あらすじ
言葉のコミュニケーションは、希望と切実さと複雑さに満ちている。
「紀伊國屋じんぶん大賞2023」第2位『言葉の展望台』著者が贈る、最新哲学エッセイ!
「痛み」を伝える言葉、webの中の私の「言葉だけの場所」、「どういたしまして」の可愛さ、当事者視点からの語りかた、「からかい」が起きる場面、メタファーが見せてくれるもの、定義することへの懐疑、カミングアウトの意味とその先……。
さまざまな哲学の概念や理論はそれぞれが一個のレンズで、このレンズを使って見た風景と、別のレンズを使って見た風景と、その両方を通した風景はすべて違っているかもしれないし、そのどれかが正しいわけではないかもしれない。でもいろいろなレンズを通してみることで、裸眼で見たのとは違う風景の可能性に気づき、新しい仕方で物事を理解したり語ったりしていくきっかけになるかもしれない。(本書「はじめに」より)
【目次】
痛みを伝える
言葉だけの場所
「どういたしまして!」の正体
該当せず
からかいの輪のなかで
たった一言でこんなにもずるい
給料日だね!
言葉のフィールド
カミングアウト
ぐねぐねと進む
安全な場所ーー『作りたい女と食べたい女』
命題を背負う
一緒に生きていくために
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今読みたい本だった。
トランスジェンダーの方が更年期障害の治療のため婦人科で医療行為を受けようとしただけで、医師にセクハラをしに行こうとしてるんだ、露出狂なんだと決めつけられる国、
政治家が、同姓カップルなんて見たくもないと発言する国、そんな国に住んでいるんだなあと思った。
心や体に違和感を抱えている人が、心に合わせて生きようとしただけなのに医療機関に断られるのは、人権侵害だと思う。理解できない人たちを無理に理解させるのは難しいと思うが、理解できる人だけでも社会を変える努力ができたら良いなと思った。
Posted by ブクログ
「会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション」の作者のエッセイと知り、手に取りました。
日々のコミュニケーションのなかで引っかかっているけど上手く言語化できないことについて、コミュニケーションについて考えている哲学者だからこその視点で言語化されていると感じました。
印象に残ったのはあとがきで、筆者自身のことを「そんなに整理のついていないごちゃごちゃした人間」と述べていたことでした。
整理された人間なんていないのかも、と考えさせられました。
引用されていた「布団の中から蜂起せよ」にも興味が湧きました。
Posted by ブクログ
学問としての哲学のものの見方や考え方を、分かりやすい例えで噛み砕くことで問題提起してくれているのだけど、やっぱりちょっと難しくて…途中何度か音読しながら理解しようと頑張らないと読め進められなかった
ちょうどオリンピックで女子ボクシング選手の問題もあり、当たり前のことながら、一概に語れることではなく各々のケースによって状況は異なるけれど、まずは正しく知ること、考えること、思いやること、どうしても生じてしまいがちなコミュニケーションのズレを埋められるようになりたいと思った
Posted by ブクログ
哲学は結構好きだけど、時折痛いところを突かれることがある。
日常的に言葉を扱っているくせに深く考えずに発言しているんだよな。
『からかいの輪の中で』を読むと、嫌な気持ちと後ろめたい気持ちが同時に沸き上がる。
何故あの子はあんな顔をしたのか。
どの言葉に引っ掛かりを覚えたのか。
答えを知る術は無いのに今でもモヤモヤすることは意外と多い。
毎度の事ながら、こういうモノの見方があるんだなあと気づかせてくれる三木さんの著書は好き。
Posted by ブクログ
初めてこの著者の本を読んだ。
タイトルに魅かれて手にした。
言葉のコミュニケーション、
話し手の言葉は、その人そのものがどんな立場でどんな力があるかによって、聞き手の人に伝わり方が違うと思う。
時には、話し手の真意が捻じ曲げて取られることも少なくない。
とくにSNSの中では、いい事も悪い事、拡散される。
コミュニケーションをとる前提に、話し手と聞き手の人間関係がどうなのか、重要に思う。
著者がカミングアウトをして、家族や友人に受け入れられたことはとてもよかった。
母親は、幼少期からきっと気づいているものだけど。
世界中でたった一人でも味方がいれば、心強い。
よく、色眼鏡で見る、というが、
誰しも、レンズには多少の色は付いている。
哲学の透きとおったクリアなレンズで物事が見られたら、ありのままで受け入れられるだろうに。
法律や憲法ではけして決められない、人の生き方。
全ての人がその人らしく、ありのままで生きられる世の中になりますように。