川上健一のレビュー一覧
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2023年の夏フェアで紹介されていて気になって読んだ作品。
「え?」、「ん?」と思わされる展開がたくさんあって面白かった。引き込まれた。百田尚樹さんの「モンスター」と同じくらいページをめくるのが楽しかった。
印象的で好きなシーンが二つある。
音楽教師の小林先生が、声を出して歌わない斎藤多恵に向かって、「音痴でもいいの、大切なのは心を込めて歌うこと」という場面。
もう一つは、静まり返った十和田湖で、斎藤多恵が全裸になって泳ぐ場面。読んでいると自分も開放的な気持ちになれたような気がして良かった。
主人公の神山くんが、ビートルズの曲に心うたれ、結果的に周囲の人間に影響を与えていく。自分にも元気 -
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最高の読後感!!
多感な年頃の中学生が描かれていて、爽やかな感動で胸がいっぱいです。
きっとこれから何回も読み返すことになる一冊になりました。
前半は大人の理不尽やあり得なさににイライラ。
自分に自信のなかった野球部補欠の主人公が、ラジオで偶然耳にしたビートルズの曲をきっかけに変わっていくのがすごく良かった。
野球部のため、大人の理不尽に立ち向かっていく姿には痺れました。
一人大真面目にHなことで悩んでる様子や、思いついた名案にもおバカで吹いたなー。
野球部の絆、友情、初めての恋。
仲間たちとの無茶もバカもいい。
中学生の成長ってすごいなぁって思いました。
グッとくるシーンがいくつもあって -
Posted by ブクログ
違う作者なのですが、前にもマラソンの本を読んで面白かったのでこの本を読もうと思いました!
川上健一さんの作品は初めてでしたが、これを読んでお気に入りの作者に!
坂本ららは明るくて走るのが大好きな高校生。小杉純也は野球が上手で走るのが速い高校生。このふたりの出会いはマラソン大会でした。今までのマラソン大会は純也がダントツの1位だったけれど、今年は、走っているのにも関わらず笑顔でお喋りが好きなららが追い上げてきて純也と2人でゴール。この出会いから2人は毎朝海岸沿いを走ったり、キスをしたり、お互いの応援をしたり…
応援のおかげで、ららはレース中にも関わらず溺れてる子供を救ったり、世界新記録を出すな -
購入済み
ビートルズがきた時代の世相
1962年デビューしたビートルズはあっという間に日本にやって来た。不良の聞く音楽だと否定する大人たち。大人になりつつある中学生は違った。この小説ではそんな中学生たちが、現代と変わらぬ様に部活動をし、性に目覚め、泣いたりわらったりする日々を書いてあるのだが、現代と違うのはまわりの環境。ビートルズがやってきたことによって、自分の思っていることや考えていることを好きな様に表現できる様になった初めての世代。大人にもおかしいところはおかしい、と言えるようになった。今から50年以上前の話だがその事を感じさせない。当時もいじめはあった。中学生にもなると皆、好きな人ができたり、好きな音楽や映画などどんどん世界
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いい小説だなあ。
青森の寒村に、絵を描くことと魚取りだけが好きな心平と、その心平と幼少の頃から一緒に育った耳の聞こえない小百合を描く初恋小説。
好きなことだけやればいいってことはなくて、心平の場合、東京に出てみんなと離れ離れになっても画家の修行にいくのか、小百合の場合、実家を継ぐ為に養子を取るために結婚するのかといった現実を突きつけられ、選択を迫られる。
その中で、小百合も心平も婆っちゃも相手のことを思う会話の描写がきれい。英蔵も、自分の好きな子のために生きようとしている姿が、かっこいいし、でも、心平という人物がいることでどうにもならない姿が、切ない、
方言だから、短い言葉ではあるし、よ -
Posted by ブクログ
若いころには尾崎豊を聞いてみたり僕らの七日間戦争を読んでみたり、まぁそんなに大人は分かってくれない!みたいな気持ちがあったわけじゃないけど、そういう空気感は共有していた、みたいなところはあった。それが今や大人になって、はっきり言ってしまえばあの頃のことはあんまり覚えてないなぁ、と。もう何十年も経ってしまって。そして今、子どもとどんなふうに向き合っているのか、などと考える。昔みたいにすぐ殴るとか、頭ごなしに命令するような親や先生は減ったような気もするけど、だからといっても子どもと向かい合うってどんな時代にも難しいよな。などという気持ちを思い出させてくれる。しかしこんなにも素直に自分の気持ちを打ち