品川亮のレビュー一覧
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ラーシュ・ケプレル『蜘蛛の巣の罠 下』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ警部シリーズ。ハヤカワから扶桑社に刊行元が変わったが、扶桑社ミステリーが月に3、4作を刊行していた全盛期の頃を思い出すようなテイストのシリーズである。
前作『鏡の男』の衝撃のラストからの続き。ヨーナ・リンナによりとどめを刺されたユレック・ヴァルテルで物語を引っ張り続ける感が強い。
連続殺人犯のユレックに関わったことで精神を歪められたマーラ・マカロフによる残忍な犯行は止まらないという恐ろしい設定。犯人のマーラ・マカロフの犯行動機と超人的な肉体能力が最後まで腑に落ちなかった。
ヨーナたち警察が追う連続殺人犯『捕食者』 -
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ラーシュ・ケプレル『蜘蛛の巣の罠 上』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ警部シリーズ。
前作『鏡の男』の衝撃のラストからの続き。ユレック・ヴァルテルで随分と物語を引っ張るものだ。連続殺人事件の犯人はユレックの模倣犯なのか、それともユレックの信奉者なのか。相変わらず、不気味な事件が描かれる。
シリアル・キラー『サンドマン』ことユレック・ヴァルテルとの闘いに終止符を打ったヨーナ・リンナとサーガ・パウエルだったが、心に深い傷を負い、療養するサーガの元に絵葉書が届く。差出人の署名はユレック・ヴァルテルのアナグラムで、ヨーナへの脅迫と9人の連続殺人を仄めかす内容だった。
それから3年後、国家警 -
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ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。
シリーズ第8作。
「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気が -
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オスロの集合住宅の住民から悪臭の苦情が寄せられ、警官が向かった先には、腐敗が進行し、腹部を膨張させ両足の開いた男の死体があった。一地方警察官として勤務し、数週間後に警察庁の警部に復職することになっているヨーナのもとに、色を失った監察医ノーレンが訪れる。死んだ男の冷凍庫には多数の切断された人体のパーツがあり、その中に亡くなったヨーナの妻スンマの頭蓋骨があったというのだ。スンマの墓が荒らされたことにショックを受けるヨーナは、かつて対峙した怪物の狂気に満ちた記憶を蘇らせる……。
シリーズ第7作。版元が変わって、次々と翻訳が出るのは、本当にありがたい。凄惨な描写を振り払うかのような物語の推進力は健在 -
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ヤン・ストックラーサ『スティーグ・ラーソン最後の事件』ハーパーBOOKS。
死ぬほど面白い大傑作『ミレニアム』三部作の著者で知られるスティーグ・ラーソンが生涯をかけて調査し続けた1986年のスウェーデン首相暗殺事件の未公開アーカイブをベースにしたノンフィクション。
自分自身、1986年に起きたスウェーデンのオーロフ・バルメ首相の暗殺事件は全く知らなかった。というよりもスウェーデンという国自体を余り知らず、ヘニング・マンケルの『クルト・ヴァランダー警部』シリーズやスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作などの傑作北欧ミステリーがその風土や文化を知る切っ掛けとなったのだ。
スティーグ・ラー -
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第二次世界大戦中ドイツの沿岸の町で医師の父親と母親のもと、のびのびとした子ども時代を暮らしていたトーマスだったが、ヒトラーの台頭とともに母親と祖父母の暮らすベルリンへ移った。父親はイギリスへ渡り二人を呼び寄せる手続きをすることになる。しかし、やがてベルリンのユダヤ人はすべてナチスに捕まり、トーマスと母親はアウシュビッツへと送られる。13歳で母親とも離され過酷な収容所を生き抜いたトーマスの記録。いくつかの収容所を移動させられるも、連合軍による解放の日までを生き抜く。解放後しばらく自治区となっていた収容所で、自分たちの体験を記録しておこうと絵を描いた。
スイスでの療養を経て、16歳でイギリスの父親