くまの柚子のレビュー一覧
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“「おうよ。俺は紳士なんだぜ」
蒼刻は「嘘こけ」とばっさり言ってやった。
——深窓のお嬢様に、根無し草の情報屋がうっかり惚れた。
そういうことなのだろうか。意外といえば意外な片恋である。
物語を書く高貴な女性と言われると、蒼刻はとっさに湘雲公主——太子殿下の姉公主である佳人を思い出す。蒼刻と朧月を題材にした物語まで書きはじめる、社交的で聡明だが困った姫君だ。
まさか彼女が、この男の想い人ということはないだろうが……。”[P.157]
5巻目。
蒼刻さんが何か危ない。色々と色々に危ない。
持ち上げて張り詰めて、しかしまさかの次巻に続く!
“蒼刻の傍らで獲物を狙う構えをとる白虎を見やると、張宝 -
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設定は好きな方だったんで、絵も嫌いじゃなかったんですけど、なんだろう、あまり入り込めませんでした。
30歳も年上のいけ好かない相手との結婚を嫌って逃亡して、飛び乗った列車に乗っていた王太子フェルウスと結婚することになったローダ。
失踪したってことなのに、まったくローダの実家のお話は出て来ませんでした。新聞見て、もしかして?って思ってもいいはずなのに、探しもしないのかなっていう疑問が。
王太子と結婚したのに、反対してたのはマリアルドだけで、「全き刃」の印象も弱かったかなぁ。最後の裏切り者もちょっと唐突でしたし、いきなりマリアルドも改心しちゃったし。
それよりもフェルウスがいったいどこら辺で -
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“「なんかもう、周りが見えてませんね、お二人とも」
「うむ。姫はともかく、蒼刻がああなるとは儂も意外じゃった。大丈夫かのう」
「それは武官さんの生命的な意味ですか?」
「まあ、それもあるがのう——」
などと幽鬼と白虎がひそやかに内緒話をしたのは、彼らだけの秘密である。”[P.98]
4巻目。
静心が出て来て会話の物騒さと面白さが増して。
“「大切なことだが——」
やがて静心は、神華国の政治的危機でも語るかのような重々しさで言った。
「我が妹はたいそう可愛い」
「…………は?」
「違うとでも言うのか」
答えによっては八つ裂きにする、と続いても違和感のない真顔である。冗談ではないのが余計に厄介 -
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“「否定はしない」
「うう……」
「だが、誰にでも平等に毒舌を吐くという点は評価できるぞ」
「え?」
「権力者に媚びることがないというのは、悪くない。誰にでもできることではないからな。お前は、この俺に対しても態度を変えないではないか」
褒められたと思ったら、やっぱりけなされていたようだ。クリスタはますます落ち込んだ。
(どうせ、私なんか……)
「お前は、俺の父や兄にも物怖じしないんだろうな。奴らに会わせてみたいと思う人間は、お前が初めてだ」
独りごちるようにそう言って、アロイスは喉の奥で笑った。
「な、なに?」
「この俺に面と向かってああまで言える人間は貴重だ。お前の毒舌癖、ルクアンの精霊のよ -
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ネタバレとうとう最終巻です。
十六夜の里に流された美咲ですが、いきなり走り回っていたので戸惑いましたが、乙斗という怪しい老人に助けられてました。
弘人は1ヶ月待って本当の敵である茨木童子と共に十六夜の里にたどり着いていたので、先に美咲に会うのはどっちかと思ったら、弘人の方だったんでほっとしました。
乙斗によって強制修行をさせられてた美咲がこれまでと違う雰囲気になってたことで、弘人が戸惑ってて、これまでの弘人優位の状況を中々作り出せずに、悶々としてたり、美咲のチラ見せ足にもやもやしてたり、指輪を渡す機会をいろいろ考えていたりってところは、にんまりしちゃいました。
まあ、そうはいっても、弘人さんです -
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ネタバレ前巻で予想していたとおり、弘人が自分を選んだのは、天狐の血脈だったからって、もやもや悩みはじめた美咲。
一方、弘人は弘人で、自分を鍛えに1ヶ月も美咲をほっぽった挙げ句に、自分の中では完結したみたいですけど、ほったらかしはよくないかなぁ。
美咲の悩むところを他に男ができた?とかって、焦ってくれたらいいんだけど、弘人さんは、そこまではなかったなぁ。
今回はタイトルにもあるように、海の妖怪がいっぱいです。
最初の導入のところのがよく分からなかったですけど、最後まで読むと、美咲と颯太って分かりました。声が出てない颯太はかわいいんだけど、声が出るようになったときの毒舌ぶりには、美咲たちでなくても、目 -
