三木那由他のレビュー一覧

  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    読んでいてハンターハンター24巻でイカルゴがキルアを助けた後のシーンを思い出しました。
    今まであの会話がずっと引っかかっていたのですが、この本を読んでようやく腑に落ちました。

    キルアは助けてくれたイカルゴに対して、今後はお礼なんて言わない。お前も俺が助けたときにありがとうなんて言うな。友達がサポートし合うのは特別なことじゃないから。と言っています。

    これは、『ありがとうと伝えること』と『友達がサポートし合う関係』について、お互いの中での約束事(定義)をしていると言えるのではないかと思いました。

    キルアにとっての『ありがとう』は、普通はしてくれないことなのに、してくれて助かった。という意味

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    2025年11月06日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    コミュニケーションは話し手と聞き手との間に約束事を形成するものであり、マニピュレーションは聞き手を話し手の意図通りに操作することであり、両者は区別される必要がある。この両者の様々なズレやバリエーションについて漫画や小説などのフィクション作品における会話を題材に解説していく。素晴らしくわかりやすかった。この本を読むことで実際の会話におけるコミュニケーションやマニピュレーションについてもアンテナを貼ることができるようになるし、小説や漫画の読解力を上げることもできるように思います。
    それにしても『鋼の錬金術師』はおしゃれなマニピュレーションの宝庫だな。取り上げられてたところ以外にもたくさん思い浮かん

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    2025年09月25日
  • 言葉の展望台

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     現代分析哲学・言語哲学が専門の方によるエッセイ集。トランスジェンダー当事者によるエッセイ集としても読めるし、その側面が際立つ「『私』のいない言葉」(pp94-102)は、私自身もトランスジェンダーであることもあり、いろいろな幼少期の嫌で悲しい記憶が蘇ってきながら当時抱いていたどろどろした感情の渦に巻き込まれそうになったのだが、しかし、著者は、あくまでも学者なのである。ある方の著書を読み、その本を楽しみながらも、しかし、著者自身が子どもの頃から抱き続けている謎はまだ解けない、と、上記の文章は閉じられ、私も、負の感情に落ち込み続ける危険にはいたらず、むしろ、これまでとこれからを見つめ直すいいきっ

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    2025年07月17日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    近年の「論破」ブームへの批判にもなっているような気がしました。マニピュレーションをうまく使ったもん勝ちの社会:

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    2025年02月24日
  • 言葉の道具箱

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    群像で連載していた言葉の展望台をまとめたシリーズ3巻目にして最終巻。
    著者は言語とコミュニケーションを専門とする哲学者。
    そもそもトランスジェンダー/ノンバイナリーの人々はそうでない人々よりも自殺リスクが高い。
    一人称権威の話が面白かった。普通は私痛いというと信じてもらえるがネット上やマイノリティの人は信じてもらえないことがある。

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    2025年02月06日
  • 言葉の展望台

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    官能小説のような例示から始まる「意味の占有」の解説。随分と艶めかしいので著者は破廉恥な男だと思ったら、まさかの著作内でトランスジェンダーのカムアウト。ネット検索すると確かに、そのような見た目。読みながら色々と揺さぶられる。言葉の意味、それを用いるコミュニケーションについて考えさせられる。

    発する言葉が、正確に理解されない。単に「いや」と伝えても「大丈夫だって」と勝手な解釈で、強引に事が進む。厳密に、慎重に言葉を選んだとしても、日常はそんなデリケートな言葉とは無関係に、動物的な人間関係における強者に従うことになる。哲学者は、ヤンキーの暴力に対して無力だ。何故なら、対話ができずに理解されないのだ

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    2025年01月19日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    なるほど会話とは意味のやり取りだけでは無い
    とこの本から学べます。

    すでに分かりきっていることではありますが、
    本人の口から言わせることに意味があったり、
    逆に反対の行動を取らせるための発言などが
    会話には存在します(「押すなよ〜」「押す
    なよ〜」のアレです)。

    意味のやり取りを会話のバケツリレーだとす
    ると、本人の口から言わせる言動を促すため
    の会話はマニュピュレーションと表現するら
    しいです。

    日本語では「操作」ですね。

    この本では漫画作品を例に挙げて、行動をマ
    ニュピュレイトする会話とはどういうことな
    のかを知る一冊です。

    あの「うる星やつら」の最終回における、諸
    星あたるの最

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    2024年12月24日
  • 言葉の風景、哲学のレンズ

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    今読みたい本だった。
    トランスジェンダーの方が更年期障害の治療のため婦人科で医療行為を受けようとしただけで、医師にセクハラをしに行こうとしてるんだ、露出狂なんだと決めつけられる国、
    政治家が、同姓カップルなんて見たくもないと発言する国、そんな国に住んでいるんだなあと思った。
    心や体に違和感を抱えている人が、心に合わせて生きようとしただけなのに医療機関に断られるのは、人権侵害だと思う。理解できない人たちを無理に理解させるのは難しいと思うが、理解できる人だけでも社会を変える努力ができたら良いなと思った。

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    2024年12月20日
  • 言葉の風景、哲学のレンズ

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    ネタバレ

    「会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション」の作者のエッセイと知り、手に取りました。

    日々のコミュニケーションのなかで引っかかっているけど上手く言語化できないことについて、コミュニケーションについて考えている哲学者だからこその視点で言語化されていると感じました。

    印象に残ったのはあとがきで、筆者自身のことを「そんなに整理のついていないごちゃごちゃした人間」と述べていたことでした。
    整理された人間なんていないのかも、と考えさせられました。

    引用されていた「布団の中から蜂起せよ」にも興味が湧きました。

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    2024年10月05日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    相手との約束の形成。
    共通の認識を持つ(約束する)ことがコミュニケーションとしての基本。
    それを実現してるように見せて共通の(意図的な)認識に仕向けるマニピュレーション。

