上出遼平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
俳優の仲野太賀とフォトグラファー阿部とクリエイター(ディレクター)上出の3人でネパールの山を登る話。ミッドナイトピザクラブとは、この三人のサークル(?)の名前。NYでゆるやかに集い連日連夜遊びピザばかり食べ、そして山に登る約束をし、本当にネパールに集結する。そしてランタン谷を目指す。本書はその旅の様子をまとめたものだ。
道中の音声を記録したものを書き起こしたらしい。会話がリアルで詳細なのは、そういうことか。この3人の会話がゆるくてふざけていて面白い。キャラクターも面白い(阿部ちゃん…)。そしてご飯がおいしそう。30代の男3人旅、面白い。自由だ。そしてやはり仲野太賀は写真に映ると絵になる。さすが。
装丁がおしゃれ。さすがクリエイター3人…。この本のほかに何か活動あるのかな?とネット検索してみたらば、ミッドナイトピザクラブのインスタアカウント発見。グッズを作って販売していたり、なんとも楽しそうな仲間である。 -
Posted by ブクログ
4人目として一緒に旅してたような時間だった
阿部ちゃんと友だちになってみたい。バカでユーモラスで意味わかんなくて。いやそう考えるとわたしも上出さんみたいに腹立たしくなるのかな。
んでも人が頼んだ料理を奪って一口目を食べるなんて私にはできないから、そこの無神経さ憧れるな。
上出さんの文章も好きだなぁ。事実と感情が織り交ぜられていて、たまに深い思考がチラッと覗く感じ、アンバランスさが心地よい。この3人みたいに
あと仲野太賀はどう考えても好きやな、自分の扱いを理解していて愛嬌たっぷり。憎めない人なんだろうなと推測(会ったことないので)わたしもたまにそんなようなこと言われるけれど、比じゃないよな。素直で気遣えるけどちょっと無神経で可愛い人になりたい -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人Mの勧めで読んだ本。
こちらも世界が世界を引きつけたな〜って感じ。
仲野太賀さんと阿部裕介さんのキャラクターがチャーミングで魅力的、それをありありと描き出す上出遼平さんの文才…と、素敵な人たちによってつくりだされる「これは素敵旅にならざるを得ないな」という本だった。
特に、前半に描かれている仲野さんの魅力を語る言葉が、私が持っていないもの全てすぎて眩しかった。
旅の描写は、山に挑戦する過酷さももちろんあったが、それ以上にそこにいる人たちの暮らしや、かつてあった村がなくなってしまったなどの背景に心を寄せる上出さんの心の動きがまさに「一緒に旅をしている感覚」だった。特に、たまたま会った90歳を超えるゲストからいろんな話を教えてもらって、そのお礼にお金を渡したけれど、お金を渡すってモヤモヤするな…みたいに考えるところ、そういう思考に上出さんの誠実さが見てとれた。写真もよかった。フィルムだと二度旅ができるとは、なるほどなあと思った。
旅は人よな〜
私もまた、好きな人と素敵なところに行きたいな〜
私は多分、一人で旅をしたいタイプではなく、安全な場所でぬくぬくしていたいタイプなので、一緒に素敵旅をしてくれる人がいるのは本当に幸せなことなんだなとじんわり思った。 -
Posted by ブクログ
人は生きるために食べていく。それはどんな環境であろうと。
著者はカメラを向ける事は暴力性を孕むと書いている。全くその通りだと思う。人は見せるために生きているわけではない。受け取るこちら側は勝手に想いを託し、読み取った気になり、自分の物語として消費していく。傲慢に。自分勝手に。
それでも、語りたい人がいるから撮ることが出来る。見てほしい人がいるから撮ることが出来る。
極限状態での生活を切り取る切口としての食事。非常に個人的な行為。でも個人の行為は社会の影響を受けざるを得ない。
生きる事は食べること。社会から与えられた影響の結果、今日の食事になる。人の生に目を向けた良書だった。 -
Posted by ブクログ
いやー面白かった。
これは…なんてカテゴライズしていい本なんだろう?