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“「そんなに小さくなられてしまうと、君を見失いそうだな。手をつなごうか朧月」
「......天祥さま。こいつは俺が連行しますから、お構いなく」
「え......あの、わたしは一人でも大丈夫で——」
「信用できるか馬鹿」「迷子になってからでは遅いんだよ?」
同時に言われて、しゅんとする。
そうして左手を天祥にとられたかと思えば、右の二の腕をぐいっと蒼刻に引っ張られ、朧月は目を白黒させた。今朝から挟み撃ちに合いっぱなしだ。
どちらが珍獣を連れ歩くか議論している間に、不幻がふいに後ろから来て朧月を抱え上げた。普段よりも高い位置に持ち上げられた朧月は、声にならない悲鳴をもらす。
不意打ちに目を点にした -
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ネタバレ14歳まで普通の国で過ごしてきたロクサナが生まれ故郷のメフルダート女王国に戻ってきたんですけど、この国の男女逆転が微妙でした。よしながふみの「大奥」も男女逆転ですけど、あっちはそれほど違和感を感じなかったのが、戦士や騎士で筋骨ムキムキなのが女性で、なよなよときれいでキーキーうるさいのが男らしいって・・・。
そんななか、ロクサナが惹かれたのが普通の男のアズハル。まあ14歳まで普通の国で生きてきたら、それが普通の恋愛観だと思います。
女王国ではダメ王女だったロクサナが、王女の立場に自覚して、アズハルを夫とすることができますけど、できたら、結婚したそのあともちょこっと書いておいて欲しかったかなぁ -
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ヒロインの美咲は妖狐と人間のハーフ。生家は表向きはコンビニだが、裏世界の妖怪が表の人間世界で悪さをせぬよう見張り、時には捕らえることを稼業とする橘屋分店。人としての普通の生か、妖怪に混じって家業を継ぐか決めかねる美咲の元に本店の息子であり、家業を継いだ場合美咲の婿になるという若者がやってきて……というお話。
ハーフだものの大義名分で狐耳っ娘を書けるという点において、設定は悪くないと思うし、美咲自体も可愛く婿殿も一見ヤなヤツだが、何だかんだで美咲には甘々なあたりも僕好みと言える。
だが、如何せんその背景にある設定をおどろおどろしくしすぎた感がある。「妖怪」を扱う以上、どうしても異形のものを -
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ネタバレ茶々姫といえば、浅井三姉妹の長女で気が強く、秀吉を手玉にとった淀君のイメージが強いですが、このお話は、秀吉など全然出てこない少女時代の初恋のお話でした。
松千代と恋仲になるのはいいけど、最後駆け落ちさせても結婚させても史実と変わってしまうから、最後はどうなるのかなって思ったら、松千代死亡で終わりました。うーん・・・。
まあ、史実には影響ない終わり方ですけどね。
あと、乱丸(私は蘭丸かと思ってましたけど、どっちもOKなんですね)もなんだかんだ言って、結構いい人だったのは、よかったかなぁ。私的には、優しい松千代よりは、ぶっきらぼうだけど意外と面倒見のいい乱丸の方がすきかも。 -
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“「いかがかしら?劉武官」
湘雲に感想を求められたので、蒼刻は黒髪にきらめく蝶の髪飾りを眺めつつ言った。
「飛んだと思ったら、へろへろと落っこちてきそうな瀕死の蝶に見えます」
「情緒があるのかないのかわからないわね、君は」
蒼刻の反応がお気に召さなかったらしく、女官長は「再挑戦します!」と言い、すでに魂が抜けかかっている朧月を再び連れ去ってしまった。やっぱり大丈夫かなあいつ。
「それにしても——紅梅宮での女官働きは花嫁修業を兼ねてると聞いたんですが」
「あら、きちんと兼ねてるわよ?遊び心も忘れないというだけで」
「............」
「ついでに、わたしの楽園も築かせてもらっているけれど -
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“「姚朧月。俺の顔なんか見ないで、前を見てろよ。いい感じだぞ」
「......!」
意味深な言いように妙に焦りを煽られ、朧月が顔を前に振り向けると。
(あ——)
怖いくらい開けた景色が、そこに広がっていた。やわらかな風が袖や髪をさらう。
いつのまにか関門を抜け、州都の外に出ていたようだ。
澄んだ青空。陽光にきらめく、一面の菜の花畑。四方から押し寄せる春の香り。
耳をすませば、さかんに働く蜂の羽音がかすかに聞こえてきた。
「......本格的に気分が悪くなってきました」
「なんでだ!?」
だれもが心癒されるだろう春の景色なのだが、朧月は逆にどんよりと沈んでしまう。
「だって、ここが本当に外で..