直島翔のレビュー一覧
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主人公の安堂は、ASDという自分の特性を理解して、定型発達の人と同じような反応や振る舞いを学習して、生活している。
理解できるから、できるだけ自然であろうとする。人が無意識でやっていることを意識的にやるということと考えると、自分だったらとても休まらないと思う。
違いが理解できないのもしんどいと思うけど、理解ができるということも、またしんどさがあるんだろうな。
「地球人とは時間の流れが違う、土星人だと思うようにしている」この部分がなるほどと、大分想像しやすくなった。
裁判官と弁護士と検察、裁判員のことも少し知れて今まで自分のなかでは読んだことない内容だったけど興味深く読めました。 -
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発達障害の特性や不随意運動(脳の中の支配者による)を隠し、完璧な擬態をして法廷に立つ裁判官・安堂清春。
特に第二章の展開は秀逸です。夫を殺害した教師が笑いながらモーツァルトのアリア「恋とはどんなものかしら」を歌う異様さ。彼女に下された「コルサコフ症候群」という診断を巡り、法廷は揺れ動きます。自分の意志では制御できない脳を持つ安堂の前に、「脳のバグか、それとも別の意図か」という底知れない境界線に立つ被告人を置く構図の見事さにゾクゾクさせられます。法廷劇でありながら、人間の脳と心そのものが最大のミステリとして立ち塞がる感覚は圧巻です。
主人公の安堂が特性を隠す理由を「他人に気を遣われたくないから」と語るところがありますが、これは客観的に見れば完全に彼の「詭弁」です。周囲はとっくに違和感に気づき、敢えて触れないという特大の気遣い(まるで『男はつらいよ』の寅さんを取り巻く周囲の微妙な表情のような)をしているのだから。しかし、その見え透いた詭弁を自分に言い聞かせなければ裁判官としてのプライドを保てないという安堂の痛々しさこそが、本作に「青春」のヒリついた手触りを与えています。
とはいえ、正義の天秤が脳の中の支配者の前に揺らぐ「不確かさ」を描いたミステリとしての強度は抜群です。この便利な型の中に収まった世界で、安堂がこの先どう「ままならぬ自分」と対峙していくのか。単なるエンタメの枠に収まらない可能性を感じさせる一冊です。 -
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少し前にTVドラマをやっていたが、配偶者が観ているのを横目で見ながら、原作があるのを知って「読みたい」に入れていた。最近、このパターン多いな。
「発達障害がある裁判官」という設定に惹かれたのだが、幼い頃に発達障害と診断され、ずっと障害と向き合い続けて生きてきて、今は障害を開示せずに働く、任期7年目の裁判官・安堂清春が主人公。
ASDとADHDと診断される安堂だが、注意欠如や多動といったADHDの特性がその行動の中に頻繁に描写され、読んでいるこちらにまでイライラが伝わってくるよう。
勿論その前には人の表情や気持ちを読み取ることが苦手といったASDの特性も横たわり、全編を通して繰り返されるそれら特性が現われる描写に、当事者の大変さをほんの少しなのだろうが感じることができた。
自分の特性を理解し障害とうまくつきあいながら前向きに生きる安堂の姿が好ましい。
そういう安堂が裁くのは、公判当日になって弁護人との打合せを覆す当たり屋、ほほえみながら夫を殺したことを告白する教師、事故死とされたにもかかわらず「娘は殺された」と訴える父親、が登場する一筋縄では行かない案件。
他人との意思疎通に苦労しつつも、こちらも障害特性から来る強いこだわりや細かな観察眼と記憶力を強みにした安堂の行動によって、話の最初と最後ではガラッと違う風景を見せる筋書きは、なかなかに楽しめる。(第二話のラストには話が嘘っぽくなってしまった気はするが)
そうして事件に向き合い、最初の事件で関わった弁護士・小野崎乃亜と親しくなっていく中で、安堂が幼い頃には行う余力がなかった“感情を成長させる”ことが出来るようになっていく展開もとても良かった。
『周囲とのちがいを感じたとき、私は土星から来たと思うことにしています』とか『自分に心はないのか』と思う安堂が、小野崎との会話を心から喜んでいるラストにはほっこり。
発達障害ではない人を指して「定型発達者」というとか、ASDの特性がある人がさも定型発達者のように振る舞うことを「社会的カモフラージュ行動」と呼ぶなど、初めて知ることも多かった。 -
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一作目に続き清春が独特の視点で、事件に向き合う。
前回より清春が普通ではない自身に対して、正面から捉えて日々を過ごしながら少しでも変わりたいと悪戦苦闘する姿に頑張れと言いたくなる。
良くも悪くも事件としてはそれ程真新しいものもなく、清春の裁き方を楽しむ話し。
父親がしっかりと出てくるのだが、もう少し深掘りしてくれたほうが良かったかな?ドラマとは話が違うが、ドラマのほうが父親との関係性がうまく描かれていてちょっと物足りなさを感じた。
小野崎さんとの関係にも全く進展がなさすぎただけに前作の結末をあの形にした意味もちょっと謎。
全体的に薄味な内容で個人的には次回作にまた期待したい -
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自閉スペクトラム症と注意欠如多動症の特性を持つ裁判官・安堂清春がその特性による生きづらさを抱えながら、鋭い洞察力を発揮して事件の真相を明らかにしていくシリーズの第2弾。
テレビドラマとは扱う事件が少しずつ違っている。特に清春の父が関わった冤罪事件は随分違う様相を見せる。
ドラマでは冤罪事件の取り調べ検事が、自分の面子を守るために最高検次席検事を殺害するなんてぶっ飛んだ内容だったけど、ここは原作の方がよかった。
冤罪の犯人と娘のエピソードもドラマよりも原作の方が好きかも。
清春が少しずつ“地球人”とのコミュニケーションに馴染んでいく様子や、小野崎弁護士との微笑ましいロマンスも作品に彩りを添えていて微笑ましい。
シリーズ3作目も待っています。 -
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面白かった。
発達障害の描写が良かった。
ストーリーも、良かった。
裁判の制度とかいろんな職の人が登場するからそこを理解しながら読み進めるのにちょっと時間がかかったり読み直したりした。トリックも加わってくるとやや難解だった。けど、量も多くなくて丁度いい感じ。しっかり読み直して理解できたし、読み返してまで理解して良かったなと思える満足感もあった。
その上で、映像で見たくなる作品だったからドラマもアマプラで鑑賞。小説だと、もう少し特性の部分が抑えられた印象だったから、ドラマ版だとゴリゴリの発達障害でちょっとギャップあったかも。
小説の方が、私は好みかな。