唯野未歩子のレビュー一覧
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三年身籠もった冬子と彼女の妹である緑子の話。
SFでもファンタジーでもないし、伊達や酔狂でもない説得力をこの三年身籠る小説から感じるのは、冬子のとる行動の突飛さ、そのわからなさ加減が、僕が女性に対してわからないと感じるときのイメージと重なるから。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
岩瀬成子「竹」
くどうなおこ「インタビューあんたねこ」
井上荒野「ある古本屋の妻の話」
角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
町田康「百万円もらった男」
今江祥智「三月十三日の夜」
唯野未歩子「あにいもうと」
山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」
綿矢りさ「黒ねこ」
川上弘美「幕間」
広瀬弦「博士とねこ」
谷川俊太郎「虎白カップル譚」
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佐野洋子「100万回生きたねこ」を読んだ作家・詩人たちによるトリビュート集。
惹かれる作品(江國香織、井上荒野、町田康、今江祥智、川上弘美など)もあれば、そう感じない作品もある。一体どうやってあの「100万回生きたねこ」からこのような作品が生まれたのか、一読ではわからないものもある。「ねこ」がまったく登場しない作品もある。「100万回生きたねこ」というテーマがありながら、内容に一貫性はなく、トリビュート集らしい幅広さがある。
「ねこ」が登場しないので、これは「100万回生きたねこ」とは関係ない作品だ、というレビューもあったけれど、僕はそうは思わない。「100万回生きたねこ」はけっして「ねこ」だけの話ではない、と思っているから。また「100万回生きたねこ」を読んだ人は本書を読まないほうがいい、というレビューもあった。確かに「100万回生きたねこ」の読後感の感動からほど遠い作品も収まっているので、そのレビューにもある意味では賛成できる。ただ「100万回生きたねこ」を読んだことによって、こんなにも幅広いリアクションが誕生した、ということも事実なので、僕は「100万回生きたねこ」を読んだ人にこそ本書を読んでほしい、と思ったりもしている。「ああ、読んで失敗した」と思われても責任は取れないけれど。 -
Posted by ブクログ
まごうことなき妊婦の冬子。しかし腹の子は十月十日を過ぎても出てくる気配はない。
不倫夫だった徹。冬子の妹のパンク娘・緑子。そして緑子の恋人で医学生の海くん。に、巻き起こるひとつの物語。
私のいちばん身近な子持ちは姉で、ここ数年友人でも数人出産した人がいて思うのは、妊娠して出産するまでにたくさん心構えをしたつもりでいても、実際産まれてみなきゃ分からないことの方が多くて、悩んで辛い思いをして果てはノイローゼになりかけたりもして、少しずつ母親になっていくのだろうということ。
私だってもう子どもの一人や二人いてもおかしくない年齢だけど、もし今妊娠したとして、手放しで喜べる自信はない。
この物語に出てくる夫婦も、年齢的にはとっくに大人だけど大人になりきれていなくて、お腹に子が宿っても心の準備がしきれていなくて、周りも何だかがちゃがちゃしていて、そんな中お腹の子が空気を読んで(?)お腹にとどまってしまっているという、ファンタジーなんだけど現実めいた不思議なお話だった。
著者の唯野さんは女優さんだそうで、検索してみたら「あ!観たことある!」と思った。キラリと光る脇役的な女優さん。
女性特有の感覚で綴られた物語かもしれないけれど、からりと乾いていて女臭くはなかった。それがとてもよかった。
何より妹の緑子がキュートだった。
今で言うと…自分の置かれた状況とかは別にして、政治的な意味合いで、新しく子どもを産んでいいものかどうか悩んでしまう世の中になってしまったと思う。
最初から色んなことが不安なのに、さらに不安要素が増えてしまっていることが悲しい。
自分のなかの不安だけと闘える状況は、本当はとても幸せなのかも、と思った。