佐伯一麦のレビュー一覧

  • アスベストス

    Posted by ブクログ

    静かな時限爆弾のアスベスト。身近な建材に健康被害が認知されたにも関わらず30年以上使用された。今後それが使用された家やマンションが解体された時の管理が不安。また、震災や水害で被害を受けた家やマンションからもアスベスト飛散が考えられる。過去の問題がまだまだ未来へも。

    0
    2022年02月06日
  • 日和山 佐伯一麦自選短篇集

    Posted by ブクログ

    落ち着いていて美しい文章。
    この文庫と字体の雰囲気もぴったり。
    阿部公彦氏の解説に天晴~となったので、抜粋します。

    「あからさまに悲劇を演出しようとするのではない。情緒の不安定さを押しつけようとするのでもない。さまざまな危機を横目で見やり、自身の中にも重たいものをかかえながら、細心の注意をはらって呼吸しつづけること。言葉を紡ぎつづけること。そして、上手に力を抜きながら他者の言葉を導きこむこと。(中略)このような小説的呼吸法を通して彼が読む者の呼吸を助け、ひいては生きるのを助けるような作用を生み出しているからではないかと思う。」

    0
    2022年01月05日
  • 往復書簡 言葉の兆し

    Posted by ブクログ

     東北の震災の年、東京の古井由吉と仙台の佐伯一麦のあいだでやり取りされた手紙。際立ったことが語られているわけではない。でも、今読むと、もう一度心の中の、ことばにならない何かを失いたくないと思う。1995年阪神大震災という、自然の、想像を絶する破壊の、刻み込まれた、経験に戻っていく自分を見つける。
     家族を失い、自宅は倒壊した少年や、少女たちが、倒れなかった学校の、薄暗い職員室にやってきて、笑いころげ、経験の奇異を自慢しあうかのようにおしゃべりしていた。そんな顔が浮かんでくる。25年も昔のことだ。
     二人の作家が、そんな少年たちの心の奥にあったもののことを語ろうとしている。
     誠実な本だ。

    0
    2019年02月12日
  • 還れぬ家

    Posted by ブクログ

    少年だった。家族を捨てて家を出た。老いた父と母。震災。「還れぬ家」と題した作家になった少年の現在。生きている人間に時は流れる。読みながら、揺さぶられているのは、ぼくのなんだろう。

    0
    2019年02月03日
  • 還れぬ家

    Posted by ブクログ

    『渡良瀬』にすっかりはまって、続きのような(私)小説を読む。

    前作は冷え冷えとした夫婦関係が印象的で、小説を彩っていたと同時に圧倒された。

    ところがこの『還れぬ家』によると、その後、主人公は離婚したのだった。
    新しい妻を迎えて、この度はなかなかいい関係なのである。
    (私小説だから前作の続きすると)

    「えっ!」

    しかも、
    若いときに家出した生家は父親が心臓病と認知症がからみ、母親が困窮している。
    それをこの夫婦は助けているのである。妻にとっては苦労と思いきや、
    妻は賢く、和気あいあいと、協力しているのである。

    「ええっ!こういう展開?」

    と考え込んでしまうが、人間味にあ

    0
    2018年10月10日
  • 男性作家が選ぶ太宰治

    Posted by ブクログ

    女性作家が選んだものとはまた違う感覚の作品も多く、未読作品が多かったのでとても楽しめた。餐応夫人がすき。この作家さんはこういう作品を選ぶんだなぁ…って部分でも楽しめてなんだかお得。

    0
    2018年03月16日
  • ショート・サーキット 佐伯一麦初期作品集

    Posted by ブクログ

    電気工事士が命にかかわる職業だということがよくわかった。人生色々という事を、様々な手法で皆小説にしていく。誰だって自分の人生の主人公だし、これが正解だと言える基準などない。なんて事を改めて考えてしまった。

    0
    2015年12月29日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    太宰治や吉村昭、島田雅彦といった今も売れている作家の作品だけでなく、消えてしまい、読まれなくなった作家の作品にも光を当てている。作品をどうやって読んだらいいのか、大変に勉強になった。芥川賞を取れなかった佐伯さんだからこそ語り口に切迫感があり、なお良かった。

    干刈あがた、森内敏雄の作品をさっそく注文してみた。

    0
    2015年11月03日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    自分の好きなブックガイドシリーズ。でも予想してたのとは違って、これはちょっと違った目線で楽しませてくれた。芥川賞の候補に挙がった作品をつらつら並べて、それに関する簡単な紹介が羅列されてるのかなと思ったけど、そうではなかった。筆者が特に優れていると思った作品をピックアップして、なぜ取れなかったのか、そのときの評者の意見などをうまく交えながら考察していく、っていう寸法。この本を読むと、むしろ芥川賞を取っていないこれらの作品群をこそ読みたくなってくる。巻末に候補作の一覧が載ってるけど、殆ど未読の作品ばっかで、まずそっちを読めよ、って感じだけど(苦笑)

