佐伯一麦のレビュー一覧

  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    自分の好きなブックガイドシリーズ。でも予想してたのとは違って、これはちょっと違った目線で楽しませてくれた。芥川賞の候補に挙がった作品をつらつら並べて、それに関する簡単な紹介が羅列されてるのかなと思ったけど、そうではなかった。筆者が特に優れていると思った作品をピックアップして、なぜ取れなかったのか、そのときの評者の意見などをうまく交えながら考察していく、っていう寸法。この本を読むと、むしろ芥川賞を取っていないこれらの作品群をこそ読みたくなってくる。巻末に候補作の一覧が載ってるけど、殆ど未読の作品ばっかで、まずそっちを読めよ、って感じだけど(苦笑)

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    2013年11月27日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    私小説作家、佐伯一麦さんの丁寧な解説で、芥川賞を逃した隠れた名作が紹介されている。小山清と木山捷平の二人が取り上げられているのが嬉しい。

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    2013年09月02日
  • 光の闇

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    欠損感覚を持ちながら生活している人々の記録。
    嗅覚障害の治療をしている知人がいるので、重ね合わせて読んだ。大震災以降の記述も。表紙絵は東北のゆかりの画家のもの。

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    2013年06月10日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    本書は芥川賞にまつわるスキャンダラスな出来事よりも、受賞できなかった名作にスポットをあて、鑑賞することに重点を置いています。本書のあおり文から連想するよりも、至極真っ当な文学批評ですね。

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    2012年10月02日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    第一回芥川賞選評で、「生活の乱れ」を指摘された太宰治。
    受賞の連絡を受け、到着した会場で落選を知らされた吉村昭。
    実名モデル小説を「興味本位で不純」と評された萩原葉子…。
    「私小説を生きる作家」として良質な文学を世に問い続ける著者が、芥川賞を逃した名作について、その魅力を解き明かす。

    [ 目次 ]
    太宰治「逆行」
    北條民雄「いのちの初夜」
    木山捷平「河骨」と小山清「をぢさんの話」
    洲之内徹「棗の木の下」
    小沼丹「村のエトランジェ」
    山川方夫「海岸公園」
    吉村昭「透明標本」
    萩原葉子「天上の花―三好達治抄―」
    森内俊雄「幼き者は驢馬に乗って」
    島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲

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    2011年06月06日
  • ミチノオク

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    熟練の技。

    東北を巡る足取りも、筆の進み行きもゆったりとしていて心地よい。

    おどろきも新しさも特にないが、安定、安心の時間に浸ることができる。

    道奥紀行、まだまだ続けてほしい。

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    2024年12月19日
  • P+D BOOKS ア・ルース・ボーイ

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    母親や幼い頃の自分に囚われていたあきらが、沢田さんを通して壁の中の世界や天井の中の世界を知り、自分を解放されるのを感じました。最初のルースと最後のルースの意味が変わっているのがあきらの心の変化を読み取れてよかったです。

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    2022年11月15日
  • アスベストス

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    自身が被害者であることで、症状や痛みの表現など、大変痛々しく読みました。
    奇跡の鉱物に対する評価をやり過ごし、人間の都合を優先した結果のしっぺ返し。誰が命を守るのか。水俣や福島となんにも構図は変わらない。

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    2022年03月13日
  • アスベストス

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    アスベストによる健康被害を主題にした4篇からなる連作短篇集。佐伯さんの作品を読むのは初めてだが、ご自身も過去にアスベストを吸い込み後遺症を抱えているらしい。その経験を踏まえてなのか、私小説なのかはわからないが、どのような状況でアスベスト被害に遭ったのかがとてもリアルに描かれている。
    問題を先送りし後手に回った挙げ句、なんの救済もないまま放置された方々を思うと胸が痛む。コロナの後遺症に苦しんでいる方々には支援の手が届くのだろうか?

