辻邦生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は、イタリアジェノバ出身の船員の目を通して、信長という時代の変革者の人物像と安土という時代の様相をとても知的な文体で描いている。
私はこれまで延暦寺焼き討ちなどに見る徹底的に非情なやり口に信長のことがどうしても好きにはなれなかったが、本書で描かれる「事がなる」ために自己を抑制し「理に適う」方法を徹底的に追求するという人物像に、近代的な人間の先駆者としての孤独と時代の変革者としての強い覚悟を感じて見る目が変わった。
彼がキリスト教の布教に寛容で、西洋の文化にとても強い好奇心を抱いたのは、布教のために命を賭けて海を渡る宣教師等の使命感と、その「事を成し遂げる」ための「理に適う」行動に自分と同 -
Posted by ブクログ
西行花伝、背教者ユリアヌスなどの宗教小説で有名な辻邦生未完の短編集。壮大なプロットで縦横に連鎖する短編集を作ろうとしたがあまりにも壮大すぎて2巻で終わってしまった代物です。ただ個々の短編はどれも辻邦生らしい静謐な文体で秀作ぞろい・・・だと思います。特に好きなのは冒頭の「亡命者たち」。この話のヒロインである「盲目のレモン売りの少女」は今まで読んだ小説の中で1,2を争うほど印象に残っています。
ほとんど容姿の描写やセリフがないのにこれほどまでに心に残るのはさすが文豪の文章といったところでしょうか。私が盲目とか話せない系の女の子の話が好きなだけだろうって?そうだよ。