阿部知二のレビュー一覧
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ネタバレ戦前のベストセラーらしい.どこかで書評を目にして,読んでみた.
主人公は裕福な生まれの大学生であるが,ひょんなことから地方の名家出身で今は落ちぶれた霧島家の2階に下宿することとなる.この家の主人は絵に描いたようなダメ男で(ディケンズに出てきそう),内職で家庭を支えるその妻はキリスト教への信仰に救いを求めている.
この霧島家にある一冬の間下宿したことを「冬の宿」というタイトルで綴っているのだが,モラトリアムでだらだら暮らしている主人公が最後に世間に復帰し,一方,霧島家はさらに転落して,両者が別れを告げるまでを描いている.まことに昭和的な小説だった.
おまけ的に収録されていた短編「アルト・ハイテル -
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「ホームズ」シリーズの第二短編集『回想のシャーロックホームズ』を読みました。
先日、第三短編集の『シャーロック・ホームズの帰還』を新潮社版で読んだ際、全編が収録されておらず、悔しい思いをしたので、今回は創元社版をセレクト。
この間は長編の『緋色の研究』を読んだのですが、「ホームズ」シリーズって、長編も悪くはないですが、短編の方がキレがあってイイですね。
収録されているのは以下の11編。
1 銀星号事件 (Silver Blaze)
2 黄色い顔 (The Yellow Face)
3 株式仲買店員 (The Stockbroker's Clerk)
4 グロリア・スコット号 ( -
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ネタバレ10代の頃に一度読んだ記憶がある古典中の古典、復刊されたので久しぶりに手に取りました。作品内容はすっかり忘れてるんですけど、独特の和訳タイトルが今でもはっきり印象に残っています。「めずらしい蘭の花が咲く」とか「故エルヴシャム氏の物語」とか。なんと19世紀に発表された作品も収録されています。
今読むと、さすがに古いです。古いですが、そう思うのは主に訳文の古臭さが原因と思われ、描かれているSFとしてのアイディア、展開、そして何よりも情景描写の鮮やかさは、十分に通読に耐えうる骨太さを保ちえています。SFとしてはもちろんのこと、ひとえに「物語」としての完成度が高いのだと思います。
古典落語「一眼国」 -
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★3.4
ここからすべてが始まった。ホームズとワトソン、あの名コンビの出会いが描かれる、記念すべき“最初の一冊”。
名探偵コナンはマーケティングが上手いよなーとつくづく思う。30年前くらいからあって、未だ最前線とは恐れ入る。
そんなマーケティングにやられて手に取った本書。(ちがう)
事件そのものは殺人ミステリなのだが、やたらと“医学用語”や“足音の違いの分析”とかが飛び出してきて、ホームズという人間のヤバさが冒頭から容赦なく伝わってくる。ワトソンが読者の目線を代弁して「え、こいつ何者こわい」と戸惑ってくれるのが救い。
これがあの"ベーカー街221B"か…
そして中盤 -
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イギリスの作家「アーサー・コナン・ドイル」の短篇ミステリ作品集『シャーロック・ホームズの冒険(原題:The Adventures of Sherlock)』を読みました。
ここのところ、名探偵「シャーロック・ホームズ」関連の作品が続いていますが、本家本元の名探偵「シャーロック・ホームズ」シリーズは、2011年(平成23年)に読んだ『シャーロック・ホームズ傑作選』以来なので、ほぼ10年振りですね。
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ミステリ史上最大にして最高の名探偵「シャーロック・ホームズ」の推理と活躍を、「ワトスン」が綴るシリーズ第1短編集。
「ホームズ」の緻密な計画がひとり