上出遼平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ元々番組を観ていて、好きな番組だったけど本も出たというので読んでみた。とても興味深い内容ではあったし、大変な環境を生きる人々の現状が垣間見えるのはジャーナリズムとしても意義深いことだとは思うけど、なんていうかな。生まれる土地は選べない悲しさというか、そういうことを思ったりもした。特にスカベンジャーの回はかなりつらいものがあった。年端も行かない子供がシンナー吸ってるのとかね。先進国の少子高齢化が進む中で発展途上国ではどんどん子供を産んでいるみたいだけど、この先世界の人口動態はどうなっていくんだろうな、とも思った。
一番印象的だったのは、ロシアのカルト宗教の話。ミッドサマーっぽい風景にぎょっとしたけど、中にいる人はそんなに狂っているようにも見えず、そんなもんなんだなと思った。まあ、元いた住民が追い出されたりとか、色々あったみたいだし、不満を抱えている子どももいそうだったけど。それこそ、「生まれる場所は選べない」の一例だね。
身の回りのことも社会のことも、とにかく色んな事に思いを馳せがちなこの世では、誰か(=教祖)に代わりに悩んでもらうっていうのは確かに肩の荷が降りて楽になりそうだなと思った。次々に降ってくる決断と選択の嵐から自分を守ってくれる存在は心地よいだろう。まあ自分はああいう村社会は向いていないと思うし、お肉も食べたいしお酒も飲みたいので入信はしないけど、合う人には合うんだろうな~と思う。
まあでも、わざわざ宗教に入らなくたって自分の判断を他人に寄託してる人なんかいっぱいいるよな。ネットニュースの意見に引っ張られる人とかさ。あと急病の場合は病院に行くって言ってたけど、急病じゃなくても持病が発生したらどうするのかなと思った。健康なうちはお金がなくても暮らせるだろうけど、力仕事もたくさんあるから、いくら助け合いの文化があったとて、元気なうちしか暮らせない生活モデルじゃないのかな~と思った。
にしても、本にはプロデューサーたる筆者の気持ちやより詳細な話がありありと描かれているだけに、ロケの壮絶さが手に取るようにわかる。コーディネーターもよくついてきてくれるな!って感じ。いつ殺されてもおかしくないし、奥さんはどんな気持ちで家で待ってるんだろう?と思った。
番組を観たのは結構前で、そんなに激しく「このロケ大変だな~」と思った覚えはないんだけど、本では臭気や恐怖や興奮や、筆者の感じた感情がモロに描かれているから、映像で描かれている本編よりもむしろ本の方が見ごたえがある感じがした。でも「この人本編で見たな~」っていう記憶の補完が功を奏した部分も大いにあるから、映像版も併せて観た方が良いとは思う。
あと『食』をテーマに番組を作るくらいだから、上出さんは元々食べるのが好きな人なのかもしれないけど、食レポがとても上手。身体に良さそうなものは全然出てこないけど、野生的なおいしさが想像できる。本編はあんまり味の感想とかはなかったような……(覚えてない)と思うから、そこも読みごたえがあった。500pくらいあるけど読みやすいし、かなりおすすめ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレビジネス本の皮をかぶったエンターテイメント小説。
「仕事術」というタイトルの本を手に取るような、社会のシステムに過剰に適合しすぎたビジネスマンが、いつのまにか「小説」を読まされているっていう構造がシュール。「仕事ができる人が必ずやっている◯◯」とか「人生は◯◯が9割」のようなビジネス本や自己啓発本がもてはやされていること自体への皮肉がたっぷり含まれていると思う。ビジネス本の皮を被っているという構造も含めて、エンターテイメント作品としてかなり面白かった。
ただしあくまでもエンターテイメント作品だと思うので、本当の意味での仕事術を読みたい人には全くおすすめしません!! -
Posted by ブクログ
TVが面白かったからと友人に勧められた「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。テレビ東京で以前やっていた深夜のルポルタージュ番組の活字版だ。私はその番組を知らないのだが、相当ヤバくて面白かったらしい。
リベリアの墓地、ロシアのカルトキリスト教の村、台湾マフィア、ケニアのゴミ山。ヤバい世界で暮らす人たちの食事を見せてもらう、という、いわゆる強烈な「サラメシ」みたいな番組だ。
著者の上出遼平はこの番組のディレクターでプロデューサーでカメラマンで編集で出演者で、1人で全部こなしている。カメラを持ってひとりで現地に飛び、通訳と一緒にヤバい人と会って話し、メシを見せてもらう。しかしいつの間にかメシよりもヤバい人たちの暮らしや考えに優先順位は移る。ヤバい人たちの食事が特段ヤバいものであるわけではないからだ。
旅は好奇心を満足させてくれる。知らない土地、ましてや危険な場所。台本のないひとり旅。現代の旅行記といえば沢木耕太郎の「深夜特急」がある。沢木耕太郎作品の中でも群を抜いた傑作で特に前半のアジア編が魅力的だ。藤原新也の「全東洋街道」も好きだ。写真家でもあるので写真がたくさん載っていて楽しいが、文章の方が惹かれる。想像力をかき立てられるからか。いずれも学生時代に読んで感化されて旅に出たものだ。
さて、上出遼平のルポはそうした若者の個人旅行のように勢いで乗り込んで突き進む。ジャーナリズム
の正義を振りかざしたりはしない。何が正解とか、正しいのはどっちとか、解決するためにとか、そんな話ではなく、その世界に住む人たちと友だちになろうとする。その人たちの人間らしさに光を当て理解しようとする。環境が違うだけで私たちと同じことがわかる。話にヤマ場を作ったりオチをもうけたりしないから、盛り上がりのようなものはない。
そして最後に「また来てね」「あなたに会えてよかった」と言ってもらえると魂が浄化される。取材が暴力であることは避けられない。だから、彼らが言いたいことを言って、僕らが聞きたいことを聞いて、人と人として心を開いて同じ時間を過ごすことがドキュメントを撮ることなのだと書いている。ジャーナリズムと一緒にしてはいけない。
シベリアのカルト信者が言った「僕らは他人の正しさを判断するべきではない」。自分たちの価値観で判断し、どちらが正しいとか、比べることに意味はないし、必要もない。
貧困や内戦が悪いという話ではない。そこにあっても笑顔があり幸せがある。豊かで平和な世界でも不幸はある。
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未開のアフリカの地にたった一人で降り立って取材をするなんて相当大変だったんだろうな。自分はやりたくないけど見てる分には面白い。
本当に今でも人肉食なんてしてる部族はいるのか?? -
Posted by ブクログ
ネタバレいわゆる仕事術本ではないらしい、くらいの前情報で読み始めた。
・第一部は個人的にあまり興味を持って読めず。しかし「自分のやっている仕事は誰のために何のためになされるべきか忘れてはならない」「Do the right thing 善きことをしよう、真っ当なことをしよう」「目につくところに貼り出したほうがいい」が第二部に効いてくる…
・第二部は途中から、おや?となり、そう来ますか!と、ぐんぐん読めた。
もちろん仕事術も書かれてるが、「正義」についての本と感じた。カミデの正義はいつからか自分のため、自分を守るためのものに変貌していった。院長への謝罪に関する「正義」は確かに保身に走ってるなと感じた一方で、ALS患者から依頼された死の手伝いは見方によっては「患者のための正義」も成り立つ…
「何よりも大切なのは心」で始まり、終わる。
良心を持てということ?