佐伯一麦のレビュー一覧

  • 山海記

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    ネタバレ

    山海記(せんがいき)

    佐伯一麦著
    2019年3月20日
    講談社

    奈良県橿原市の大和八木駅から和歌山県の新宮駅まで、高速道路を通らない路線バスとしては日本一長いバス路線がある。距離166.9キロ、停留所数167、所要時間6時間30分、乗車料金は5250円。私も最初に大阪から車で十津川村~新宮へ取材に行った時、十津川沿いの、車がすれ違えないような細い国道168号で、反対側から「大和八木」行の奈良交通バスがきて、八木まで行くの?とスタッフと一緒に目を丸くした覚えがある。

    この小説は、東北に住む主人公の「彼」が、東日本大震災の数年後の3月11日に、奈良県を訪れ、八木から新宮までのバス旅を試みる話

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    2021年03月29日
  • 空にみずうみ

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    著者自身をモデルとする、東北に暮らす作家の早瀬と、その妻で染色作家の柚子の、震災から三年が経った日々の暮らしを綴った作品です。

    植物や野鳥など生活に身近な自然の営みをていねいに観察し、近所に暮らす人びとと交流するありさまを通して、静かな日常がえがかれていますが、これらの出来事が「震災以後」というエポックにおいて作品世界が構築されていることに読者は注意を向けざるをえません。こうした何気ない日常がいつ何時うしなわれてしまうかもしれないということを知ってしまった者の視線を通して見られた日常の風景であり、同時に、そのような危機に直面しても完全に壊れてしまうことのない、自然と人びととのつながりに対する

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    2019年10月11日
  • 山海記

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     10年前、2009年に豊橋を出発して伊勢に亘理、吉野から山に入り十津川を新宮まで抜け、串本を回って和歌山まで自転車で走った。
     十津川は北海道以上に何もなく、100km走ってコンビニもない。
     昼飯どうしようかと、当時はつるんで走る二人で困り、十津川の河川敷にテントを張って野宿したりと、五日間走った。

     日本で最長の路線バスは大和八木駅から新宮へ至る、166.9km、6時間半のバス旅だ。
     その途中、天辻峠を越えてからは十津川沿いを走る。
     十津川は明治に大水害があり、そして近年2011年にも水害に見舞われた。
     かつての水害、近年の水害とを東日本大震災の津波被害と重ね、そして自身の過去を

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    2019年06月05日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    私自身は芥川賞に何の思い入れもなく、
    賞を取った作品だからどうという事もない。
    寧ろミーハーな感じがあり、近年の受賞作品は避けてすらいる。
    しかしながら友人に
    芥川賞を取った作品を好んで−近年に至っては欠かさず−読むという人間がいて、
    その友人が勧めてくれた本。

    当然のことだが受賞作品に脚光が当たりがちなわけであるが、
    受賞を逃したからといって出来が悪いわけではなく、
    作品の出来は十分でありながらも運悪く逃した作品は多いはずで、
    そこに焦点を当てた点は非常に好奇心を刺激した。
    やはり人間の選考には好みや偏見や理解や無理解・その時々の事情や背景があり、
    またドラマもある。
    必ずしも作品そのもの

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    2016年05月08日
  • 還れぬ家

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    認知症の父に向き合う、ひたすら日常を重ねた物語。仙台が舞台のため、東日本大震災の話も出てくる。
    特にドラマチックというわけではないのだが、何故か読まされてしまう。
    家というもの、家族というもの。
    これから直面するであろう現実をみたきがする。

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    2015年11月14日
  • 還れぬ家

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    私小説である。まだ、こうした作品を生み出す作家が居たのかと驚いた。

    五十歳間近の主人公は十代で実家と疎遠になるのだが、父親の認知症により母親が介護で疲弊する姿を見て、再び実家、家族に寄り添っていく、といったストーリーである。そんな父親が亡くなり、直後に発生した東日本大震災…

    小説として面白いかと問われれば、全く面白くはないのだが、主人公と同じような年代には身につまされる内容だった。

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    2015年11月01日