あらすじ
15歳の少年のスケッチブックに残されたホロコースト。
生と死の境目で見つけた、友情、信念、そして未来への希望――収容所から解放後に綴られた貴重な手記。
スケッチ56点を豪華フルカラー収録。
本書を読み進める際には、トーマスのスケッチも、ぜひじっくりと見ていただきたい。証言が、図版とともに語られるのはまれなことなのだ。この二つは、いずれもトーマスが後世へと残す遺言である。
――序文より
驚くべき、非常に心を揺さぶられる作品。
――ジェームズ・ホランド(歴史家、ベストセラー作家)
彼の力強い声と絵は、人間が悲劇から何を学べるか、そして、どうしたら過去より未来を良くできるかを教えてくれる。
――エスター・ギルバート(ホロコースト歴史家)
1943年6月、ナチス支配下のベルリン。
ユダヤ人少年トーマス・ジーヴは、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られた。
わずか13歳だった彼は、3つの収容所を経て生き延び、22カ月後ついに解放の日を迎える。
そして、記憶の新たなうちにすべてを伝えようと、絵筆をとった。
少年のまなざしで見るホロコーストとは、どのようなものだったのか――
大人には語り得ない真実が、そこにはあった。
【目次】
序文
はじめに
プロローグ─まだ見ぬ未来 一九三九年、ベルリン
第一部
第一章 シュチェチンとボイテン 一九二九-一九三九年
第二章 ベルリン 一九三九-一九四一年
第三章 ベルリン 一九四一-一九四二年
第四章 ユダヤ人一掃 一九四三年
第二部
第五章 アウシュヴィッツ=ビルケナウ
第六章 隔離
第七章 レンガ積み学校
第八章 生き残るための闘い
第九章 極度の消耗
第十章 絶望の中で
第三部
第十一章 混沌の中のやさしさ
第十二章 古参囚人として生きる
第十三章 変化の風
第四部
第十四章 自由はなお遠く
第十五章 グロース=ローゼン強制収容所
第十六章 撤退
第十七章 ブーヘンヴァルト強制収容所
第十八章 解放のとき
エピローグ
チャールズ・イングルフィールドからのメモ
登場人物について
謝辞
索引
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ホロコースを生き延びた少年の話。
読むのが途中辛かった。
読むのをやめようと何度も思ってしまった。
辛い出来事は、物語でもなく現実に起きたこと。
普通の暮らしが普通で無くなってしまう。
なんとなく知っていた収容所の話が詳しく書かれている。
運が良かったことが重なったり、いろんな人たちが助けてくれたり。
(悪い人ばかりでは無かったのが救い)
生き延びてくれて、貴重なお話を書いてくれてありがとうございます。
この本がなければ、知ることもなかった。
本は読み終わったけど、登場人物が多く今復習中。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中ドイツの沿岸の町で医師の父親と母親のもと、のびのびとした子ども時代を暮らしていたトーマスだったが、ヒトラーの台頭とともに母親と祖父母の暮らすベルリンへ移った。父親はイギリスへ渡り二人を呼び寄せる手続きをすることになる。しかし、やがてベルリンのユダヤ人はすべてナチスに捕まり、トーマスと母親はアウシュビッツへと送られる。13歳で母親とも離され過酷な収容所を生き抜いたトーマスの記録。いくつかの収容所を移動させられるも、連合軍による解放の日までを生き抜く。解放後しばらく自治区となっていた収容所で、自分たちの体験を記録しておこうと絵を描いた。
スイスでの療養を経て、16歳でイギリスの父親と再開できたという。残念ながら、母親はアウシュビッツで亡くなっていた。イスラエルの建国と共にイスラエルへ渡ったという。
思い出すのもつらい体験を、詳しく綴ったトーマスさんに事実を伝えなければいけないという使命を感じた。