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あわただしい時代のなかで、貧しくても上昇志向でがんばっていた青年マリウスは、ある美少女に恋をした。謎の男性といつも一緒のコゼットだ。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのまっただなかに巻き込まれ、絶体絶命となる。そのとき、コゼットと一緒にいた男、ジャン・ヴァルジャンと再会した! ジャヴェール警部、凶悪犯テナルディエなどもまじえながら、壮大な物語は感動のクライマックスへと向かう――。
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Posted by ブクログ
かなり昔に完訳版を読もうとして挫折しましたが、抄訳(ところどころを抜き出した翻訳)上下巻、文庫本2冊、読み切りました! 舞台ミュージカルは観たことがあるので、舞台で描かれない場面が補完されていく感じがして、興味深く読み進められました。 エポニーヌとマリウスのやり取り、舞台で出てくるものがあちこち...続きを読むにあります。 舞台最後の方のマリウスとテナルディエのやり取りが今ひとつわかりにくかったのですが、スッキリしました。 バルジャンの中の白の天使と黒の天使、誰もが似たようなことを感じたことがありそう。 p.261〜265に渡るアンジョルラスの演説が素晴らしい。 あとがきに書いてありますが、 完全版は 「馬車でBに行った」と書かずに、 御者がどんな人間か説明し、御者と登場人物のやり取りが書かれ、そしてそれが本筋とは関係が薄い 読みにくいはずです。 最初は抄訳版がわかりやすいのかもしれないと思いました。読み終わった後に、より深掘りするために完訳版もいいかもしれません。
本当に素晴らしい作品。 激動の時代を生きた人々を、主人公のジャン・バルジャンにだけスポットをあてるのでは無く、脇役もどんな人物なのか想像出来るくらいにそれぞれが詳しく描かれていて、物語の登場人物だけど、そこに生を感じられる。 人々の暮らしがどんな様子なのか、街がどんな状態なのか、とにかく書き込みがす...続きを読むごい。 これで完訳では無いなんて。 完訳はけっこう省いてもよさそうなところがたくさんあって読むのが難しいと聞くので、初めて読む人はこれがいいのでは? このレ・ミゼラブルを読むと、今度は完訳を読みたくなる。 レミゼの無限ループに陥りそう。
最近の翻訳版なのでかなり読みやすかった。19世紀フランスの不安定な社会情勢の中で熱気を帯びていく市民と、登場人物を通して描かれる当時の人生観がよくマッチしていて、スピード感と深みが両立されている名作。
読んでいてくるしい。正しさとはなんなのか。 ジャンもジャベールも、正しいけれど正しくない。 2024/10/15追記 映画をみた。映画だとさらに悲しくて。苦しくて。 ただただ、この時代の風景が寂しくて。 何が正解なのか、何が幸せなのか。何のために人は戦うのか。 平和とは何か。
下巻で印象に残ったのはジャベール警部 ジャンバルジャンは前科者だけど善行を行う人、ジャベール警部は法律家だけど正義を盾に悪行を行う人として描かれる。 ジャンバルジャンを追いかける中で盲目的に信じてきた法律が完全ではなく、前科者にも善性がある事に気づいてしまったが故に、戸惑い苦しむ。 今までに行っ...続きを読むてきた正義は弱者を虐げるものだったかもしれない、厳罰を科された者の中にも善い人がいたかもしれない。 何より、ジャンバルジャンを信用してしまった自分自身も法律に背く存在として許すことができない。 これまでの信念を貫いた必死の行いが、取り返しのつかない過ちだったと気づいてしまう事もまた途方もない苦しみであり、そこで良心に従って苦しむ事ができるジャベール警部もまた悪人ではないと感じた。
詠み終わった後はやはり映像や舞台の方も観たくなった♪頭の中では『民衆の歌』を始めとする有名な曲が流れてきて、まさに名作だと感じられた。
終わりに近づくにつれ苦しくなる、魂と進歩の話。 魂が穢れる、魂が清らか、そんな曖昧な言葉の意味をこの本は教えてくれる。 壮絶だった…。 強くなるには、同じ位のパワーを持つ仲間や家族を持たねばならない。 品物ではなかなか無いと思う。 対話が大事。 そこに魂と愛があるならば。
下巻は、1832年6月5日に起きたパリ蜂起の模様が中心である。1830年の七月革命でブルボン王朝が倒れた後に、日和見主義のブルジョワジーの推薦によって新たに誕生したフィリップ王政に対する、人民の不満が、深刻な経済状況に加え、コレラの蔓延などで沸騰点に達し、若者たちを中心にパリ市街にバリケードを築き...続きを読む、政府軍と戦った。 血で血を争い、どさくさに紛れて一般市民が死んでしまう。また、正義のための争いの前では殺人が正当化されてしまう、そういう戦闘は肯定したくないが、この蜂起のリーダーであったアンジョルラスの演説には感動して鳥肌がたった。 「自分自身の主権を、われわれは“自由”と呼んでいる。そういった主権がいくつも集まれば、“国家”が生まれる。そして、この複数の主権の集まりの中では、権利が失われることはない。社会の権利のために、一人一人の主権が多少制限されるだけだ。