永山篤一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻はコゼットとマリウスの濃い恋愛が底辺に据えられた展開。少々飾りすぎた語りであるもののジャン・バルジャンなりマリウス視線で没入して読む。革命ゲリラによる籠城の場面で無駄に人物が増え、間延びし停滞するが、それ以外は様々な要素が盛り込まれ、主要人物達がその人柄を活かした活躍をするので興味尽きず読めた。
特に最後のジャン・バルジャンが語らずに去る後の展開がもどかしい。
悪党テナルディエが最後までのさばらせるのは何か意図があったのだろうか。また、ジャヴェール警部の自死は意外だった。
全編を通して自分に正直に生きることの辛さと勇気、正しい人生観というものを考えさせられる。
あとがきによると、本書は原書を半分弱に縮めた英訳版をさらに日本語に訳したもので、読みやすさの根拠だと納得する。原書の訳本ならよほど苦痛を伴う読書となったろう、と安堵した。
洋書を食わず嫌いしている人にもオススメ出来る娯楽作と思う。 -
購入済み
レ・ミゼラブル
話の流れに不必要な詳細描写が割愛されていること、訳が現代に適した表現であること、それでもおそらく作者にとっての本質や品位などが落ちていないだけのレベルが保たれていて、現代人が読むにはとても適している訳だと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレぃやー、意外だったよね。
レ・ミゼラブル、実はミュージカルも観たことないんだ。
どないにしてロングセラーなのかと思ったら、意外と面白かった。
なぜか?
*まず、思った以上にドラマ性がある。なんというか、盛り上がる場面が随所に出てくるね。
*そして、精神的であると同時に社会的。
主人公その他の内面を描くと同時に、(と言っても、「罪と罰」なみの深いというかダダ漏れのものではなく)社会に対する疑問も呈していて。善とは?法とは?宗教とは?みたいな問いかけもなくもない。
*実はフランス革命期の話だったのか!っていう時代背景すら知らなかったわけだが、そんな歴史性もあったりして。
なかなか興味深かったっす。
ちょっと、これをミュージカルの長さに短縮したらどうなるのか、観てみたくなったかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの角川文庫がだしている『レ・ミゼラブル』は、ハーバード大学の教授がユゴー作の原作にある過剰なほどの背景説明を省き、編集しなおしたものを和訳し出版したものである。なので原作ではまず間違いなく途中で挫折していただろうが、まったく苦に感じることなく楽しめて読めた。
個人からの視点で社会の無情さを痛感させられ、それがフランス革命の大きな時代の波へと展開していくさまはとにかく壮大で、スポットの当たることの少ない社会の溝や矛盾での無情さを浮き彫りにさせてくれている。200年も前の作品なのに現代のわたしたちでも考えさせられる内容だった。
また、終わり方が自分好みで、読み終わった後はしばらく何もせずに余韻に浸ってしまった。さすがは200年たった今でも名作といわれる作品。これは誰かにお勧めしたい本。
他のレビュアーも指摘していたが、かの有名な銀の燭台の話の原作がこれだったとは驚きだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「世間は震撼せども、十字架は微動だにせず」
レ・ミゼラブルを読みやすくした本。新潮文庫こそレ・ミゼラブルだという人もいるが、読みやすいこちらから手をつけるのがいいだろう。面白いと思って、さらに詳しく読みたい人はそちらを読めばいい。
ジャン・ヴァルジャンは悪人だった。生きるために心を汚した。しかし、寛容な司祭に出会い、彼は変わり始めた。これは、彼の救済の物語である。ところどころ利己的な部分が出てくるが、彼は人のために自己を犠牲にできる人物になっていく。たとえ、築き上げた地位を捨ててまでも。
