鯨井あめのレビュー一覧

  • 沙を噛め、肺魚

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    ①私は、芸術が関わる作品を読むことが好きなので、「世界が砂嵐に覆われ、芸術は機械が創るものになった__」という帯に興味を惹かれ、読んだ1冊。

    私自身、芸術を機械が創るということには、反対の立場を立っており、本作ではどう描かれるのかを楽しみに読んでみた。

    ②「やりたいこと」に突き進むか。
     「やるべきこと」を全うするか。

    これは、本当に悩んでいるも多い問題でもあり、どちらの主人公にも共感できることがあって、Z世代である私には、かなり刺さる話だった。

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    2025年05月07日
  • 沙を噛め、肺魚

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    2024年の新刊本はコロナが出てくる本がとても多かったのですが、この本には出てこなかったこと、
    コロナ禍を通して音楽や芸術が『不急でも必要な物である』と感じた時に出会った作品であったことから、2024年で最も印象に残った本となりました。
    沙で埋まっていく世界で、人々は現実的な仕事に就くようになり、音楽や芸術作品はAIが作るようになった世界。
    そんな世界でも自分で作曲をし、音楽を仕事にしたいと思う少女。
    気象予報士を目指す少年。
    沙害にも負けずに生きていく姿に感動しました。

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    2025年01月18日
  • 白紙を歩く

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    膝の故障で走れなくなった長距離走のエース定本が、そのことをきっかけに「なぜ自分は走るのか?」を疑問に思う。答えを探して図書室に行き、そこで「小説は万能だ」と豪語する明戸に出会う。彼女は自ら小説を書いていて、定本をモデルにした作品を書きたいと持ちかける。相容れない性格の2人が出会い、不器用に友情を育んで……いかない(笑)。クライマックスは2年生最後の校内マラソン大会で、笑いながら泣いた。
    鯨井さんのデビュー作に通じる読書賛歌でもあり、青春小説でもある。が、テーマは哲学的で、この作家の成長を感じる。おすすめだ。

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    2024年11月04日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    たくさんの著書も出てきて楽しいし、何より登場人物がみんな生き生きとして、精一杯生きている美しさが伝わってくる。
    お父さんのメモも優しさの塊。

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    2024年11月02日
  • 沙を噛め、肺魚

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    沙に世界が埋る終末的な世界で音楽を愛する少女と、やりたいことがある人たちを羨ましく思う少年が時空を超えて芸術で繋がるディストピアな物語。 独特な文章が少し読みづらいけど、それが物語の世界観にぴったりと嵌まっていて必要なパーツだと思う。 SFに学習能力の障害と誰もが悩む進路問題を絡めているように感じた。 AIが開発されスマホがあれば便利になったけれど、いつまでも紙で本を読みたいし、美術館へ足を運んで遺された芸術を見て感じたいと思う。 便利さと不便さを上手く自分の中で共存させたいと強く思った。

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    2024年09月06日
  • 沙を噛め、肺魚

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    一気に通読。芸術やエンタメが、既存のもの、機械が作るものばかりになった世界で、それでも新しく自ら作り続ける人たちの物語。今年のベスト本は「水車小屋のネネ」だったけれど、これも甲乙つけ難い。皆さんもよければ、手に取ってみてください。

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    2024年06月30日
  • アイアムマイヒーロー!

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    冒頭文の、「変わりたい、と思い続けている。自分の影を振り切って、過去を捨て去って、新しい姿に生まれ変わって、そうすれば、万事が上手くゆくと思っている。」 あ、オレだ。と最初から共感スタートだった。

    新しい自分に生まれ変わりたい、運命の出会い、奇跡、キッカケを待っている、こう思っている人に読んで欲しい。
    待ってても何も来ないし、何かあったからではなく何も無かったからこそ、今悩んでいる。 行動を起こす!というよりまずは、過去を受け入れ、自分が持っているものを確認してみる。
    自分の本質が見えてくるかも。

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    2023年07月07日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    ぜひ高校生の方には読んでほしい
    青春ものではあるが恋愛物語ではないです。空からクラゲが降ってくるというトンデモ展開のSF要素がありますが、登場人物の抱えるものはどれも現実感溢れるものばかりで、読者はきっと共感できるものだと思います。
    世の中は理不尽で溢れていて生きづらいと思うこともあるとは思うけれども、それでも優しくあろうと思えた心温まる作品でした。

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    2023年02月10日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    わたしたちは日々迷惑をかけたりかけられたりして生きています。ただ一口に迷惑と言っても、色々な種類(あるいは背景)があり、様々な形式、レベルでの「許し」「償い」が必要とされます。本書の主人公は、迷惑が何かが分からなくなり、すべての迷惑を同質な「迷惑」で片付けようとし、それを単に「かけるべきではないもの」「かけられたくないから避けるもの」として退ける生活を送っています。一見クールで合理的に見えますが、そのことによって他人への興味を失っている状態となっており、本書によれば、それはすなわち「優しさ」を欠いた状態ということに他なりません。この背景には幼い頃に売れない小説家の父が最期の病床で「迷惑かけてご

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    2023年01月20日
  • 【無料電子版】『きらめきを落としても』スピンオフ掌編集

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    収録してる時期に工夫が見られる

    メインとなる作品の時期の、さらにその前後の物語を描いたスピンオフ作品です。「きらめきを落としても」にて登場する重要なキャラクターの原作以前の経歴や背景、そして一方の原作後日談も収録しているというのが新たな試みかと思います。内容としては心が少し温まる感じがします。

