辻邦生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西行花伝、背教者ユリアヌスなどの宗教小説で有名な辻邦生未完の短編集。壮大なプロットで縦横に連鎖する短編集を作ろうとしたがあまりにも壮大すぎて2巻で終わってしまった代物です。ただ個々の短編はどれも辻邦生らしい静謐な文体で秀作ぞろい・・・だと思います。特に好きなのは冒頭の「亡命者たち」。この話のヒロインである「盲目のレモン売りの少女」は今まで読んだ小説の中で1,2を争うほど印象に残っています。
ほとんど容姿の描写やセリフがないのにこれほどまでに心に残るのはさすが文豪の文章といったところでしょうか。私が盲目とか話せない系の女の子の話が好きなだけだろうって?そうだよ。