あらすじ
天才ランナーと小説家志望。人生の分岐路で交差する2人の女子高生の友情物語。
ただ、走っていた。
ただ、書いていた。
君に出会うまでは――。
立ち止まった時間も、言い合った時間も、無力さを感じた時間も。無駄だと感じていたすべての時間を掬い上げる長編小説。
「あなたをモデルに、小説を書いてもいい?」
ケガをきっかけに自分には“走る理由”がないことに気付いた陸上部のエース、定本風香。「物語は人を救う」と信じている小説家志望の明戸類。梅雨明けの司書室で2人は出会った。
付かず離れずの距離感を保ちながら同じ時間を過ごしていくうちに「自分と陸上」「自分と小説」に真剣に向き合うようになっていく風香と類。性格も好きなことも正反対。だけど、君と出会わなければ気付けなかったことがある。
ハッピーでもバッドでもない、でも決して無駄にはできない青春がここに“在る”。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
膝の故障で走れなくなった長距離走のエース定本が、そのことをきっかけに「なぜ自分は走るのか?」を疑問に思う。答えを探して図書室に行き、そこで「小説は万能だ」と豪語する明戸に出会う。彼女は自ら小説を書いていて、定本をモデルにした作品を書きたいと持ちかける。相容れない性格の2人が出会い、不器用に友情を育んで……いかない(笑)。クライマックスは2年生最後の校内マラソン大会で、笑いながら泣いた。
鯨井さんのデビュー作に通じる読書賛歌でもあり、青春小説でもある。が、テーマは哲学的で、この作家の成長を感じる。おすすめだ。
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各々の人生の価値観を考えさせらせる小説。
二人の価値観の違う視点で物語が交際していく物語です。
一人は天才ランナー、もう片方が小説家志望。
全然違う価値観がぶつかる時の不思議な感覚が面白かったです。
そして、あなたにとって「人生」とは何か?
人それぞれで人生の捉え方が違うのかと感じました。
また、白紙を楽しむ!、無駄を楽しむ!
なんでも現代人は理由を付けがちですが、こだわる必要がないのかもしれません。
僕の人生は「実験」なんだなって感じました。
皆さんの人生の例えはなんでしょうか?
Posted by ブクログ
私と配偶者にそっくりな主人公たちの組み合わせだった。
本をたくさん読む明戸さんは、かなり頭でっかちになっちゃってるけど、大人に縛られる悔しさがあるからこそ、そこから自由になるための準備(たとえば、大学に行って就職して、自活できる経済力を手に入れるとか)が必要だよと伝えたい。
私は、大人になって親から解放され、自立してからのほうが生きやすくなったので。
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小説を読むというのは自分自身と向き合う事なのかもしれない。それ故に否定されると怒ってしまうのかもしれない。この小説に登場する主人公は2人、その内1人の気持ちが何となくわかる。
迷い、戸惑い、血反吐を吐きそうな想いをしながら進んでいく少女たちのそれぞれの「白紙」、このタイトルが実にいい。少々詰め込みのきらいがあるものの、まっすぐさに胸を撃たれた。
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長距離走で全国レベルの定本は膝を怪我して、走る目的がなかったことに気づく。苦手な読書をすることで目的を探そうとして、不登校気味で体育は完全底辺な小説を書いている明戸と出会う。性格も高校生として居る場所も正反対の2人がしばし混じり会い、「走れメロス」「星の王子さま」などについての考察やお互いの目線で周囲を語る(章ごとに語り手変更)あたりが楽しかった。
展開が穏やかというか、山場がない展開(個人的感想です)でしたが、透明感のある青春小説でした。
悩みがやや小学生には伝わらなそうな感じなので中学校以上向け。
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長距離選手の定元(サダモト)さんは、ひょんなことから小説家を目指す明戸(アケド)さんから小説のモデルを頼まれます。普通であれば交わらないであろうスポーツ女子と文学女子、それぞれが自身のことと相手のことを考え成長していく物語りだったと思います。テンポ良い文章で、しかし登場人物それぞれが悩み思考する様子が好印象でした。
星4つです。
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本好きの小説家志望『明戸類』と陸上部の有名人『定本風香』。
接点がなかった二人の少女が、本を通して自分を見つけようとする。
良くない意味の本好きが新鮮だった。押し付けがましく独善的。小説の力を信じ過ぎている。小説を書いているがバッドエンドにしかならない。
方や『走れメロス』に真っ当な感性でツッコミ「合わない」とはっきり自覚する定本さん。
本好きこそ、読むべきだと思うフレーズがたくさんありすぎて、まだ消化しきれていない。
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若いからこその悩みや空虚な感じを言葉にするって難しい。この難しさを難しいまま表現してる。すごいなぁ。悩む時間、空白の時間を美化するでもなく、無駄でいいし忘れてもいい、と伝えるストーリーは初めて出会ったな。