    #癒やされる

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    2022年10月03日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    ふと、目にしたTwitterで知り何気なく借りた小説

    ・優しさの本質は他者への興味
    ・見た限りは話を聞いてあげるなり、諭してあげるなり、何か手を差し伸べてあげるべき
    ・ひとりは最も近くにいる気軽にやってくる地獄

    これらの言葉が心に刺さる。
    感動するオススメの本です。

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    2022年08月31日
  • 【無料電子版】アイアムマイヒーロー! 特典付き試し読み

    購入済み

    人生を考えさせられる

    私もそうですが、よく人生をやり直したいと思う人は多いのではないでしょうか。ですが、本当にタイムスリップの形で今までの人生をリセットさせてしまうと、どこか思い出が消えてしまうことに寂しさを覚えてしまうでしょう。このようなわがままな葛藤をしてしまう、人間の心理を的確に考えさせる作品のように感じました。

    #感動する #泣ける

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    2021年11月06日
  • 白紙を歩く

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    各々の人生の価値観を考えさせらせる小説。

    二人の価値観の違う視点で物語が交際していく物語です。
    一人は天才ランナー、もう片方が小説家志望。
    全然違う価値観がぶつかる時の不思議な感覚が面白かったです。

    そして、あなたにとって「人生」とは何か?
    人それぞれで人生の捉え方が違うのかと感じました。
    また、白紙を楽しむ!、無駄を楽しむ!
    なんでも現代人は理由を付けがちですが、こだわる必要がないのかもしれません。

    僕の人生は「実験」なんだなって感じました。
    皆さんの人生の例えはなんでしょうか?

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    2025年11月08日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    ネタバレ

    「ひとりは、最も近くにいる、気軽にやってくる地獄」

    「無関心であることは、人に優しくできないということだ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ」

    タイトルに惹かれて買った本だが、読後何とも言えないふわふわした感覚に陥り自分の心の中にもクラゲが降っているように感じた。登場人物がみんな優しい。主人公の亨は最初こそ他人にも自分にも無関心なタイプだったが、過去の父とのやりとりから人を傷つけたくないから無関心になっただけで、ずっと優しい。小崎ちゃんはクラゲを呼んでる不思議ちゃんかと思いきや、理由が余命わずかな親友との約束で世界に反抗するためだったのが切

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    2025年09月30日
  • 白紙を歩く

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    私と配偶者にそっくりな主人公たちの組み合わせだった。

    本をたくさん読む明戸さんは、かなり頭でっかちになっちゃってるけど、大人に縛られる悔しさがあるからこそ、そこから自由になるための準備(たとえば、大学に行って就職して、自活できる経済力を手に入れるとか)が必要だよと伝えたい。

    私は、大人になって親から解放され、自立してからのほうが生きやすくなったので。

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    2025年09月19日
  • 消えゆく街の秘密の友だち

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    小晴(こはれ)は小6。近くにある難しい私立中の受験のために塾に通っている。成績は良く、模試は常にA判定。満点の教科も多い。それ以外の日も英会話、水泳、ピアノと、習い事に忙しい。でも、自分の気持ちを表現することはおろか、気持ちを汲み上げることすら苦手。友だちは話が合わないし、携帯も持っていないので、いない。でも、この前たまたま見つけたクッキー缶に入っていたふしぎの街の地図で、本当にふしぎの街に行けて、そこには管理人を名乗るラッタッタだけがいた。ラッタッタには少し素直に気持ちを話せる。
    これは、イマジナリーフレンドと自己表現の発現を組み合わせたふしぎで優しいお話。
    ふしぎの街に行く過程で、なんでそ

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    2025年08月23日
  • 【無料電子版】『きらめきを落としても』スピンオフ掌編集

    購入済み

    面白いスピンオフ作品

    この本は心温まる煌めいた作品が入っていてとても面白いですがもう少し1つ1つ作品にメッセージを入れてもよかったと思いました

    #共感する #癒やされる

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    2025年03月15日
  • アイアムマイヒーロー!

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     少し、ややこしい感じがしましたが、あーそういうことかとなりました。
     タイムスリップ系で、こういうのは初めてだったので、新鮮で面白かったです。

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    2025年03月13日
  • 沙を噛め、肺魚

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    沙で覆われた世界。一つの音楽が一つの肺魚が繋がっていく。語り口も綺麗で情景も浮かびやすく読みやすい内容になっている。登場人物はみな悲観せず夢や希望を持っていた。楽しめましたよ。

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    2025年03月12日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    もしかして窓を開けたらクラゲが降ってるんじゃないかと透明感あって、伝えたい物語のメッセージ性も好きな作品だった
    高校生活、SF?敵は世界?そんなどこかワクワク感がありつつ、ぐはーってきた
    誰しもがクラゲを呼んでみたい、呼ぶべきだと思ったことがあると思う、そんな不思議ちゃんにもそこには理由があって真っ直ぐでいいキャラ
    主人公は自分の性格と似てて嫌気が…今更だけど学生時代をやり直して、あの時声を掛けてあげれてたらと思わずにはいられんかった
    いろいろ登場する純文学の作品も少し読んでみたくなったし、プラネタリウムの何とかて作品も気になった

    好きなフレーズ引用
    夏の深い青は底のない海のようだった 雲ひ

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    2025年02月14日