品川亮のレビュー一覧
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ラーシュ・ケプレル『蜘蛛の巣の罠 下』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ警部シリーズ。ハヤカワから扶桑社に刊行元が変わったが、扶桑社ミステリーが月に3、4作を刊行していた全盛期の頃を思い出すようなテイストのシリーズである。
前作『鏡の男』の衝撃のラストからの続き。ヨーナ・リンナによりとどめを刺されたユレック・ヴァルテルで物語を引っ張り続ける感が強い。
連続殺人犯のユレックに関わったことで精神を歪められたマーラ・マカロフによる残忍な犯行は止まらないという恐ろしい設定。犯人のマーラ・マカロフの犯行動機と超人的な肉体能力が最後まで腑に落ちなかった。
ヨーナたち警察が追う連続殺人犯『捕食者』はユレック・ヴァルテルの信奉者でスパイダーと呼ばれるマーラ・マカロフの可能性があると思われた。
そんな中、サーガの関係者ばかりが犠牲者になっていること、サーガの推理が全て的を得ていることからサーガは仲間から疑われ、停職処分を受ける。そして、一連の事件現場で見付かった痕跡はサーガが犯人である可能性を示し、ついにサーガ・パウエルがマーラの犯行に協力している疑いが濃厚となり、第一容疑者として手配される。
次々と犠牲になるサーガの関係者。最後の9番目に狙われたヨーナを救えるのはサーガだけだった。
ラストではサーガ・パウエルに迫る新たな闇が予告される。
定価1,320円
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ラーシュ・ケプレル『蜘蛛の巣の罠 上』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ警部シリーズ。
前作『鏡の男』の衝撃のラストからの続き。ユレック・ヴァルテルで随分と物語を引っ張るものだ。連続殺人事件の犯人はユレックの模倣犯なのか、それともユレックの信奉者なのか。相変わらず、不気味な事件が描かれる。
シリアル・キラー『サンドマン』ことユレック・ヴァルテルとの闘いに終止符を打ったヨーナ・リンナとサーガ・パウエルだったが、心に深い傷を負い、療養するサーガの元に絵葉書が届く。差出人の署名はユレック・ヴァルテルのアナグラムで、ヨーナへの脅迫と9人の連続殺人を仄めかす内容だった。
それから3年後、国家警察長官のマルゴット・シルヴェルマンが厩舎で銃撃され、連れ去られた後、苛性ソーダで溶かされた悲惨な死体となって発見される。現場にはサーガが受け取った絵葉書に書いてあった純白の薬莢が残されていた。
しかし、マルゴット殺害事件は連続殺人の幕開けに過ぎず、マルゴットの葬儀を行った教会の牧師、さらに2人の警察関係者が殺害される。そして、殺害前には必ずサーガの元に次の被害者を示唆する錫製のフィギュアが送られていたのだ。
犯人に先んじることが出来ず、被害者の山を作るヨーナとサーガ。
定価1,320円
★★★★ -
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ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。
シリーズ第8作。
「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気がする。それとも見落としていたのか。下巻に続く。 -
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オスロの集合住宅の住民から悪臭の苦情が寄せられ、警官が向かった先には、腐敗が進行し、腹部を膨張させ両足の開いた男の死体があった。一地方警察官として勤務し、数週間後に警察庁の警部に復職することになっているヨーナのもとに、色を失った監察医ノーレンが訪れる。死んだ男の冷凍庫には多数の切断された人体のパーツがあり、その中に亡くなったヨーナの妻スンマの頭蓋骨があったというのだ。スンマの墓が荒らされたことにショックを受けるヨーナは、かつて対峙した怪物の狂気に満ちた記憶を蘇らせる……。
シリーズ第7作。版元が変わって、次々と翻訳が出るのは、本当にありがたい。凄惨な描写を振り払うかのような物語の推進力は健在。 -
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ヤン・ストックラーサ『スティーグ・ラーソン最後の事件』ハーパーBOOKS。
死ぬほど面白い大傑作『ミレニアム』三部作の著者で知られるスティーグ・ラーソンが生涯をかけて調査し続けた1986年のスウェーデン首相暗殺事件の未公開アーカイブをベースにしたノンフィクション。
自分自身、1986年に起きたスウェーデンのオーロフ・バルメ首相の暗殺事件は全く知らなかった。というよりもスウェーデンという国自体を余り知らず、ヘニング・マンケルの『クルト・ヴァランダー警部』シリーズやスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作などの傑作北欧ミステリーがその風土や文化を知る切っ掛けとなったのだ。
スティーグ・ラーソンがジャーナリストで、『ミレニアム』の主人公カール・ミカエル・ブルムクヴィストが自身をモデルにしているのは知っていた。しかし、彼がジャーナリストとしてどのような活動をしていたかなど全く知らなかった。
1986年の2月、スウェーデン首相が家族で映画を楽しんだ後に夫人と二人で街を歩いていたところを独りの男に背後からマグナムで射殺される。男は夫人を狙って発砲するが、失敗して逃走、待っていたフォルクスワーゲン・パサートに乗り込み、行方をくらます。長年にわたり極右組織の取材して来たラーソンは首相暗殺事件の犯人像に迫る。次々と浮上しては消える容疑者。未解決となった首相暗殺事件の真相を我々は知ることが出来るのか……
本体価格1,500円
★★★★