あらすじ
突然父親が失踪し崩壊寸前の須藤家は、残された5人揃ってダメ人間。14歳の次男は、熱中していた陸上部をやめ進学もしないと宣言。女子高生の長女は夜の街をウロウロ。27歳の長男は、会社を辞めたことを隠して肉体労働。あとは酒浸りの母親に、ボケ始めた爺さん…。みんな現実にムカつきながらも、心に折り合いをつけて生きている。章ごとに、代わる代わる本音や家族には言えない秘密を告白。そしてまさかの事実が明らかに! 家族の絆をポップに描いた快作誕生。
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Posted by ブクログ
Podcastにて書評家、目黒考二氏が絶賛してた作品。
確かに単行本の装丁は、なにをどうトチ狂ったのだろう。
文庫本のほうは、すっきりしましたね。
近々再読の予定。いい小説だと心底思います。
Posted by ブクログ
FM番組のAVANTIで、目黒考二さんが紹介していた本。
一見、ばらばらに崩壊していくようにみえる家族の物語なのに、確かに読んでいる自分の方に力が沸いて来る。
Posted by ブクログ
すごい。
やられた。
深い。
単なる家族の物語ではない。
いろんなことが絡み合っているけれど、
こじれていない。
章が進むごとに
いままで点だったものが
線になり、
面になり、
立体になっていく。
ニューロンとシナプスがフル稼働しているような、
スパーク感を感じながら読んだ。
“厭世”ですが、なにか?
そんなポップさ、クールさがある。
角田光代さんの解説が、またいい。
いい本を読んだ。ありがとうございます。
Posted by ブクログ
連日「暑い」ばかり耳にする。もういいじゃん、って思わなくもないけれど、きっと無自覚に溢れる言葉なのでしょう。僕自身はどうなの?と思う。でも、自覚はしているかな。僕自身はね。言葉にしなくても共有できる感覚だし。僕の汗まみれの顔を見たら、きっと「暑い」って言葉にしなくても伝わると思う。ほら、あなたの顔も、汗まみれですよ。
最近、すこしだけ思うこと。気になるかといえば気にならないこともない、その程度の感覚なのだけれども、一般的な傾向として、皆それぞれ他人に対して清廉潔白を求めすぎではないのかなあ、と思う。清廉潔白というのは、他人に期待するのではなくて、自分自身の在り方を示すものだと思う。僕自身は清廉潔白でありたいと思っているし、加えて単純明快という在り方にも憧れがある。
年齢だったり性別だったり、時代背景だったり。僕らは、自身の努力とは関係のないところをも抱えたまま生きている。納得できない物事などは、数えきれないくらいにあるけれど、それでも生きていかざるを得ない。僕自身の問題は僕にしかわからないことだから、周囲への期待などは無いけれど、そんなこと自体、それぞれの考え方があるだろう。僕は期待しないけれど、僕以外の誰かは、もしかしたら何かを求めているのかもしれない。そんなことにも気づいたり、力を貸したり、何かしらのことをできるようにありたいと思う。きれいごとかな。もしかしたら、そうかもしれないな。
「厭世」とは言いつつも、希望を捨てない彼らのことを思うと、はたして僕の人生も、きっと捨てたものではないのかな、なんてね、思わなくもないわけです。それだけで励みに感じることも、無くはない。きっと単純すぎると、お思いでしょうね。とはいえ、この単純すぎることこそが、生きる希望の正体なのかもしれませんよ。
Posted by ブクログ
著者の太陽がイッパイいっぱいが面白かったので読んでみました。リストラをうけて失踪した父親のあとにのこされた崩壊寸前の家族5人が主人公となる短編ストーリーです。章が進むにつれて紐解かれる真実に心をつかまれます。表現の仕方が巧みなところもツボで第2章の夫婦は似るっていうけどのくだりは最高です。
Posted by ブクログ
再読。
父親の家出を契機にバラバラになった家族が、それぞれの挫折を経て、また一つにまとまって行く話。
三羽省吾さん、気になるし、好きな作家さんなのですが、何だか印象が纏まらないというか、何か統一されたテーマのようなものを持たない作家さんのような気がします。
もっとも寡作な作家さんですから、間が空いてしまうせいかもしれませんが。
初回に書いている印象よりかなり良いのですが、では何処がと問われても出てこない。特に大きな共感も無く、何とも感想が描きにくいのです。
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08-066 2008/08/27 ☆☆☆
家庭崩壊とその再生の物語です。
世間では評判の良い作品ですが、何故かピンと来ませんでした。
「うっせぇなぁ」しか言わない14歳。再婚した母親に遠慮して目立たない優等生であることを目指した17歳。不本意な仕事を退職したものの、それを言い出せない27歳。いずれも良く出来た造形なんですけどね。
語り口のせいかもしれないし、設定された状況(父親が失踪しても、数年分の蓄えはある)のせいかも知れませんが、どこかシリアスさや切迫感が無い。なんだか単に「話し合わない」だけの家庭崩壊。そしてエンディングでは再びまとまる方向なんだけど、そのきっかけも唐突な気がします。
もっとも、本当の家庭崩壊なんて、こんなものなのかもしれませんが。
どうも、私は重松清の世界を期待したようです。その期待とのギャップが、肩透かし感に繋がっているのかもしれません。冷静に考えれば、確かになかなか良い作品に思えるので。
しかしネコの「部長代理」のネーミングは秀逸でした。
Posted by ブクログ
うぜぇ、ムカつく、といった所謂『若者言葉』に食傷されて読むのをやめてはいけない。第1章の中坊のクソガキがどうしてクソガキなったかは、第5章まで読むとわかる。
読み始めは『最低な家族』、読み終わりは『最高の家族』。仁侠好きとしては、おでん屋のエピソードがたまらないね
Posted by ブクログ
1章から順に次男・長女・長男・母・祖父と視点が変わっていくのですが、章を追うごとにどんどん面白くなっていきました!
