鯨井あめのレビュー一覧

  • 沙を噛め、肺魚

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    沙(砂)に埋もれていく先々が危うい国の中で「やりたいこと」「やるべきこと」について考えて成長していく人々の物語りだったと思います。主人公はもちろん、登場人物それぞれの心情描写が丁寧になされていると感じ好印象でした。
    二部構成でしたが第一部途中に読み疲れて断念しようと思ったのですが、通読してみて良かったと感じます。星4つです。

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    2025年02月10日
  • 白紙を歩く

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    小説を読むというのは自分自身と向き合う事なのかもしれない。それ故に否定されると怒ってしまうのかもしれない。この小説に登場する主人公は2人、その内1人の気持ちが何となくわかる。
    迷い、戸惑い、血反吐を吐きそうな想いをしながら進んでいく少女たちのそれぞれの「白紙」、このタイトルが実にいい。少々詰め込みのきらいがあるものの、まっすぐさに胸を撃たれた。

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    2025年01月29日
  • 白紙を歩く

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    長距離走で全国レベルの定本は膝を怪我して、走る目的がなかったことに気づく。苦手な読書をすることで目的を探そうとして、不登校気味で体育は完全底辺な小説を書いている明戸と出会う。性格も高校生として居る場所も正反対の2人がしばし混じり会い、「走れメロス」「星の王子さま」などについての考察やお互いの目線で周囲を語る(章ごとに語り手変更)あたりが楽しかった。
    展開が穏やかというか、山場がない展開(個人的感想です)でしたが、透明感のある青春小説でした。
    悩みがやや小学生には伝わらなそうな感じなので中学校以上向け。

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    2025年01月23日
  • 白紙を歩く

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    長距離選手の定元(サダモト)さんは、ひょんなことから小説家を目指す明戸(アケド)さんから小説のモデルを頼まれます。普通であれば交わらないであろうスポーツ女子と文学女子、それぞれが自身のことと相手のことを考え成長していく物語りだったと思います。テンポ良い文章で、しかし登場人物それぞれが悩み思考する様子が好印象でした。
    星4つです。

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    2024年12月19日
  • きらめきを落としても

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    ネタバレ

    初めて読む作家さんですが、読みやすい文体で、6編全て大学生が主人公で、きらきらした青春を描いているのが心地良かったです。

    収録作品で一番面白かったのはだんとつで「主人公じゃない」です。タイムリープSF(すこし不思議)なんですけど、タイトルの意味がわかるとニヤリとするし、最後の切ない余韻も含めてかなり好きな作品です。

    あとは文芸サークルを題材にした「言わなかったことも」も好き。

    全体的に後悔を描いている作品が多くて、青春の中に影を感じさせるのが良い。

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    2024年12月18日
  • 白紙を歩く

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    本好きの小説家志望『明戸類』と陸上部の有名人『定本風香』。
    接点がなかった二人の少女が、本を通して自分を見つけようとする。
    良くない意味の本好きが新鮮だった。押し付けがましく独善的。小説の力を信じ過ぎている。小説を書いているがバッドエンドにしかならない。
    方や『走れメロス』に真っ当な感性でツッコミ「合わない」とはっきり自覚する定本さん。
    本好きこそ、読むべきだと思うフレーズがたくさんありすぎて、まだ消化しきれていない。

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    2024年12月09日
  • 白紙を歩く

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    ネタバレ

    若いからこその悩みや空虚な感じを言葉にするって難しい。この難しさを難しいまま表現してる。すごいなぁ。悩む時間、空白の時間を美化するでもなく、無駄でいいし忘れてもいい、と伝えるストーリーは初めて出会ったな。

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    2024年11月16日
  • 沙を噛め、肺魚

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    やりたい事があって、選べる自由がある。
    だからこそ、選択する難しさがある。
    自由なような、不自由やような、そんな社会は、どんな時代にも共通なんだろうな。
    地球の終わりが見えたなら、やりたい道を進めるだろうか。

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    2024年11月05日
  • 【無料電子版】『きらめきを落としても』スピンオフ掌編集

    購入済み

    題名の通り

    題名の通りキラキラした掌編が次々と登場してきた。一読しただけでは意味がわからないものも少しはあったが、それでも 語り口が可愛らしいのでどんどん読み進めることができる。ただどの作品もこの調子だとだんだん飽きてきそうな気もする。本編はどんな感じなのだろうか?

