あらすじ
人気シリーズ最新作!
連続少女誘拐事件の闇
ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──
感情タグBEST3
とても面白いです。残虐な連続殺人事件の話ですから、面白いという言い方は不適切かもしれませんが、とにかく一気読みしました。
北欧を舞台とし、凍てつく雪と情熱を感じさせるミステリアスなヨーナシリーズは大好きで、一作目から夢中になっています。
様々な展開あり、事件あり、ヨーナの生活ありで、一作ごとに奥行きが深まります。
今回の話は、一番スリリングでスピーディーです。上巻、あっという間に読みました。
サーガにも会えてよかったです。
Posted by ブクログ
スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。
いつも仕掛けと残酷さと怖さとでこのシリーズに着いてゆけなくなる一歩前まで行くのだが、本作は久々のアイディアにやられてしまったかもしれない。夫婦作家共作のシリーズ向けペンネームで書かれたスウェーデン・ミステリーでありながら、甘いところは一切見られない、どぎついまでの暴力とサイコな駆け引きに満ちたシリーズを、図太い線で駆け抜けるのはお馴染みのシリーズ主人公ヨーナ・リンナであり、もう一つの主役を務める精神科医エリック・マリア・バルクである。
エリックの方は後半の少しだけの登場ながら、やはりいつもの主役クラスの展開に絡む。本書ではクライマックス・シーンと言っても良いような一点で。
いずれにせよ彼らシリーズ主人公は、物語の前半ではあまり活躍の場が得られない。むしろ悪の捕食者に捉えられ、辛く永く過酷な運命を辿ってゆく少女たちと、彼女らの運命が中心に語られてゆく。少女たちに絡む悲劇の夫婦が、本ストーリーにどう絡んでゆくのかが見えないまま、辛く凄惨な日々が過ぎてゆく。
運に恵まれない少女たちの物語には眼を背けたくなる読者が多いのではないだろうか。そしていつまでも見えないフリークなまでの残忍な犯罪者の正体は? 張りつめたバイオレンスの緊張感を通低音として聴きながら、誤った方向に進もうとする捜査と、警察組織への苛立ちをものともせず真実への最短距離を走り抜けようとするわれらがシリーズ主人公ヨーナ・リンナが本書でも頼もし過ぎる存在となってゆく。
謎の骨格が優れており、前半の暗い情景を丸ごとひっくり返すような驚く仕掛けで明かされるエンディングの妙は、シリーズ中屈指の面白さである。シリーズのスタート地点に立ち戻った観のあるエリック・マリア・バルクの活躍も苦闘も目立つ。
絶対に明かせない真相に向けて疾走するストーリーとその語り口の妙。状況のあまりの凄惨さに辟易を覚えた点を覗けば、久々に見る優れたサイコ・サスペンスとしておススメの力作である。辛く、痛く、そして真っ暗なトンネルを抜けたところにある快感を目指して、この長く冷徹なレール上を走り抜けて頂きたいと思う。
Posted by ブクログ
ラーシュ・ケプレル『鏡の男 (上)』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ・シリーズ。ここ最近、扶桑社ミステリーが全盛期に戻ったかの如く面白い作品を続々と刊行している。この作品を含めて、月に3冊も扶桑社ミステリーを購入するなど何十年ぶりだろうか。
少女連続誘拐殺人犯にヨーナ・リンナが挑む。全く見えて来ない犯人の正体とその動機。上巻の終盤に訪れる予想外の惨劇。この事件は一体どうなるんだ。
5年前、女子高生のヤンヌ・リンドが何者かに拉致され、監禁される。監禁場所にはもう一人の少女が居たのだが、監視役の老婆に両足を切断され、瀕死の状態に陥る。少女の死を確信し、決死の覚悟で脱出を試みたヤンヌ……
そして、現在。雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊るされた若い女性の遺体が発見される。報せを聞いて現場に駆け付けた国家警察のヨーナ・リンナは遺体を見て、5年前に誘拐されて行方不明になったヤンヌであることを知り、驚愕する。
事件の合間に描かれる精神病を抱える夫のマルティンと暮らすパメラは、5年前に娘のアリスを事故で失っていた。
ある日、犬の散歩から帰って来た夫の様子がおかしいと感じたパメラは、夫が描いた絵が報道されていたヤンヌ殺害事件現場と酷似していることに気付く。パメラは夫が事件の目撃者ではないかと警察に連絡する。しかし、警察はパメラの不在中に家に押し入り、一方的にパメラの夫を殺人容疑者として逮捕する。果たして……
定価1,210円
★★★★★
Posted by ブクログ
ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。
シリーズ第8作。
「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気がする。それとも見落としていたのか。下巻に続く。