    好きな作品を見返したくなった。
    愛らしい会話が溢れてる。

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    2024年09月09日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    非常に興味深いテーマの新書が目に入り手にしたお陰で、楽しく読むことができました。

    ふだん、私たちがしている、「会話」というものを考察しました、という内容でした。

    導入も内容も順序も、とてもよく整っていて、古今東西にあるお馴染みの漫画・小説・映画の中での「会話」を分析しながら、コミュニケーションとマニピュレーションの2つの面から光を当てて、読み解いてあります。

    やはり、どのような会話にも、マニピュレーション(=操作)の要素が含まれていると考えた方が良さそうです。

    話者は、ある程度自覚的にマニピュレーションを行うのですが、最終的に、それが個人的な善意か、悪意か、はたまた勘違いからか、陰謀か

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    2024年06月04日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    「哲学」という難しい響きに先入観があった私ですが、三木那由他さんの語り口は淡々としているようでどんどん読み進めたくなる柔らかさがあったように感じました。
    普段無意識に行っている会話についていざ言語化されると「そういえばあのとき私は…」と自身の過去の発言なんかが思い返され、読んでいてずっと不思議な気持ちでした。面白かったです。

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    2024年05月26日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    普段からなんとなく分かってると思って、見聞きしたり使ったりしてる会話を改めて考えるのが新鮮だった。「お互いに今、○○という約束ごとを作ってそれに沿って会話する」という、コミュニケーションは約束の積み重ねだというのが面白かった。特に意識してなかった分、確かになぁ…と思った。
    漫画や本・ゲームから会話をとり上げて考えるというのも身近に感じられて読みやすかった。
    マニピュレーションに関する話が印象的。本心を潜ませたり相手を操る為に使う次元の会話、マニピュレーションがもつ怖さや独特の味わい等、面白いと同時に怖くもあった。
    会話について考える面白い本だったし、自分の日常にある会話をこっそり観察してみよう

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    2024年04月25日
  • 言葉の展望台

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    エッセイから分析哲学への接続がきれいでとても読みやすい 筆者の個人的な話を交えながら、するりとコミュニケーション論について考えを巡らすことが出来てよい

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    2024年04月12日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    三木由那他さんの文章が好きになって読みやすい本を読んでいます。
    『会話を哲学する』難しそうですけれど、丁寧に身近なマンガや小説などから引いた会話を使って説明されていて解りやすい。
    まだまだ会話を分析する迄には全く至らないが、自分のした会話を顧みて「あぁなるほどね。こういう会話が著者があそこで書いていたことかぁー」っと思い当たる時があって、結構感動もの。
    マニピュレーションという著者の概念を使うと説明がしやすい会話も多い。

    "おわりに"で掲げてある本にも手を出して、もう少し深く。もう少し長く会話の哲学について考えてみたいと思う。
    読めば誰でも必ず得るものがあると思います。

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    2024年01月18日
  • 言葉の展望台

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    三木那由多さんのエッセイ集。
    購入してから大事に少しずつ大事に読み進めて、今日読み終わりました。
    後書にもある通り書いている最中に当初は予定していなかったカムアウトのお話もあり、「実は歴史的な一冊なのではないのか!」とか勝手に興奮しながら読んでたりしてました笑
    言葉に対する感性と言うか捉え方も矢張りプロ。一読しただけでは理解出来ず何度か戻って読み返したりネットで調べたり。
    素の自分から出てくる様々な思い。考えながらいつの間にか哲学の話になっている。
    きっと本当に好きでらっしゃるのですね。

    最後に載っている文献も有り難い。
    今後気になるもの…ポール・グライスさんの本とか読んでみたいと思います。

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    2023年12月30日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    演劇におけるサブテキストや、スタニスラフスキーの「目的」の話と本当によく似ていて、というよりも同じもののように思えてすごく納得できる内容でした。

    ふだんの会話への思考も深まるのですが、何よりも創作に携わる人(とくに演じる仕事に携わる人)はぜひ一度読んでみてほしいと思うような本です。

    フィクション作品を見るときの脚本や画面への解像度をあげてくれるのもとっても良いところ。

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    2023年12月29日
  • 会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~

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    「会話とは何を行っているのか?」を掘り下げている

    情報の授受や共有というコミュニケーションでは説明できないやり取りが存在する
    マンガ、小説、映画などで繰り広げられる会話を例に、そのやり取りの説明など


    ・目次
    第1章 コミュニケーションとマニピュレーション
    第2章 わかり切ったことをそれでも言う
    第3章 間違っているとわかっていても
    第4章 伝わらないからこそ言えること
    第5章 すれ違うコミュニケーション
    第6章 本心を潜ませる
    第7章 操るための言葉


    コミュニケーションは表面的な情報のやり取り
    マニピュレーションは相手を操作するもの

    会話を通じて行われていることは、「約束事を積み上

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    2023年11月10日
  • 言葉の展望台

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    著者の生活と哲学的思考の交わりがバランスよく書かれていて、コミュニケーションの哲学を親近感を持って楽しむことができた。

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    2023年05月17日
  • 言葉の展望台

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    面白かった!
    『会話を哲学する』では、漫画や小説から会話が引用されていて、それらの言葉は作品の読者に分からせようという意図が強く働いているから、面白い話ではあるけど自然な会話の例ではないじゃん……という違和感をもっていた。
    でもこの本を読んで、三木さんは言語哲学が扱ってきた会話に潜む強さや揺らぎなさをとっくに自覚していたことを知った。なんだか安心した。というか、流石すぎる。

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    2023年02月18日