心の根っこが清らかで純粋なままなんだけど、どっかでいびつにゆがんでしまった人を書くのが上手い漫画家さんなんだなあと思います。
出てくる人物が全員そんな感じだから、物語が進むなかで二人がどうして歪んでしまったのかお互い理解し、和解しあう中で結果、恋愛関係に至ってしまう事に読み手側が説得力を感じるのだと思うのです。
今回の短編は波のむこうに、電波の男よ、海の満ちる音の三つで構成されてました。
せっかくなので、「電波の男よ」に関して感想を書こうと思います。
変態というのは、自分から「私が変態です」とは名乗りません。
名乗らないどころか、自覚さえもしていません。
主人公の大河内は、そういう感じの人間です。
自分が信じた絶対のものを信じぬき、それ以外は正しくないものであると判断し、我が道をグングン突き進むタイプです。
自分が正しくない、要らないと思った者・事には心を晴れ晴れとさせたまま「こいつら、死ね」とナチュラルに思える男です。
そういう人はきっと変態だと思うのです。
狂信的なまでに一つのものに執着し続けられる事、それに迷いもない事。この二つの理由から私は強烈に変態だと思いました。
で、これは感想なので良いと思うんですけど、私は変態が大好きです。というのも、変態の方が純粋な愛を持ってるからじゃないかなと思うからです。
迷いもなくひたすらに愛し続ける事は宗教に似た恐ろしさを感じますが、それこそが大体の乙女の求める愛情なのだと思うのです。
そんな変態の恋愛模様を一番うまく、かわいらしく描いている作品が「電波の男よ」という作品だと思います。
どこまでも純粋に求めるからこそ、ちょっと歪んでしまって、それが何となく人間らしくて可愛らしい作品だと思います。
他の二編も良かったです。