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陸上を続ける理由を探す定本と小説家になりたいという明戸の2人の女子高校生の話。その設定だから当然といえば当然なのだが、ひたすら2人の思考を描いている。ちょっと回りくどいししつこいような気もしてしまった。明戸は特に学校とかルールとかを面倒だと行ってひたすら批判し、家族にも向き合わずひたすら逃げ回る、若干厨二病のようなものを感じてしまいキツかった。一方で定本のキャラは好きだった。周りに左右されなくて努力を努力と思わないで走り続けられるのがアスリートなんだろうと思った。
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すご!と思ったところは視点が切り替わることによって書き方がガラっと変わるところ。最初、定本さんの視点読みにくくて、う〜んってなってたけど明戸さんの視点になってから書き方がガラッと変わって読みやすくなった。それを感じてすげ〜と感動した。
メインのふたりの話や、恭一郎の話は個人的に好きだったんだけど他のサブの子の話がもうちょい濃くてもいいかな…?と…
サブの子とメインのふたりの話をもうちょいいれても良かったかなと思ったりもするが、話のテーマはすごく好きだった。無駄は無駄であって、無駄ではない。あとタイトルは読み終えてから見ると感動する。
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白紙を歩く メイン2人の話は良かったが、その他の登場人物の話が中途半端というか、これあらないんじゃね?とか、中盤から後半ダルくなったかなと。まぁ終わり方はそれなりに良かったと思うけど。話をあくまでメイン2人だけに絞って欲しかったなと。家族の話やジェンダーの話とかいるかって言われればいらないかなぁ。
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学校 ★★★ 大人 ★★☆
陸上選手だった両親をもつ高校2年の定本風香。自身もスポーツ科に所属しインターハイ出場経験がある長距離ランナーである。しかし膝の故障で無心に続けてきた走る意味を見失ってしまった定本は『走れメロス』を読んで、走る理由を見つけようとする。ただ今まで本と無縁で読み始めると眠たくなり、なかなか読み進めることができない。
そんなとき司書室で出会った小説家を目指す明戸類に小説のモデルにさせてほしいと頼まれ、明戸の家のブックカフェに誘われる。
一方、明戸はモデルを頼んだ以上ハッピーエンドを書いて定本の理由になると意気込むが、実は明戸はすべてバッドエンドで終わってしまう小説しか書けないという密かな悩みを抱えていた。
物語の世界に助けられた経験をもつ明戸は人生はストーリーだというが、理由探しの定本はブックカフェで出会う人々などの話を聞くうちに違うのではないかと思い始め…。
本は読まない。あるいは読めないという生徒はたくさんいる。定本の場合は小説の設定に疑問があり納得できないと先を読むことができない。そんな定本の疑問を明戸が自分の解釈で説明し、それを補助線にしてなんとか読み進めていく。1行読んでこんなに疑問を感じていたら確かに小説は読みにくいだろうと思う。
理由を探す定本故の読み方なのかもしれないが、物語を読むことに慣れていない人はこんな感覚の人もいるのだろうと初めて知った気がした。
学校生活の窮屈さ、疑問、そして面倒くさいルール。
そんなものに縛られたくない明戸と破る理由もないという定本はあまりに接点がなさすぎるように思えるが、お互いの違いに悩みながらもつながっていく二人が興味深い。
Posted by ブクログ
怪我をきっかけに走ることの理由を探す陸上部のエース定本風香と物語は人を救うと信じている小説家志望の明戸類の2人の友情物語。
読書好きというよりも小説家になるという強い志しを持っている類は、強気でズバズバと言いたいことを言うタイプで、風香はマイペースで真面目なタイプで全く正反対で交わることのないままかと思っていたが、類が風香をモデルに小説を書くということから2人の距離が近くなる。
類と関わる人たちやその交流からも人生とは何かを深く考えることになる。
悩ましい年代だからこそ思いはいろんな方向に触れたりするが、結局は「自分と陸上」「自分と小説」に真剣になれたのだろう。
出会えてなければ気づかなかったことの大切さを感じる青春物語。
Posted by ブクログ
性格が正反対の2人の物語。正反対だからこそ衝突は絶えないし、なんでこんなこと言うんだとか思うけど、その"なんで"も私一個人の感想だったのだと気付かされる。人それぞれ、個々について探求できるいい物語だったと思う。そして私自身も思考し続けようと思う。
Posted by ブクログ
離婚した両親との関係をこじらせ小説(創作)に逃避する女子高生と、同級生で故障中の長距離走のトップ選手との小説を巡る交流。
書いても書いてもバッドエンドになってしまう文学少女のこじらせ方に今ひとつ共感できない。
文学少女の懸賞応募原稿を持って郵便局に陸上少女が走るくだり(だけ)は(本書の主題の1つである「走れメロス」を彷彿とさせて)盛り上がったが、終盤も含めて登場人物たちに感情移入できず、距離を置いた読み方になってしまった。
Posted by ブクログ
足の故障で休部中の定本と小説家志望の明戸、2人の手探りのような不器用な友情物。走ることのストーリーを探す定本の読む本、走れメロスと星の王子さまの感想が面白かった。