とにかくすごい構成だった。
前半の第一部と後半の第二部で全く読後の印象が異なる本。白だと思っていたものがいつの間にかグラデーションを経て黒に変わっていたような感覚を覚えた。
後半を読んだ後に前半を読み返すと、ああなるほど、ここで著者が言っていたのはこういう意味だったのか、と腑に落ちるところが多々ある。やはりこの本は、「ドキュメンタリー作家」が書いた仕事術の本なのだ。
そして後半は、前半で著者が書いていた「ドキュメンタリーの本質」が実際にどういうものなのかを正に“実践的に”教えてくれている、ということが読み返したことで改めてよく分かった。
繰り返すけど、すごい構成だ。
始まりと終わりで180度くらい違うような感想を抱いたけど、大事なことは「はじめに」に書いてあった。初見ではあまり気にせず読み飛ばしていたけど、とても重要なことが書いてあった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ元々番組を観ていて、好きな番組だったけど本も出たというので読んでみた。とても興味深い内容ではあったし、大変な環境を生きる人々の現状が垣間見えるのはジャーナリズムとしても意義深いことだとは思うけど、なんていうかな。生まれる土地は選べない悲しさというか、そういうことを思ったりもした。特にスカベンジャーの回はかなりつらいものがあった。年端も行かない子供がシンナー吸ってるのとかね。先進国の少子高齢化が進む中で発展途上国ではどんどん子供を産んでいるみたいだけど、この先世界の人口動態はどうなっていくんだろうな、とも思った。
一番印象的だったのは、ロシアのカルト宗教の話。ミッドサマーっぽい風景にぎょっとしたけど、中にいる人はそんなに狂っているようにも見えず、そんなもんなんだなと思った。まあ、元いた住民が追い出されたりとか、色々あったみたいだし、不満を抱えている子どももいそうだったけど。それこそ、「生まれる場所は選べない」の一例だね。
身の回りのことも社会のことも、とにかく色んな事に思いを馳せがちなこの世では、誰か(=教祖)に代わりに悩んでもらうっていうのは確かに肩の荷が降りて楽になりそうだなと思った。次々に降ってくる決断と選択の嵐から自分を守ってくれる存在は心地よいだろう。まあ自分はああいう村社会は向いていないと思うし、お肉も食べたいしお酒も飲みたいので入信はしないけど、合う人には合うんだろうな~と思う。
まあでも、わざわざ宗教に入らなくたって自分の判断を他人に寄託してる人なんかいっぱいいるよな。ネットニュースの意見に引っ張られる人とかさ。あと急病の場合は病院に行くって言ってたけど、急病じゃなくても持病が発生したらどうするのかなと思った。健康なうちはお金がなくても暮らせるだろうけど、力仕事もたくさんあるから、いくら助け合いの文化があったとて、元気なうちしか暮らせない生活モデルじゃないのかな~と思った。
にしても、本にはプロデューサーたる筆者の気持ちやより詳細な話がありありと描かれているだけに、ロケの壮絶さが手に取るようにわかる。コーディネーターもよくついてきてくれるな!って感じ。いつ殺されてもおかしくないし、奥さんはどんな気持ちで家で待ってるんだろう?と思った。
番組を観たのは結構前で、そんなに激しく「このロケ大変だな~」と思った覚えはないんだけど、本では臭気や恐怖や興奮や、筆者の感じた感情がモロに描かれているから、映像で描かれている本編よりもむしろ本の方が見ごたえがある感じがした。でも「この人本編で見たな~」っていう記憶の補完が功を奏した部分も大いにあるから、映像版も併せて観た方が良いとは思う。
あと『食』をテーマに番組を作るくらいだから、上出さんは元々食べるのが好きな人なのかもしれないけど、食レポがとても上手。身体に良さそうなものは全然出てこないけど、野生的なおいしさが想像できる。本編はあんまり味の感想とかはなかったような……(覚えてない)と思うから、そこも読みごたえがあった。500pくらいあるけど読みやすいし、かなりおすすめ。