永山篤一のレビュー一覧
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かなり昔に完訳版を読もうとして挫折しましたが、抄訳(ところどころを抜き出した翻訳)上下巻、文庫本2冊、読み切りました!
舞台ミュージカルは観たことがあるので、舞台で描かれない場面が補完されていく感じがして、興味深く読み進められました。
エポニーヌとマリウスのやり取り、舞台で出てくるものがあちこちにあります。
舞台最後の方のマリウスとテナルディエのやり取りが今ひとつわかりにくかったのですが、スッキリしました。
バルジャンの中の白の天使と黒の天使、誰もが似たようなことを感じたことがありそう。
p.261〜265に渡るアンジョルラスの演説が素晴らしい。
あとがきに書いてありますが、
完全版は -
Posted by ブクログ
かなり昔に完訳版を読もうとして挫折したので、抄訳(ところどころを抜き出した翻訳)である角川文庫のを読みました。
※抄訳でも上下巻、文庫本2冊になります。
話の本筋はしっかり押さえられており、スルスルと読めました。
舞台ミュージカルも観たことがあるのですが、抄訳版でもミュージカル化されている場面はほぼ載っているように思えましたので、
最初に読むには良い本だと思いました
かつてパン1つを盗んだ罪で投獄されてジャンバルジャンが司教様との出会い、ファンテーヌとコゼットとの出会いを通して、澄んでいくのが心地よいです。
もちろん、行きつ戻りつする人間らしい葛藤を抱えながらですが。
名作と言われるのも納 -
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永遠に読み継がれてほしい名作。
劇とかでよく上演されてるなと思いながら読まずにいたのですが、読んで良かったです。
登場人物一人一人の物語が複雑に絡み合いながら進んでいく展開にあっという間に読み終わってしまいました。
ジャンが司祭と出会い救われ、人のために生きながら葛藤する様子がとても心打たれました。一度でも罪を犯した人を許せない人というのは確かにいて、それでもその人を憎まずに自分の運命に真っ直ぐ向き合う姿勢に涙が出そうでした。
誰もがハッピーエンドとはいかないのが、時代背景がしっかり反映された本作の特徴なのでしょうが、どうか幸せになってと思わずにはいられません。
下巻も読むのが楽しみです! -
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ネタバレ神神神神神!!!!初めて物語で泣きました!!
この本には宗教歴史哲学道徳ユーモア家族愛恋愛友情社会風刺全てが詰まってる!!
ジャン・ヴァルジャンは産まれ(社会)により生き抜くための罪を犯さざるを得なく、パンを盗んでしまった。それにより投獄されたが、餓死寸前の家族の為に自分が働かなくてはならず、何度も脱獄を謀った結果10数年投獄されてしまった。やっと出てきたが家族の行方は分からず、犯罪者だと小石を投げられ宿からも迫害される。そんな中質素な生活をする善良な司教に泊めてもらったが、司教の恩を盗みという仇で返してしまい、後の宿敵ジャヴェールに捕まってしまった。が、司教がそんなジャン・ヴァルジャンを庇 -
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下巻で印象に残ったのはジャベール警部
ジャンバルジャンは前科者だけど善行を行う人、ジャベール警部は法律家だけど正義を盾に悪行を行う人として描かれる。
ジャンバルジャンを追いかける中で盲目的に信じてきた法律が完全ではなく、前科者にも善性がある事に気づいてしまったが故に、戸惑い苦しむ。
今までに行ってきた正義は弱者を虐げるものだったかもしれない、厳罰を科された者の中にも善い人がいたかもしれない。
何より、ジャンバルジャンを信用してしまった自分自身も法律に背く存在として許すことができない。
これまでの信念を貫いた必死の行いが、取り返しのつかない過ちだったと気づいてしまう事もまた途方もない苦しみ -
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厳しい時代のフランスで主人公ジャンバルジャンが前科者から聖人に至るまでの人生の旅路を描いた作品。
