三羽省吾のレビュー一覧
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三羽さんのくせに、なんだか佐々木譲みたいなタイトルの小説を書いたなぁ…と思ったら、本気で結構真っ当な警察小説だった。意外に思った反面、心配だったのも事実。
警察小説の秀作は意外とたくさんあって、古くは松本清張あたりから、前述の佐々木譲、横山秀夫、誉田哲也…外国の作品まで入れるとキリがないくらい。そんな中で三羽小説の特長を生かせる作品ができたらそりゃ嬉しいのだが、簡単になりあがれそうもないジャンルだしなぁ、と。
で、やっぱり警察小説の中でも無類の傑作!、というほどの出来にはなっておらず。といっても面白くないわけではない、健闘しているとは思うのだが。ストーリー展開、登場人物の設定、扱う事件…どれ -
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親子三代の刑事一家。
刑事としての想いが脈々と引き継がれている。と言う訳ではない話。
三代目は兄弟で頭脳派、体力派と分かれて、また相互に理解し合えない状態。
そんな中、兄が弟の働く県の県警本部に異動となり戻ってくる。お互いに相手を理解しようともしないところから始まるも、ある事件が起こり、その解決する為にお互いにそれぞれの立場から最善を尽くす。
それを通じてお互いの考えを理解するようになり、さらには父親の想いなどを共有しあい、刑事としての成長をお互いの中に見ることができる。
なかなか手の込んだ錬金術であり、非常に興味深い。
が、人として手を付けてはならぬと思うのだが、こんな事も本当にあるんだろ -
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都内の路地裏に建つ6階建て築50年のオンボロ雑居ビル。入っているのは不動産会社の左遷先の分室、怪しげな健康食品販売会社、小さなデザイン事務所と学習塾、無許可託児所、そして1階はしょっちゅう扱う品目は変わるのに従業員と料理の不味さは変わらぬ料理屋。
各フロアーの住人の一人を主人公に描いた6つの短編集です。
半年だけ働いて失業保険を得ようとするニート、同居しようと行ってくれる孝行息子の夫婦が居る60歳前の託児所のおばさん、司法書士を目指しながら塾教師のアルバイトから埋もれる30歳、無意味とも思える営業電話をかけ続けるOL、元高校球児のデザイン事務所の営業、一階の得体にしれぬ料理屋の老人。そして全編 -
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普通になるのが嫌で、theが付けられるような生き方を否定する。で、そうこうしてるうちに何が何だか分からなくなって方向性がずれてきて、なんでも分かったふうな顔をしてるくせになんもできない「愚図」になる。
大学1,2年の頃はかなりの愚図だったなと思う。
今はあの頃よりは行動力が伴ってきた分マシだと思うけど、どうだろう。と、改めて考えさせられた。
ぶれない生き方じゃなくて、ぶれるけどズレない生き方。そんな風に人と接して同調したり反論したり、旅をしたり音楽を聴いたり本を読んだりしたい。
後、この本を読んで北海道に行きたくなった。チャリ旅がしたい! -
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3人のニートと謎の女の子の北海道旅行、となれば、痛快なイメージを浮かべてしまうのですが。。。。
どこか乗り切れないのです。主人公の一人レンチのハチャメチャさが単なる身勝手でしかない所為なのか。そもそも主人公全員のキャラが爽快さが無く、どこか重苦しい。
前半は北海道への逃避行が描かれ、それがある事をきっかけに叔父さんの農場に飛び込むことになる。でも、その後の主人公たちの変身ぶりが一寸納得できないところ。再生の物語を描こうとしているのは判るけど、なんだか説得力もないし、唐突感があるのです
素材は面白いのに十分生かし切れていないような。
ちょっと残念な作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦後のまだ復興期に鉱山の町で少年時代を送った父が息子と二人で、祖母の葬儀に帰省するところから物語が始まる。
息子は学校でいじめにあっていて、登校拒否。父として会話を持たないといけないが、話し始められない。
自分の少年時代を思い出すことから糸口をつかむ。
父親が職工で管理職の家庭の子供たちと対立し、体力にまかせていじめていた。会社が米国の企業に買収されて、やってきた米国人経営者家族。その息子が同級生で、立場が逆転して除者にされてしまう。争い足掻く中で人間関係の作り方と世の中の仕組みを学んでいた。
父は帰り道、自分の来た道を息子に語り始める。