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    2024年10月01日
  • 沙を噛め、肺魚

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    地球には沙(すな)が降り積もるようになり、嵐に巻き込まれると遭難することもある。人々は小さく残ったエリアに集中して住み、地域を電車が繋ぐ。天候荒れなければエリアの外を歩いたりすることも可能。そんな世界では音楽など想像する芸術を生み出す能力が衰退し、AIがかなでる昔の音楽やAIの創作に頼りきっていた。
    世界観に浸り混むのが少し難しく、世界観の答えもあまりない、設定がフワッとしていた。でも、この中で作り出された2人の生き方には引き込まれていった。1人は音楽に生きたくて、1人は詩を紡ぎたい。2人の世界は同じ場所やある音楽で繋がっていく。純粋な生き方に同調させられながら世界に入り込んでいく小説だった。

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    2024年08月30日
  • 沙を噛め、肺魚

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    砂が埋め尽くす世界、人々は安定を求めて生きるようになった。終わりが来るいつかまで、静かに、安全に暮らしたいと。
    やりたいことに生きるか、やるべきことを全うするか、二人の青春を2部構成で追う。
    終末世界になっても、やりたいことばかりできるわけではないのが切ない。

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    2024年08月12日
  • 沙を噛め、肺魚

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    お気に入りの作家、鯨井あめさんの4冊目の著作。
    世界が“沙”に呑み込まれようとしている未来が舞台だ。その状況に打つ手はなく、世界はゆるやかに終末へと向かっているが、人々は日常の暮らしを続けている。特筆すべきは“クリエイター”と呼ばれる機械の存在だ。過去のデータを基に、AIがあらゆる分野で好みの作品を提供してくれる。
    そんな世界で音楽を創りたいと願う少女と、詩作の才能を持つ少年が主人公の2篇が収録されている。
    終末世界と日常生活のイメージがなかなかうまく噛み合わず難儀したが、ある瞬間にふっと入り込めた。よかった。

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    2024年06月02日
  • 沙を噛め、肺魚

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    ディストピア小説とは近未来に沙に埋まってしまった地球に生きる2人の主人公、演奏家、気象予報士をめざす2人、沙の驚異にもめげず2人の挑戦が素晴らしい。レコードとギターが物語のアクセントとなり大傑作の誕生です。あなたも読んで異世界物語を堪能して下さい。

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    2024年05月04日
  • アイアムマイヒーロー!

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    やり尽くされたタイムスリップもの。かと思いきや少し違う。やり直し物には違いないが、読中、読後に苦さと痛みと寂しさと希望が滲み出てくる作品。読んで少し元気出た。

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    2023年08月26日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    ネタバレ

    夜の学校に忍び込むところなど、青春のワクワクを思い出すシーンがたくさん。
    くらげが空から降る美しい光景が目に浮かびました。

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    2023年07月25日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    p13「春の空は柔らかく、引きちぎられた綿菓子のような雲が青の半分を占めていた」
    とても良い表現!好き。空をこんなにきれいに表す言葉、初めて。

    p182「無関心である事は、人に優しくできないという事だ。自分勝手である事は、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ。」
    先輩が読書家で、よく本に出てくる言葉を言うシーン。本好きな人って、語彙力高そうで憧れる。

    p246「小説は現実に影響を及ぼすよ。人の考えを変える力がある。」
    p285「小説はいいよ。真っ白な紙にインクで文字を写しただけなのに、人の心を動かす。魔法みたいなものだ。生み出される意味があるものだよ。」
    p333

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    2022年11月06日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    たった2冊の売れない本を残した作家の言葉は呪いか、標か。様々な理不尽に抗う高校生の青春群像。

    そぉかぁ、くらげ、降るんだ…。 ま、いいか。

    亨くん、いつか「未完成本」を完成させるんだろうな。

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    2022年09月20日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    表紙の装丁が素敵。
    実在する小説が出てきて、この本読んだことある!と思ったり、読んだことのない本に興味をもったりした。
    心に残る文章やセリフがたくさんあった。
    この作家さんの他の作品も読みたい。

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    2022年08月23日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    作品内に、実在の本が色々出てくるので、同じ世界線のどこかで、このお話が実在しているように感じられる。
    ヒロインの「くらげを降らせる」というちょっと変わった目標をきっかけに主人公が少しずつ変わっていく様子は心温まる。そして主人公を取り囲む人々が、大人も含め、心優しい人が多くて嬉しくなる。「目撃者の義務」の話がとても心に残る。

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    2022年07月19日
  • 晴れ、時々くらげを呼ぶ

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    新刊の時に読んでて
    めちゃくちゃ面白かった!
    けど内容ちょっと忘れてたので文庫本版も購入

    やはり良い話だ
    こういう世界ならば
    この前の様な悲劇は起こらなかったであろう

    これが受賞時は大学生だっというのも凄い話

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    2022年07月12日