”レ・ミゼラブル”、ああ無情。それでも信念を捨ててはいけない。 -
Posted by ブクログ
以前見たこの物語を原作とした映画が面白かったので読んでみました。最後の解説でようやく気付いたのですが、どうやらこれは縮訳版だったようですね。違和感なく読むことができ、充分満足してしまったので、完訳版は記憶が薄れてからまた読もうかと思っています。
こういった道徳劇、私は好きです。きっと、物語の展開は都合が良すぎ、また作者の思想部分もなんだか甘ったるすぎる、と思われる方もいるだろうと思いますが、このような『善』への信仰や称賛、憧れというものは、たとえ現実の世界に実際には通用しないとしても、己の内から現れるあらゆる悪徳から心を守るための良き盾となると思うからです。
もしかしたらこう考える人は少数派なのかもしれませんが、少なくとも私は、心が弱いためについ行ってしまう自分の自己中心的な行動に気付くと、「あのときジャン・ヴァルジャンはあんなに苦しみながらも、自分から名乗り出て罰を受けるという高潔な決断をし、その結果、苦労して手に入れた財産も名誉も安楽な生活も失った。そして私はそれに驚き、正しいことだと思った。それなのに、正しさに感動したはずの同じ心で、私はこんなことをしていて、本当に良いのか? 恥ずかしくはないのか?」というような風に反省し、自分の心の中に傲慢や卑怯や妬み等を呼び込まないように気を付けるための味方としています。「こんなとき、ジャン・ヴァルジャンならどうするだろう? アリョーシャなら? ネフリュードフならどうだろう?」という考え方は、過大な自己評価を抑え、自分の至らなさを自覚する良いきっかけになります。偽善的だと思われるかもしれませんが、個人的に、このような意味で道徳劇は有用だと思うのです。
特にこの物語は、善を目指しながらもひどく迷い苦しみ、二転三転する主人公の心理描写が真に迫っており、とても面白く読むことができました。こういった有名な作品は、やはり読む価値があるものですね。 -
Posted by ブクログ
まさに名作
『ああ無情』の邦題と共に、ロングラン演劇、映画でも有名な本書。
完全版はとにかく長くてなかなか手を出せないでいたが、コンパクトな新訳と言う帯の文句につられて購入。
上下二巻なのでかなり読みやすくなっているのではないかと思われる。
主人公、ジャン・バルジャンは刑務所を脱走し、神の説く「愛」に触れる。
銀の燭台。
それが彼を少しずつ変えていくきっかけだ。
一方、コゼットという少女は、彼が生涯慈しみ、愛しぬいた存在である。
彼女は幼い頃別れた母の姿を思いつつも、ジャンの愛を一身に受け、身も心も美しい女性となって、新たな人生のステージへと進んでいく。
彼女と結ばれるマリウスは悩みながらも自分の道を貫いた。
この三人の人物のそれぞれが困難を前にしながらも生きていく様に、感動を隠せない。
さて、ジャンを執拗に追いかけるジャヴェール警部。
またテナルディエなど、憎まれ役もまた魅力的だ。
やきもきし、怒りを覚えながらも彼らが登場するのを心待ちにしている自分がいる。
しかしながら好きではない人物もまた存在する。
前出のマリウス。
純粋といえば聞こえはいいが、世間知らずで理想ばかり追いかけているように私には思えた。
革命を舞台にしていたとは知らなかった。
バリケードをつくり、マスケット銃で応戦し、その中で人々は一瞬の輝きを放つ。
名もなき人々。
語られない人々。
美談の裏に巧妙に隠された戦いの恐ろしさ、国家の巨大さ、それに翻弄されながらも流れを変えようとする小さな努力.....
どれもこれも感じ入るところが多い。
悲しみや苦しみが続く中で、最後に出てくる一筋の希望。
これが本作を貫くものだったのかとわかる。
堅苦しい作品だと敬遠していたが、そうではなかった。
変わらぬものを丁寧に描いた一流の作品出会ったことに遅まきながら気づいた。
遅すぎることはない。
ぜひともこの著者の思いを受け取ってほしい。