おさつのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高校1年生のヒロは決意する。杉森くんを殺す、と。
義理の兄に相談し、後悔しないためにやりのこしたことをやっておくことと、なぜ殺さないといけなかったのか裁判で話せるように理由をちゃんとまとめておくことを杉森くんを殺すまでにやることとして、高校生活を始める。
衝撃的なタイトルながら、その決意を聞いた大人たちの反応に違和感を感じながら読み進め、だんだんと全容がわかってくると、思春期が蘇ってきた。
今の子たちはきっとわたしの時代よりも複雑化した人間関係の中で生きているんだろうなあ。
大人になってからも思うけど、居たくないところに留まる必要なんてなくて、逃げることは悪いことでもなくて、ここじゃないと思 -
Posted by ブクログ
児童書の棚に並ぶ本の中で、ショッキングな題名が目を引き手に取った。野間児童文芸賞受賞作品とは後で知った。
おそらく中学生から高校生を読者として想定しているのだと思うが、文章はやさしいようでいて、抜き身の刀のような張りつめた緊張感を感じた。
いじめや生きづらさを抱える生徒を主人公に据えた物語は少なくない。しかし本作は、その生徒のすぐそばにいる人たちに焦点をあて、「その後のフォロー」や「傍にいる人はどう受け止めればよいか」といった点を大きなテーマとして描いていて、独自の視点が強い印象を残した。
杉森くんを殺す理由は、再読すると全然印象が違ってくる。
読み手によって受け止め方が違うと思うが、臨床 -
Posted by ブクログ
婚約者で同棲していた彼が他の女性と旅先で事故に遭い突然亡くなったら。当然受け入れられないし、どれだけ心に傷を負うだろう。依里の気持ちを想像するとたまらない。遺された物や思い出に潰されてしまいそう。それでも少しずつ回復する中で寝具店で働きお客様の睡眠のために勤しむ依里は決して弱くはない。女性の夫との関係は2人にとって大事なものだった気もするし絶対ダメとか不謹慎とは思えなかった。人には説明できない気持ちや理解できない関係ってあると思うから。読んでると寝具や睡眠の大切さがわかり勉強になる。淡々としているけど深い。いい寝具のお値段には驚くけど自分に合った物をお薦めしてもらいたいし使ってみたくなった。と