    0
    2013年11月27日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    私小説作家、佐伯一麦さんの丁寧な解説で、芥川賞を逃した隠れた名作が紹介されている。小山清と木山捷平の二人が取り上げられているのが嬉しい。

    0
    2013年09月02日
  • 光の闇

    Posted by ブクログ

    欠損感覚を持ちながら生活している人々の記録。
    嗅覚障害の治療をしている知人がいるので、重ね合わせて読んだ。大震災以降の記述も。表紙絵は東北のゆかりの画家のもの。

    0
    2013年06月10日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    本書は芥川賞にまつわるスキャンダラスな出来事よりも、受賞できなかった名作にスポットをあて、鑑賞することに重点を置いています。本書のあおり文から連想するよりも、至極真っ当な文学批評ですね。

    0
    2012年10月02日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    第一回芥川賞選評で、「生活の乱れ」を指摘された太宰治。
    受賞の連絡を受け、到着した会場で落選を知らされた吉村昭。
    実名モデル小説を「興味本位で不純」と評された萩原葉子…。
    「私小説を生きる作家」として良質な文学を世に問い続ける著者が、芥川賞を逃した名作について、その魅力を解き明かす。

    [ 目次 ]
    太宰治「逆行」
    北條民雄「いのちの初夜」
    木山捷平「河骨」と小山清「をぢさんの話」
    洲之内徹「棗の木の下」
    小沼丹「村のエトランジェ」
    山川方夫「海岸公園」
    吉村昭「透明標本」
    萩原葉子「天上の花―三好達治抄―」
    森内俊雄「幼き者は驢馬に乗って」
    島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲

    0
    2011年06月06日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

    Posted by ブクログ

    受賞、落選は紙一重。幼さや、拙さ、人物の心情表現など「惜しい」が命運を分けているようだ。芥川賞の質低下が話題になっていたので読んでみた。

    0
    2026年06月14日
  • ミチノオク

    Posted by ブクログ

    熟練の技。

    東北を巡る足取りも、筆の進み行きもゆったりとしていて心地よい。

    おどろきも新しさも特にないが、安定、安心の時間に浸ることができる。

    道奥紀行、まだまだ続けてほしい。

    0
    2024年12月19日
  • P+D BOOKS ア・ルース・ボーイ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    母親や幼い頃の自分に囚われていたあきらが、沢田さんを通して壁の中の世界や天井の中の世界を知り、自分を解放されるのを感じました。最初のルースと最後のルースの意味が変わっているのがあきらの心の変化を読み取れてよかったです。

    0
    2022年11月15日
  • アスベストス

    Posted by ブクログ

    自身が被害者であることで、症状や痛みの表現など、大変痛々しく読みました。
    奇跡の鉱物に対する評価をやり過ごし、人間の都合を優先した結果のしっぺ返し。誰が命を守るのか。水俣や福島となんにも構図は変わらない。

    0
    2022年03月13日
  • アスベストス

    Posted by ブクログ

    アスベストによる健康被害を主題にした4篇からなる連作短篇集。佐伯さんの作品を読むのは初めてだが、ご自身も過去にアスベストを吸い込み後遺症を抱えているらしい。その経験を踏まえてなのか、私小説なのかはわからないが、どのような状況でアスベスト被害に遭ったのかがとてもリアルに描かれている。
    問題を先送りし後手に回った挙げ句、なんの救済もないまま放置された方々を思うと胸が痛む。コロナの後遺症に苦しんでいる方々には支援の手が届くのだろうか?

    0
    2022年02月19日
  • アスベストス

    Posted by ブクログ

    小説なのかノンフィクションなのかちょっとわかりにくいが、中古マンションのリフォームの話は、築40年近くの軽量鉄骨に住む身としては他人事でなく読んだ。

    0
    2022年02月11日
  • 男性作家が選ぶ太宰治

    Posted by ブクログ


    趣味を人に合わせてコミュニケーションの手段にしてしまう、ご飯の為に適当に合わせる…つまり〇〇を見れば〇〇は興味を持てない人生を上手く生きるためのものかもしれません
    自分の個性について考えさせられる作品でした。人が冷たくなるってこんな感じなんだと思いマス。

    0
    2021年11月21日