ通して登場人物たちの成長を描く物語だけど、2作め以降は社会の中の差別の有り様を描いた物語だなと思う。
1作めは差別を受ける当事者、2作めは被差別社の身内でありながら直視を避けていた人物、3作めにして差別意識をしっかり抱え差別する側として生きてきた人物の視点と成長が描かれる。それから1作めで権利を得ようと力を用いて戦った世界のその後の様子も。
社会を取り巻く差別の構造は、現実社会と重なる部分が多い。
1作めの師弟が変わらず仲睦まじいのはもちろんのこと、元エヴァン小隊の面々の絆が描かれるのも嬉しい。というかゼクスがこのタイミングまでなんの報せも出していないことに驚いた。
内乱で目覚ましい成長を見せたダーニャはもはやアスターのパートナーを通り越してお母さんで、頼もしさったらない。アスターに対する「今頃気づいたの?」のシーンと、デュナンに語った「なんだかんだ言いながら生きていくしかない」の台詞は作中特に印象深く好きなところ。
アスターとゼクス、かつての親友同士はお互い悩みや相手の力になれない不甲斐なさを感じていたりしつつ、今はそれぞれ別の道を歩んでいて、身近に支えてくれる存在もあって、直接的に道は交わらないながらも互いに己には出来ないことを託し合ってまたそれぞれの道を歩んでいく。そうして別々の位置から世界の潮流を生み出していく。という展開。この先この世界がどう変わっていくのか見守りたい。
ところで話の主題だった幼い魔導師見習いたちを守り安全なところまで送り届ける流れに関しては、ひととしてそうせざるを得ない、そうするべきだろうとは理解しつつ正直目の前の子供たちだけ救ったところでなにも変わらないよなあと思いながら読んでいた。なのでノエとガンドの決意には驚いた。この世界にはそういった役割の人間が必要だよなとは感じつつ、この二人が自らその道を選ぶとは。
また、2巻でもちらりとその前兆があったけれど、今作ではリーンベルやサイが魔導の力を持ちつつ魔導師の訓練は受けず別の生き方を選んだこととか、デュナンの力の使い方とか、これまで魔導はあくまで戦う技術であったという世界の固定観念を崩してきているのが面白い。ゆっくりとだけど着実にこの世界は変わりつつある。ひとの成長だけでなく社会の成長も描く物語になっている。最終巻でどんな道に進んでいくのかこの先も見守りたい。
ところでアニエスは相変わらず格好良いし女王カンネは一層チャーミングだし前作でじわじわきたシュゼとイングヴェイの信頼関係はスパイスのように効いてくるしで今作のメインではない登場人物たちも大変魅力的に描かれているのもとても良かった。好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作『魔導の系譜』が一組の師弟の成長と絆のお話なら、今作は友情と愛のお話。
時系列が被っているので版元の宣伝ツイートではどちらから読んでも問題なし、となっているけれど、解説で1巻の盛大なネタバレがあるので刊行順に読む方が安心だと思う。
前作の舞台ラバルタでも魔道士は差別の対象だったけれど、今作ではラバルタ以外の国も描かれて、そこでも形は違えど差別は存在することが描かれる。エルミーヌのそれはラバルタにおける苛烈とはまた違ったエグさがあって背筋が冷える……。
今作の主人公カレンスは前作のゼクスと違って恵まれた才能や力はなく、直接差別的な視線を向けられる対象でもない。可愛がっていた妹が魔物棲みと発覚した途端、その兆候に気付いていたにもかかわらず庇うことも行く末を見守ることもせず逃げてしまい、それを仕方がないと思うような弱い人間。だから差別対象とされている存在に直接的な害意はなくとも、間接的にはひどく傷つけているし、そのことに気づきもしない。こう書くと彼がとても酷い人間に見えてしまうけれど、一読者たる自分の現実世界での振る舞いを振り返れば彼を責めることはとても出来ない。それは現実社会における差別に無関心だった頃の自分の姿そのものだから。
このシリーズはファンタジーの世界を描いているけれど、社会の中の差別の有り様については現実社会と変わるところはないように思う。
カレンスが仕方がないと思いながら、もしくは無自覚のうちに傷つけた妹や友人は、当然のことながら彼や己を取り巻く社会を酷く恨んでいる。侮蔑し、殺意すら抱き、カレンスが成長し自らの仕打ちに気付く頃にはその暗くて深い溝は決定的なものとなっていて、とても埋められるような生半なものではなくなっている。
でもカレンスには自らの行いを直視して、許されなくても彼らの傍にありたいという意思があった。これがとても尊いことだと思う。カレンスだけでなく事の次第を知った際のナタリアの潔い謝罪もすごい。そんな行動をとれることを尊敬する。
そしてカレンスに傷つけられた妹や友人は、彼の仕打ちを許せない、裏切りだと感じながらも、彼を愛していた心を捨てることが出来ない。
