鯨井あめのレビュー一覧
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わたしたちは日々迷惑をかけたりかけられたりして生きています。ただ一口に迷惑と言っても、色々な種類(あるいは背景)があり、様々な形式、レベルでの「許し」「償い」が必要とされます。本書の主人公は、迷惑が何かが分からなくなり、すべての迷惑を同質な「迷惑」で片付けようとし、それを単に「かけるべきではないもの」「かけられたくないから避けるもの」として退ける生活を送っています。一見クールで合理的に見えますが、そのことによって他人への興味を失っている状態となっており、本書によれば、それはすなわち「優しさ」を欠いた状態ということに他なりません。この背景には幼い頃に売れない小説家の父が最期の病床で「迷惑かけてご
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匿名
ネタバレ 購入済み収録してる時期に工夫が見られる
メインとなる作品の時期の、さらにその前後の物語を描いたスピンオフ作品です。「きらめきを落としても」にて登場する重要なキャラクターの原作以前の経歴や背景、そして一方の原作後日談も収録しているというのが新たな試みかと思います。内容としては心が少し温まる感じがします。
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ネタバレ「ひとりは、最も近くにいる、気軽にやってくる地獄」
「無関心であることは、人に優しくできないということだ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ」
タイトルに惹かれて買った本だが、読後何とも言えないふわふわした感覚に陥り自分の心の中にもクラゲが降っているように感じた。登場人物がみんな優しい。主人公の亨は最初こそ他人にも自分にも無関心なタイプだったが、過去の父とのやりとりから人を傷つけたくないから無関心になっただけで、ずっと優しい。小崎ちゃんはクラゲを呼んでる不思議ちゃんかと思いきや、理由が余命わずかな親友との約束で世界に反抗するためだったのが切 -
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小晴(こはれ)は小6。近くにある難しい私立中の受験のために塾に通っている。成績は良く、模試は常にA判定。満点の教科も多い。それ以外の日も英会話、水泳、ピアノと、習い事に忙しい。でも、自分の気持ちを表現することはおろか、気持ちを汲み上げることすら苦手。友だちは話が合わないし、携帯も持っていないので、いない。でも、この前たまたま見つけたクッキー缶に入っていたふしぎの街の地図で、本当にふしぎの街に行けて、そこには管理人を名乗るラッタッタだけがいた。ラッタッタには少し素直に気持ちを話せる。
これは、イマジナリーフレンドと自己表現の発現を組み合わせたふしぎで優しいお話。
ふしぎの街に行く過程で、なんでそ -
Posted by ブクログ
もしかして窓を開けたらクラゲが降ってるんじゃないかと透明感あって、伝えたい物語のメッセージ性も好きな作品だった
高校生活、SF?敵は世界?そんなどこかワクワク感がありつつ、ぐはーってきた
誰しもがクラゲを呼んでみたい、呼ぶべきだと思ったことがあると思う、そんな不思議ちゃんにもそこには理由があって真っ直ぐでいいキャラ
主人公は自分の性格と似てて嫌気が…今更だけど学生時代をやり直して、あの時声を掛けてあげれてたらと思わずにはいられんかった
いろいろ登場する純文学の作品も少し読んでみたくなったし、プラネタリウムの何とかて作品も気になった
好きなフレーズ引用
夏の深い青は底のない海のようだった 雲ひ