父親がリストラされて失踪。
14歳の次男は今まで打ち込んでいた陸上部をやめて進学もしないと言う。
17歳の長女は連日深夜帰り。
27歳の長男は職がないのに父親代わりで家計のために肉体労働。
42歳の母は酒浸り。
73歳の祖父はボケ始めている。
ってこう見るとすっごい重い話になりそうなんですが、それがそうならないのがこの本の良いところでしたね~。
それぞれ皆大変なんだけど、なんだか明るい部分もあり、ユーモアもあり。何よりも失踪中の父親が破天荒すぎ^^;
みんなの回想で登場するだけなのに存在感抜群です(笑)
それぞれ外から見えている人格と、自分自身が語る内面は全く違っていて、それが章を追うごとにドンドン明確になっていく様子がいい。
例えば、長女は連日深夜帰りで、他の家族は皆夜遊びしてると思っているのですが、実はそうじゃないとか。
内容紹介に「家族の崩壊と再生を明るく熱くポップに描いた最高傑作」ってありますけど、ほんとそんな感じでした。
Posted by ブクログ
なかなかいい作品だった。
父親がリストラにあった挙句に突然失踪し、残った家族がそれぞれ1章ずつ自分が抱えている問題の語り手となる。本人の事情と他人への見え方の違いをとても上手く描いていると思う。
最近になって気になり始めた作家のひとりであり、今後も期待できそうな予感がします。
Posted by ブクログ
父親が失踪した5人家族のそれぞれの内情を各自の視点から語っていく小説。
一緒に住んでいても全然家族の気持ちがわかっていない所がなんだか考えさせられてしまった。
Posted by ブクログ
また来た!三羽省吾!
14歳 ケイ
17歳 カナ
27歳 リュウ
42歳 薫
73歳 新造
(あと消えた親父w)
親父の失踪をきっかけにみんな厭世観丸出しなのに、
家族それぞれが実はよく考えて
いっぱいイッパイ頑張ってるんだね~
世の中捨てたもんじゃない、というパワーをもらいました。
Posted by ブクログ
リストラされた父親が失踪した後の、残された家族たちの再生のようす。
各章ごとに家族それぞれの主観から、明るくアッケラカンと描かれています。
「お爺さん編」がナカナカ良かったです。
Posted by ブクログ
☆☆☆★
第1章で止まっていたが、2章め以降一気読み。
解説の角田さんも記しているが、この作品、章を追う毎に
加速度的に引き込まれていきます。
確かに、はじめはいわゆる「今ドキ」な感じが否めませんでしたが、
わたしは2章から3章でスパーク。
さらに4章でさらに驚かされるわけですが、
最後の5章に至っては、ここ最近立て続けに出会う「戦争」が、
背景として重要な出来事になっていたり。
初めて出会った作家さんでしたが、
なんとも言えない余韻に浸りつつ。
Posted by ブクログ
父親が失踪して残された家族のそれぞれの立場から語られる物語だが一見暗い内容の話になりそうだが展開はちっとも暗くなく皆がちゃんと現実に折り合いをつけて各々それなりに希望を持って生活しているところが上手く書けている。一気に読めた。この著者の他の本もまた読みたい。
Posted by ブクログ
ある人物やエピソードが、別の視点では全く違った意味を持つ。
そんなつながりが散りばめられていて、見つけると何か嬉しい。
深刻な状況なのに、どこかあっけらかんとした語り口で、時々すごくいいなって思える言葉があったりして。
心を動かすような強さはないけど、後半に行くにつれて読みながら笑みが浮かんできた。
Posted by ブクログ
ケイ
須藤圭一。十四歳。中学二年。部活を辞め、新聞配達を始める。
母
ケイの母。夫がいなくなり、酒浸りになって家事の殆どを放棄。
ケイの担任
父
宗之。会社を辞め、家からも消えてしまった。
清水もしくは島田
榎田。ケイのクラスの女子。佐久間だったが母親が再婚して榎田姓になった。
ブル
陸上部顧問。
ダンチ
段田孝一。ケイの小学校の頃からの遊び仲間。陸上部。
カナ
十七歳。高校二年。長女。基本的に真面目で勉強もできるイイコちゃん。