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    2022年02月19日
  • アスベストス

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    小説なのかノンフィクションなのかちょっとわかりにくいが、中古マンションのリフォームの話は、築40年近くの軽量鉄骨に住む身としては他人事でなく読んだ。

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    2022年02月11日
  • 男性作家が選ぶ太宰治

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    趣味を人に合わせてコミュニケーションの手段にしてしまう、ご飯の為に適当に合わせる…つまり〇〇を見れば〇〇は興味を持てない人生を上手く生きるためのものかもしれません
    自分の個性について考えさせられる作品でした。人が冷たくなるってこんな感じなんだと思いマス。

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    2021年11月21日
  • 山海記

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    ネタバレ

    山海記(せんがいき)

    佐伯一麦著
    2019年3月20日
    講談社

    奈良県橿原市の大和八木駅から和歌山県の新宮駅まで、高速道路を通らない路線バスとしては日本一長いバス路線がある。距離166.9キロ、停留所数167、所要時間6時間30分、乗車料金は5250円。私も最初に大阪から車で十津川村~新宮へ取材に行った時、十津川沿いの、車がすれ違えないような細い国道168号で、反対側から「大和八木」行の奈良交通バスがきて、八木まで行くの?とスタッフと一緒に目を丸くした覚えがある。

    この小説は、東北に住む主人公の「彼」が、東日本大震災の数年後の3月11日に、奈良県を訪れ、八木から新宮までのバス旅を試みる話

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    2021年03月29日
  • 空にみずうみ

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    著者自身をモデルとする、東北に暮らす作家の早瀬と、その妻で染色作家の柚子の、震災から三年が経った日々の暮らしを綴った作品です。

    植物や野鳥など生活に身近な自然の営みをていねいに観察し、近所に暮らす人びとと交流するありさまを通して、静かな日常がえがかれていますが、これらの出来事が「震災以後」というエポックにおいて作品世界が構築されていることに読者は注意を向けざるをえません。こうした何気ない日常がいつ何時うしなわれてしまうかもしれないということを知ってしまった者の視線を通して見られた日常の風景であり、同時に、そのような危機に直面しても完全に壊れてしまうことのない、自然と人びととのつながりに対する

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    2019年10月11日
  • 山海記

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     10年前、2009年に豊橋を出発して伊勢に亘理、吉野から山に入り十津川を新宮まで抜け、串本を回って和歌山まで自転車で走った。
     十津川は北海道以上に何もなく、100km走ってコンビニもない。
     昼飯どうしようかと、当時はつるんで走る二人で困り、十津川の河川敷にテントを張って野宿したりと、五日間走った。

     日本で最長の路線バスは大和八木駅から新宮へ至る、166.9km、6時間半のバス旅だ。
     その途中、天辻峠を越えてからは十津川沿いを走る。
     十津川は明治に大水害があり、そして近年2011年にも水害に見舞われた。
     かつての水害、近年の水害とを東日本大震災の津波被害と重ね、そして自身の過去を

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    2019年06月05日
  • 芥川賞を取らなかった名作たち

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    私自身は芥川賞に何の思い入れもなく、
    賞を取った作品だからどうという事もない。
    寧ろミーハーな感じがあり、近年の受賞作品は避けてすらいる。
    しかしながら友人に
    芥川賞を取った作品を好んで−近年に至っては欠かさず−読むという人間がいて、
    その友人が勧めてくれた本。

    当然のことだが受賞作品に脚光が当たりがちなわけであるが、
    受賞を逃したからといって出来が悪いわけではなく、
    作品の出来は十分でありながらも運悪く逃した作品は多いはずで、
    そこに焦点を当てた点は非常に好奇心を刺激した。
    やはり人間の選考には好みや偏見や理解や無理解・その時々の事情や背景があり、
    またドラマもある。
    必ずしも作品そのもの

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    2016年05月08日
  • 還れぬ家

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    認知症の父に向き合う、ひたすら日常を重ねた物語。仙台が舞台のため、東日本大震災の話も出てくる。
    特にドラマチックというわけではないのだが、何故か読まされてしまう。
    家というもの、家族というもの。
    これから直面するであろう現実をみたきがする。

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    2015年11月14日
  • 還れぬ家

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    私小説である。まだ、こうした作品を生み出す作家が居たのかと驚いた。

    五十歳間近の主人公は十代で実家と疎遠になるのだが、父親の認知症により母親が介護で疲弊する姿を見て、再び実家、家族に寄り添っていく、といったストーリーである。そんな父親が亡くなり、直後に発生した東日本大震災…

    小説として面白いかと問われれば、全く面白くはないのだが、主人公と同じような年代には身につまされる内容だった。

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    2015年11月01日