ここがこの話の好きなポイントだなと思う。一度は罪を犯すほどの暗い澱に囚われて、聖人君子みたいに全て水に流してまた仲良くしましょうなんてとても言えない。長年抱え続けた許しがたさや怒りの感情はそう簡単に忘れられるものじゃない。けれどそれと同時に愛することだってやめられない。そんな感情抱えたことのない私には想像もつかないけれど、相反するものを同時に抱えるのはとても苦しいことだろう。けれど救いでもあるのだろうな。笑顔なんて見せてやるものかと思いながらリーンベルが僅かに微笑んで見せるラストシーンに胸を打たれた。
ところでカレンスの事にばかり触れたけれど、表紙に出てくるもうひとりの主人公(?)アニエスが読んでいて大変気持ちの良い人物で一気に好きになってしまった。彼女は文句なしに作中一番格好良い人物だと思う。
彼女自身がなくしたいと願う差別については話の傍流なのか今作ではなにも進展がなかったけれど、頁の外側で少しずつ社会の有り様が変わっていくようにと願う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上手く感想を纏められませんでしたが、メモとして記します。
『魔導の系譜』に続く〈真理の織り手〉シリーズ第2弾。
本作はラバルタの隣国であるエルミーヌが舞台。主人公カレンスは、妹リーンベルが精霊を創り出す能力もつことを知りながらも、妹が「魔物棲み」と発覚した時に何も出来ずに故郷から逃げるように王都の学院に進学します。カレンスは十分に善良な人間で、当時の彼には、それ以上のことはできなかったのでは?と思います。王立学院で自分を貫くアニエスと友になり、経験を積むことで成長できたカレンスが好きです。
ラバルタ(前作の舞台)では、魔導士は差別され虐げられていますが、魔導士の専門機関やギルドがあり、その存在が認められています。一方、エルミーヌでは魔術は魔物の仕業であり魔物棲みと認定されれば神の元へ還され、存在を抹消されてしまいます。
存在しなかったことにされるのは、虐げられること以上に残酷な気もします。色々考えさせられました。
アニエスの設定が面白かったです。良家のお嬢様で途轍もない美人なのに、学業・武術ともに男子以上の実力を持つ男装の麗人。さらに“女性しか愛せない”という気持ちを公にし、世間の目を気にすることなく自分を貫く、気持ちの良い女性だと思いました。
続編も読みます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ魔導師を下賤な者として扱うラバルタで、デュナンはエステルから託された3人の子どもたちを連れて逃亡することになります。道中では、アースの暴走によって追手を殺してしまう場面もあり、「自分は何もしていないのになぜ追われなければならないのか」という理不尽さや恐怖が描かれていました。
そんな彼らを助けたのは、廃嫡されたノエと元騎士のガンドでした。魔導師に対する偏見や恐怖を抱えながらも、子どもたちを守る旅を続ける中で、2人の心も少しずつ変わっていきます。最終的に、行き場のない子どもたちを助ける活動をしていこうと決める流れがとても印象的でした。
今作を読んで特に強く感じたのは、「理解できないもの」をどう扱うかということです。
作中では、デュナンの“魔”の感じ方について描かれていますが、周囲の人々はそれを「変わっている」の一言で片づけてしまいます。そんな彼女を「面白い考え方をしているのね」と受け止めてくれたのはエステルだけでした。
しかし、エルミーヌでレオンと出会ったデュナンは、自分の感じ方を認められた上で、「その考えを深めるために学びなさい」と言われます。そして、「変わっている」と言われていたアースと自分が似ていたのだと気づいていきます。
この流れを読んで、私は「理解できないもの」を一括りにして、「変わっている」と切り捨ててしまうことの怖さを感じました。
私自身にも理解できないと感じる人はいます。でも、その背景に何があるのか、どんな感覚や苦しさがあるのかを知ろうともせず距離を置くのは違うのではないかと思いました。
レオンのように、よく観察し、気づき、寄り添いながら、それでも「完全には理解できない」と誠実に向き合う姿勢は、とても大切なのだと感じます。
「分かろうとしてくれること」「知ろうとしてくれること」そのものが、人を救うのかもしれません。
また、ガンドの
「おれ自身が1番もがいて苦しみながら生き抜いてきたことを知っているから」
という言葉が、とても心に刺さりました。
私は体調を崩しやすく、「なんでこんなことで」と思うような場面で動けなくなってしまうことがあります。そんな自分を弱いと思いますし、嫌になることもあります。
だからこそ、自己嫌悪を抱えながらも生きているガンドの姿に、自分を重ねていたのだと思います。
けれど、この言葉を読んだ時、自分の苦しみを1番知っているのもまた自分なのだと気づかされました。
自己嫌悪に陥るだけではなく、自分自身を少しずつ受け入れていくことの大切さを感じさせられる作品でした。