あらすじ
窓際検事の逆転なるか!
夏の夜、若者が高架鉄道から転落し、猛スピードの車に衝突した。自殺か、他殺か。判断に迷う刑事課長は飲み友達の検事、久我周平に助けを求めた。出世レースから外れた久我は日の当たらぬ部署で罰金刑など軽めの事件ばかり扱う一方、遺体の検分には豊富な経験を持つ。久我は靴の傷に他者の関与を疑う。交番巡査、新人の女性検事とともに若者の身辺を探っていくと、高級外車を巡る、海を越えた取引が浮かびあがった。法務検察内のパワーゲームにも巻き込まれながら、男の正体に迫っていく。窓際検事の逆転なるか。
◎著者は、検察庁など司法を担当した現役新聞記者
◎解説は元最高裁判事の甲斐中辰夫氏
◎第3回警察小説大賞受賞作
真摯に正義を求める“生身の検事”がここにいる―――柚月裕子 氏激賞!
※この作品は過去に単行本として配信されていた『転がる検事に苔むさず』の文庫版となります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
倉沢さんが多少鼻につくところはあるものの熱血ぶりが頼もしいし、久我や有村もとてもいい。久我の取り調べが最後に読めるのかと思ってたけど、いいところで事件を取り上げられてしまって残念でした。それでも3人とも自分のやりたい道を進んでいけるようで良かった。
Posted by ブクログ
とっても面白かった!話の展開もシンプルで分かりやすいし、段落ごとに登場人物の視点が変わって面白い。
すぐに映像(ドラマ)が想像できるいい作品だった。
Posted by ブクログ
すごくわかりやすく、地に足のついた検察小説だった!
柚月裕子さんの佐方弁護士(ヤメ検)シリーズを想起させた。ぜひシリーズ化してほしいと思った。
主人公の区検検事、久我も、どこか脱力した雰囲気ながら、被疑者の「割り」に定評があるように熱意があって、思慮深く魅力的な人間。高校生の娘との関係に悩んでいるのも、リアルで面白い。
一方、後輩の新人検事、倉沢も、空回りするほどの熱意と、新人が故のシャープな正義を持っていて、これからの成長を楽しみに感じさせる。
地道な捜査を進める巡査、有村との相性もよく、とてもいいコンビ(カップル?)だった。
警察の捜査では、「思い込み」が大事なのかもしれないとする久我の持論には、納得させられた。冷静さが第一にあるという印象の検察と、警察の違いはそこにあるのか、と腑に落ちた気がする。
しつこくヤメ検弁護士になることを誘われ、その道を選ばなかった久我検事。有村巡査の故郷、鹿児島に異動した倉沢検事。それぞれの物語をまた読みたい!
Posted by ブクログ
うだつが上がらない久我検事は若い2人、警察官の有村と部下の新人検事倉沢に影響を及ぼしていく。それは彼の事件への向き合い方が経験に基づいて緻密に取り調べを行い、検証していく姿を二人に見せていくからだ。倉沢は久我が出世では陽の目を見ていないが、現場では着実に仕事をしていることを理解していく。
そして単なる自殺ではと思われた事件の本当の犯人に辿り着く。それはとても悲しい結末だった。
主犯格の女がどうしてあれだけの悪に成長したかの背景はほとんど描かれていないが、久我を始め、倉沢、有村が今までどのように生きてきたのか、だからそう動くのかが納得する人物描写で描かれていて、事件だけでなく、人間模様も読み応えがあった。
Posted by ブクログ
面白かった!ほぼ一気読み。
事件そのものと久我の検事としての戦いとが並行して描かれる。検事の姿にリアリティが感じられる。
久我が検事を続けることになったので、次回作も期待できそう。
Posted by ブクログ
警察でも弁護士でもなく、検事が主人公の検察ミステリーは初めてだったので、検事の世界が興味深かったです。
事件を解決したニュースを見ていると、警察や検察、どちらのどんな仕事かなんて意識しないけど、いろいろと複雑なんですね。
最後まで全く真相がわからず、びっくり。
Posted by ブクログ
初めての検事ものの小説。
出世街道から外れた久我検事が自殺か他殺か分からない事件を紐解く。
区検で小さい事件を取り扱い久我と、久我が指導官を務める倉沢のコンビがなんかいい。
淡々とこなしているように見えるけどそうじゃない久我、上司にも物怖じしない倉沢。
検事というなかなか見えない世界が少しは分かった気がする。
Posted by ブクログ
夏の夜、男性が高架鉄道から転落し、猛スピードの車に衝突した。果たして、自殺か他殺か。
検事の久我周平は、出世コースから外れ、罰金刑など軽い事件ばかり扱う一方、遺体見聞には豊富な経験を持つ。
久我検事が、交番巡査、新人女性検事と共に、被害者の身辺を洗うと、意外な闇が浮き出てくる。
果たして、本当の犯人とは?
窓際検事の逆転なるか?
Posted by ブクログ
初読みの著者の名前「なおしましょう」に、かつてのミステリー作家・嵯峨潜「さがせん」(探せん)や嵯峨島昭「さがしましょう」(探しましょう)の遊び心を連想してしまった(笑)。果たして、意識した名前?
出世コースを外れ、東京地検浅草分室に勤務する検事久我周平。久我が指導官を務める新人検事倉沢ひとみ。刑事になることを希望する交番勤務巡査の有村誠司。
この三人が、高架鉄道から転落した男は自殺か他殺かと、捜査を始める。
元新聞記者らしく、法曹世界の旧弊な人間関係など、リアル感があり、3人のキャラクターは魅力的。
だが、検事が捜査する過程に納得感が得られなく、物語世界に入り込めないまま終わってしまった感。
意外な犯人と、その哀しい結末には・・・