直島翔のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
社会に交わり、ままならぬ心身と向き合い罪を裁く。青春×リーガルミステリ
主人公検事は、人の気持ちを読み取るのが苦手な自閉スペクトラム症=ASD、衝動性がじっとしていることを許さない注意欠如多動症=ADHDを自覚しながら生きている。読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」、自閉症を持病としての裁判官であるが、裁判モノとしての構成、文体はとても良いデス。
1.カレンダーボーイ
安堂清春は任官七年目の裁判官である。すぐに発達障害の専門医である山路薫子のふっくらした顔が画面に出てきた。人の気持ちを読み取るのが苦手な自閉スペクトラム症=ASD、衝動性がじっとしていることを許さない注意欠如多動症=ADHDを自覚しながら生きている。読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」
後任の弁護士、小野崎乃亜という名を思いだすまで、例のごとく時は要さなかった。
2.恋ってどんなものかしら
彼は〈上田正〉といった。「宗春美さんです」谷口栞という女性の名が頭から離れていかないのだ。
3.擬装
「こちらは羽鳥賢一さんです。きょう法テラスに相談に来られ、私がお話を聞きました」
---|--------------||-------------------------|
任官七年目の裁判官、安堂清春は幼い頃に発達障害と診断され、周囲との関わりを断ち、自身の特性を隠しながら日々を過ごしていた。Y地裁に赴任して半年、副市長が襲われた傷害事件を担当することになった安堂は、弁護士の小野崎から被告人が無言を貫いていると聞き、何かを隠しているのではないかと気づくが……。微笑みながら殺人を告白する教師、娘は殺されたと主張する父親。生きづらさを抱えた青年が様々な事件に挑む、異色の青春リーガルミステリ! -
Posted by ブクログ
NHKのドラマの影響で、清春が松山ケンイチさんにしか見えなくなっていて、前作を読んだ時とイメージが少し変わっているかも。ドラマもとても良かった。
前作よりも清春が自分の特性と裁判官の仕事との折り合いの付け方が上手くなっている印象を受ける。漢字に拘ったり蚊の音に過剰反応したり靴紐の結び方がおかしかったり相変わらずナポリタン一択だったり(ただし今作では克服しようとかなり努力している)ではあるのだが、彼自身の対処方法がブラッシュアップされている。人の感情を読み取るのが苦手なことも同様だが、それを自覚した上で「共感の扉を開ける」ことで他者を理解しようとしている。
匿名申請を認めないことが鍵となる「ABC、そしてD」予想外の結果にびっくり。「法服のサンタクロース」刑期を終えた元受刑者の訴えにきちんと向き合うことで明らかになる、過去の事件の真相。タイトル通りの結末。最後の会話が良い。
ドラマと同じ内容ではないようだが、ドラマでも法廷で父親と対峙するシーンがあった。松山ケンイチさんが自らの特性について詳しく話していたが、小説では言葉を交わす程度。この方が自然かな‥と思った。
小野寺弁護士とは目下のところ恋愛方向には進展しておらず、良き理解者兼サポーターみたいな関係になっている。清春も小野寺弁護士にとっての優秀な協力者で、お互いに良いパートナーだ。
-
Posted by ブクログ
なかなか重い発達障害の主人公。自らの意思と身体の制御が必ずしも連動してくれないのが大変だなと思った。理解し難いようなところもあるが、自分の特性を知り、必要に応じて対処を講じている努力家な主人公には好感が持てる。周囲からも比較的好印象に受け止められているようで良かった。
以前に発達障害の特性がありそうな部下を持ったことがあるが、本人には自覚がない上にそれまでにも挫折や衝突が多かったようで性格にも影響が出ており、とても生きづらそうだった。主人公は早々に医師に出会えて良かった反面、作中でも子供が特別学級は嫌だという親御さんが出てきたりしていて、適切な支援が受けられないのは本人が一番辛いだろうなとしみじみ思った。
テーマも扱っている題材も正に現代という感じで全体的に興味深く読むことが出来た。