リュウ
須藤隆一。二十七歳。長男。大卒。四年勤めた防犯関係の会社を辞めた。
ポン
カナの友人。塚本→塚ポン→ポン。
カナがバイトしているおでん屋の店長。
部長
カナが飼っていた猫。
今井
カナとは中学も高校も同じ同級生。元カレ。
江藤
おでん屋の客。
部長代理
カナが買ったアメリカンショートヘア。
サブロー
バイトの男。
リュウの母
リュウを産んで十九歳で結婚し、二十九歳で別れてずっと独り身。
芳子
宗之の前の嫁。
薫
四十二歳。ケイの母。
地下のマスター
マメゾー
山火事頭(宗之)とは自動車部品を作る町工場の製造管理係と工員の関係。軽い知的障害がある。
新造
七十三歳。
Posted by ブクログ
とある家族の群像。本当の姿は中々気づけないけど、家族は良いものと感じる。猫の名前は部長代理。友人に貸したら号泣したと言ってたので、響く人に凄いストーリーらしい。私はいまいち響かなかった。
Posted by ブクログ
何かで評価さててたか忘れたが、積読の一冊。
はじめの3章はありきたりの話。五人家族の末っ子の中坊語りからはじまり、次女の女子高生語り、ニート兄貴の語り。あぁ、著者の俺こんなに技術持ってます的な自己満足小説かと思いきや、4章位から前三章てある違和感が、緩和され、話が繋がりまとまり、ひと筋縄ではいかないなと思わせる展開。家出した父親不在の家族の話から、実は、そもそもこの家族血の繋がりが複雑で(祖父と父は養子、長男は父の前妻の子、次女は母の不倫相手の子、末っ子だけが失踪した父親とアル中になった母との間の子)家族なんて血の繋がりなんか関係なく、関係性で成り立つものだと言う家族のあり方を訴えた小説だとわかる。
そんな構成よくできてるが、語り口が軽いのと、謎解きみたいな読み口なので、読後にそうだったんだよなあという終わり方で、特に印象に残らない。そんな小説だった。
Posted by ブクログ
一家の主が、突然家出した。残された5人の家族は、一つ屋根の下、全く噛み合わない生活に転がり落ちた。
3人の子供たち、妻、ボケ始めた爺さんのそれぞれの目線で描かれる、それぞれの想い。誰もバラバラでいいなんて思っていない。何とかしたいともがきながら、でも誰とも相談しないからすれ違う。もういやだ。そんな感じ。
さて、それぞれの想いは通じるのでしょうか。通じたら、どんな感じになるのでしょう。
Posted by ブクログ
ものすごいPOPで売り出されている、今一押されている文庫。
一押されすぎていて、期待高まりすぎるが、そこまでの一押し感にはついてけませんでした。
ただ、だんだん良くなる。
え?そうくる?っていう母と爺ちゃんの回想。
家族って。元々あるものじゃなく、なるもんだなー。といえ小説。
爺ちゃんの回想は、突然厚みを持つ。面白い。突然。
Posted by ブクログ
評価が高い本でした。確かに作家の筆力を感じ、最後まで一気にのめり込んで読みました。ただ最後の展開がちょっと無理があったのではとは思います。三羽さんの他の作品も読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ
「家族」のことを自分中心に考えてみると・・オレの場合は「父親としての視点」になる。
当然ながら、子供たちをしっかりと育て、皆を守らなければ・・そんなことを考える。
しかし、子供たちやカミサンに視点を置いて「家族」というものを考えた場合はどうだろうか?
この小説は5章で構成されており、1章ごとに家族それぞれの視点に基づいて展開されている。
父親が失踪したという事実は共通ではあるが、家族一人ひとりにそれぞれの事情があるのだ。
一人ひとりは、自分の抱える大きな問題に悩むわけだが、それが他の家族には気づかない。
しかし「家族」はそんな状況の中でも変わらず構成されてゆく・・。
何だかリアルだよなあ。
こんな家族を非難するとか、オレの家族はこんな風にならないぞなんて思う気は毛頭ない。
でも現実の家族って、こんなものなのかもしれない・・。