ジャンバルジャンは何度も重要な決断を迫られる中で、ただ神の教えに従って、法に従って決断するのではなく、何が最善か苦しみを伴いながら葛藤する。何かに影響されて決断するのではなく何が善い行いか、自身が責任を負う事の恐怖に打ち勝つ覚悟が何よりも美しかった。
以下印象に残ったシーン意訳
他人の為に悪事を行うことについて
自分の事しか考えてないな、良心の呵責に苦しむことと神に見捨てられ地獄に落ちる事がそんなに怖いのか、それもまた自分可愛さなんじゃないか。 -
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ネタバレパンを盗み19年間獄中生活を過ごしたジャン・バルジャンは、出獄後に再び盗みを働く
しかし司教の優しさで良心に目覚め、市長となり、過酷な状況で暮らしていた売春婦の娘コゼットを養女として引き取り共に生活を始める
フランス革命下の激動の時代を生きる様々な人の運命が描かれている作品
どの人物にも心の奥に強さと脆さがあって、それがぶつかったり融合する瞬間に感動が生まれるんだよね
この時代を生きる人達のたくましさがひしひしと伝わってくる
特にファンティーヌの行動に胸が締め付けられた
本もとても良いけど、映画、ミュージカルでは音楽がすばらしすぎてこれをもって完成するのではとさえ思う
初めてレミゼの舞台 -
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初めて本作品を読むのに恐らく丁度良い量かと思います。
パンを一斤盗んだら…から始まり、司教に出会ったジャン・ヴァルジャンは善も手探りながら心得るようになり、しかし過去の悪を知る彼は悩み、葛藤する。
善と悪は紙一重であり、心得さえあれば…しかし難しい美徳の道へと一歩一歩進むことが出来る。
その道は、悪を知る者、だいたい小さな悪というものを人間は持っているけれど、美徳にまっしぐらとは到底困難と思える。
悪に落ちることは正反対に簡単だけれど、周りにとっても自身にとっても善人であることにの困難さ、司教の優しくも強い信念から始まる上巻は、どんどん読めてしまいました。 -
Posted by ブクログ
下巻は、1832年6月5日に起きたパリ蜂起の模様が中心である。1830年の七月革命でブルボン王朝が倒れた後に、日和見主義のブルジョワジーの推薦によって新たに誕生したフィリップ王政に対する、人民の不満が、深刻な経済状況に加え、コレラの蔓延などで沸騰点に達し、若者たちを中心にパリ市街にバリケードを築き、政府軍と戦った。
血で血を争い、どさくさに紛れて一般市民が死んでしまう。また、正義のための争いの前では殺人が正当化されてしまう、そういう戦闘は肯定したくないが、この蜂起のリーダーであったアンジョルラスの演説には感動して鳥肌がたった。
「自分自身の主権を、われわれは“自由”と呼んでいる。そういった -
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子供の頃に接した「ジャン・バルジャン物語」やミュージカル「レ・ミゼラブル」で分かったつもりになっていてはいけない。一度は原作を読んでみなければ…と思っていたが、文庫本4冊の完訳はやはり長すぎる。この「抄訳」で妥協したつもりだったが、これが面白い!!
ユゴーの原作はさぞかしお固くて、重々しい社会派小説だと思っていた。しかし、読んでみると、解説にもあるように、冒険やミステリーなど様々な娯楽小説の要素に溢れ、ドラマチックな世界に入りこんでいく。
だいたい、十五年間も服役していた男(ジャン・バルジャン)が、社会復帰してから、たった数年で市長になるなんて、いくらメディアで面が割れない19世紀でもあ -
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ネタバレこちらの作品はヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の原作の本質を残しつつ過剰な部分を取り除き英訳したものを日本語訳したものらしく最後まで読みやすい作品でした。
上巻と同様、登場人物それぞれに味があり読み進めるのがとても楽しい作品でしたが、下巻はフランス革命に巻き込まれる場面や最後の方のジャン・ヴァルジャンとコゼットの心が離れていく場面はドキドキと悲しみを感じました。
最後はマリウスに真実が伝わり良かったなと思いますし、ジャン・ヴァルジャンの物語全体での人柄の素晴らしさとコゼット、マリウスとの別れの場面とで自然と涙が出てしまいました。