抱腹絶倒、この四文字を用いても構わないくらい、ほんと、最高だ
読んでいる人間なら同意してくれると思うが、(1)より遥かにパワーアップしている
急激ではないが、船津先生の実力が伸びてきている証拠だろう
また、(1)を読んだ際にも感じた事が、本家をしっかりと読み込んで、自分の頭で考えているトコも大きい
...続きを読む粗を探しているって言い方は悪いが、本家のストーリーで、読み手が見逃していると言うよりも、てんで気にも留めていなかった、犯人の苦労、焦燥、羞恥を一つも残さずに探し出そうって、船津先生の努力が見える内容だ
本家を愚弄するな、と怒り心頭の人もいるだろう、恐らく
その気持ちは理解できる。なので、そういう人は読まなければいいだけだ
喧嘩を売りたい訳じゃないが、この笑いを受け入れられてこそ、『金田一少年の事件簿』シリーズの真なるファンと言えるんじゃないだろうか
このパロディがダメと言うなら、ジャニーズが演じる実写ドラマもダメって事になっちまうんじゃないか?
この(2)に収録されている、金田一一が解決した事件は、「雪夜叉伝説殺人事件」、「タロット山荘殺人事件」、「悲恋湖伝説殺人事件」の三つであり、どれも印象に強く残っている殺人事件だ
それでは、各々に簡素な感想を書こうと思うので、もう少し、お付き合いいただきたい
「雪夜叉伝説殺人事件」
これは、ある意味、完全犯罪を成し遂げる前に、犯人の方が死ぬ可能性が高かった事件だ。数々のトリックの中でも、最も達成感が強かったんじゃないだろうか、氷橋の完成は
また、本来ならば優秀な明智さんが、雪夜叉の手の上で、まんまと踊らされる醜態は見ていて、やや複雑だった。これは、雪夜叉が上手だったのか、それとも、明智さんにもポンコツな面があったのか
敗因もまた、印象的だ。ハサミのシールを剥がしていれば、これは、トイレの中蓋を下げていれば、と同じくらい、致命的な凡ミスだった
「タロット山荘殺人事件」
正直なとこ、物足りない部分はある事件ではある。実際、三つの殺人事件の内、手を下しているのは、速水雄一郎で、影の脅迫者が手を汚したのは、最後の実行犯殺しだけだ
しかし、船津先生は、そんな影の脅迫者がしていた苦労も見逃さなかった。さすがである。次、この事件を本家で読む際は、印象が変化しそうだ
一を孫だと過小評価せず、トリックを暴かれる前に始末しようとする、その決断と行動は良かった、身も蓋もないってのは別にしても。ただ、結局、詰めは甘かった。まぁ、一の生命力がズバ抜けているってのもあるんだが
「悲恋湖伝説殺人事件」
S(すげー)K(強烈)、そんな事件で、なおかつ、犯人・ジェイソンのS(賞賛に値する)K(苦労の数々)
よもや、ジェイソンがこれほどまでの努力をしているとは想像だにもしていなかった。そんな頑張りを水泡に帰すってんだから、ほんと、一は容赦ないぜ。さすがに、同情してまう
殺人は悪い、それは確かだが、大義に欠け、標的を絞り込まずに行うそれは手に負えないってことだな。努力の方向性が、ちょっとでも違っていれば、復讐は穏便に成功していたかもな。まぁ、今更だけども
結局、人殺しってのは割に合わないってことだな
むしろ、その当たり前を読み手に納得させるって意味では、本家より、こちらの方が良い仕事をしているのかもしれない。でも、その働きは、本家の質が高いからこそってのは忘れちゃいけない
話と話の間に描かれている、未来の犯人によるツッコミと後悔の一コマイラストも、実にエッジが効いていた
正直なとこ、実現は難しいかもしれないが、『犯人の犯沢さん』とコラボしてくれないかな
犯沢さんが『金田一少年の事件簿』シリーズの犯人がしている苦労を知り、人をトリックで殺すのは、こんなにも大変だと思い知って、殺る気を削ぐのに一役を買う一方で、一の推理力の前に敗れた犯人たちが米花町の恐ろしさに血色を失い、こんなトコには住みたくない、この眼鏡の子供にも遭遇したくない、とガクブルしたら最高だろう
この台詞を引用に選んだのは、あまりにも説得力があったので。人殺しに限った事じゃない、最終的に自分の体力と運動能力頼みになるのは。人を殺している時点で、健全も何もありゃしないのだが、何かをやり遂げるためには、多少の事じゃ尽きない体力と、SASUK〇並みの動きが出来る体が必要になる
それを得るには、桁違いの努力をする必要があるだろう。ただ、その努力をしている内に、当初の目的を見失う可能性もあるな、うん