その制限量はみな同じだ。一人一人が他人のためにこうむる制限が同じことを“平等”と呼ぶ。共同の権利とは、個人個人を守るための全員による保護のことだ。一人一人に対する、この全体による保護を“友愛”と呼ぶ。そして、これらの主権の交差する場所こそが“社会”なのだ。(中略)みんな、平等とは誰もが同じ高さにとどまっていることではない。たけの高い草と、小さい柏の木がならんだり、互いに相手を妬み、抑えつけ合う社会のことではない。社会の面では、全員が同じように能力を高める機会を持っていることであり、政治の面では、誰もの一票が同じ重さを持っていることであり、宗教の面では、どの信仰も同じように扱われることなのだ。平等のもとで、無償による義務教育というものが誕生した。全員に義務付けられている小学校。全員にひらかれた中学校。これが基本だ。同じ教育環境によって平等な社会が誕生する。そう、教育が大切なのだ!そこに光明が、救いの光がある!・・・・・みんな、19世紀は偉大だが、20世紀はもっと幸せになれるだろう。そのころには、もう古い歴史を引きずるようなものは残っていない。現在のような支配、侵略、略奪、武力行使による国家間の対立。国王の婚姻がきっかけの文明の変化・・・(中略)みんな、私がこうして語っている現在は、暗くやるせない時代だ。でも、これは将来を形づくるための生みの苦しみなのだ。革命は通行税のようなもので、未来のために高い代償を払う必要がある。・・・バリケードは、敷石や角材や鉄くずでできているのではない。ここは思想と苦悩の二つが積まれ、山となって誕生した。無慈悲と理想がぶつかる場所だ。・・・・同胞よ、ここで亡くなったとしても、未来の輝きに包まれて死ぬのだ。・・・」 これは1832年、今から約200年前のことであり、この後、世界は大きな戦争を2回もして、反省し、先進国は少しずつこの時のアンジョルラスの理想とした社会に近づいてきたわけであるが、この時革命を引っ張ってきた若者は、混乱したフランス社会でこんなに先見の明を持っていたのだと分かり感動した(大多数の人々は理論的にはよくわからず、革命にエネルギーを注いでいただけかもしれないが)。フランス国旗のトリコロール「自由・平等・博愛」の意味が分かった気がする。そして、さらにこの部分が私の胸を打つのは、これが後世の人々によって書かれた歴史書ではなく、その時、タイムリーに現場に居合わせたユゴーによって、ルポタージュのように書かれたということである。 ジャン・バルジャンが革命のバリケードの中からマリウスを救い出し、砲火を逃れるためにパリの真っ暗な地下道を命懸けで通って安全な地上に避難したシーンも圧巻だった。 パリに行ってみたくなった。このような歴史事件があったパリの街並みを見てみたくなった。 子供向けに「ジャン・バルジャン物語」などが刊行されていたから、この小説の主人公はジャン・バルジャンだと思っていた。しかし、「ああ無常」と言われるこの小説の主人公は、蜂起の中で「役に立ちたい」と張り切って、敵の散弾が飛び交う中、無邪気にも歌を歌いながら味方の為に弾薬を拾い集めて死んでいった、貧しい最下層のガウローシュ少年のような名もなき貧しい一般市民だったのだと分かった。 ジャン・バルジャンは若い日、パンを盗んだ罪で投獄され、その後脱獄を繰り返したことで、15年間も獄中生活を送ったが、その後ビジネスで成功し、市長にもなり、再度シャベールに捕まったが、再度脱獄して、追われる生活をしながらも、少女コゼットと幸せな9年間を過ごし、最終的に自分は身を引いてコゼットをマリウスという若者に渡してしまうが、革命で散った若者たちに比べると幸せな人生を送ったかもしれない。 ジャン・バルジャンは、貧困、差別、闘争などの矛盾に満ちた社会の中で、人間が無理やり作った規範と戦った強い、愛に満ちた大きな人だったと思う。 登場人物一人一人の人生がドラマチックで、パリ蜂起という山場もあるので、ミュージカルとしても成功したが、やはり原作(抄訳だが)を読んで、ユゴーの考え方が分かり、本当に良かった。
下巻はコゼットとマリウスの濃い恋愛が底辺に据えられた展開。少々飾りすぎた語りであるもののジャン・バルジャンなりマリウス視線で没入して読む。革命ゲリラによる籠城の場面で無駄に人物が増え、間延びし停滞するが、それ以外は様々な要素が盛り込まれ、主要人物達がその人柄を活かした活躍をするので興味尽きず読めた。...続きを読む 特に最後のジャン・バルジャンが語らずに去る後の展開がもどかしい。 悪党テナルディエが最後までのさばらせるのは何か意図があったのだろうか。また、ジャヴェール警部の自死は意外だった。 全編を通して自分に正直に生きることの辛さと勇気、正しい人生観というものを考えさせられる。 あとがきによると、本書は原書を半分弱に縮めた英訳版をさらに日本語に訳したもので、読みやすさの根拠だと納得する。原書の訳本ならよほど苦痛を伴う読書となったろう、と安堵した。 洋書を食わず嫌いしている人にもオススメ出来る娯楽作と思う。
この本は、嘘が無い文章だと思いました。 たとえ何があろうと、前を向いて前進していかなければと思いました。 最後は、目が潤んでしまいました。
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