永山篤一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻はコゼットとマリウスの濃い恋愛が底辺に据えられた展開。少々飾りすぎた語りであるもののジャン・バルジャンなりマリウス視線で没入して読む。革命ゲリラによる籠城の場面で無駄に人物が増え、間延びし停滞するが、それ以外は様々な要素が盛り込まれ、主要人物達がその人柄を活かした活躍をするので興味尽きず読めた。
特に最後のジャン・バルジャンが語らずに去る後の展開がもどかしい。
悪党テナルディエが最後までのさばらせるのは何か意図があったのだろうか。また、ジャヴェール警部の自死は意外だった。
全編を通して自分に正直に生きることの辛さと勇気、正しい人生観というものを考えさせられる。
あとがきによると、本書は原書 -
購入済み
レ・ミゼラブル
話の流れに不必要な詳細描写が割愛されていること、訳が現代に適した表現であること、それでもおそらく作者にとっての本質や品位などが落ちていないだけのレベルが保たれていて、現代人が読むにはとても適している訳だと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレぃやー、意外だったよね。
レ・ミゼラブル、実はミュージカルも観たことないんだ。
どないにしてロングセラーなのかと思ったら、意外と面白かった。
なぜか?
*まず、思った以上にドラマ性がある。なんというか、盛り上がる場面が随所に出てくるね。
*そして、精神的であると同時に社会的。
主人公その他の内面を描くと同時に、(と言っても、「罪と罰」なみの深いというかダダ漏れのものではなく)社会に対する疑問も呈していて。善とは?法とは?宗教とは?みたいな問いかけもなくもない。
*実はフランス革命期の話だったのか!っていう時代背景すら知らなかったわけだが、そんな歴史性もあったりして。
なかなか興味深かったっす -
Posted by ブクログ
ネタバレこの角川文庫がだしている『レ・ミゼラブル』は、ハーバード大学の教授がユゴー作の原作にある過剰なほどの背景説明を省き、編集しなおしたものを和訳し出版したものである。なので原作ではまず間違いなく途中で挫折していただろうが、まったく苦に感じることなく楽しめて読めた。
個人からの視点で社会の無情さを痛感させられ、それがフランス革命の大きな時代の波へと展開していくさまはとにかく壮大で、スポットの当たることの少ない社会の溝や矛盾での無情さを浮き彫りにさせてくれている。200年も前の作品なのに現代のわたしたちでも考えさせられる内容だった。
また、終わり方が自分好みで、読み終わった後はしばらく何もせずに余 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「世間は震撼せども、十字架は微動だにせず」
レ・ミゼラブルを読みやすくした本。新潮文庫こそレ・ミゼラブルだという人もいるが、読みやすいこちらから手をつけるのがいいだろう。面白いと思って、さらに詳しく読みたい人はそちらを読めばいい。
ジャン・ヴァルジャンは悪人だった。生きるために心を汚した。しかし、寛容な司祭に出会い、彼は変わり始めた。これは、彼の救済の物語である。ところどころ利己的な部分が出てくるが、彼は人のために自己を犠牲にできる人物になっていく。たとえ、築き上げた地位を捨ててまでも。
”レ・ミゼラブル”、ああ無情。それでも信念を捨ててはいけない。 -
Posted by ブクログ
以前見たこの物語を原作とした映画が面白かったので読んでみました。最後の解説でようやく気付いたのですが、どうやらこれは縮訳版だったようですね。違和感なく読むことができ、充分満足してしまったので、完訳版は記憶が薄れてからまた読もうかと思っています。
こういった道徳劇、私は好きです。きっと、物語の展開は都合が良すぎ、また作者の思想部分もなんだか甘ったるすぎる、と思われる方もいるだろうと思いますが、このような『善』への信仰や称賛、憧れというものは、たとえ現実の世界に実際には通用しないとしても、己の内から現れるあらゆる悪徳から心を守るための良き盾となると思うからです。
もしかしたらこう考える人は少数派な -
Posted by ブクログ
まさに名作
『ああ無情』の邦題と共に、ロングラン演劇、映画でも有名な本書。
完全版はとにかく長くてなかなか手を出せないでいたが、コンパクトな新訳と言う帯の文句につられて購入。
上下二巻なのでかなり読みやすくなっているのではないかと思われる。
主人公、ジャン・バルジャンは刑務所を脱走し、神の説く「愛」に触れる。
銀の燭台。
それが彼を少しずつ変えていくきっかけだ。
一方、コゼットという少女は、彼が生涯慈しみ、愛しぬいた存在である。
彼女は幼い頃別れた母の姿を思いつつも、ジャンの愛を一身に受け、身も心も美しい女性となって、新たな人生のステージへと進んでいく。
彼女と結ばれるマリウスは悩みながらも