上出遼平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こういう本がもっとたくさん世に出て、もっとたくさん読まれて欲しいなと勝手に思うくらい素晴らしい本だった。
映像では放送出来なかった部分も収録されているので、映像で見たしなあ、という人にも読んで欲しい。
食うこと、すなわち生きること。
過酷な地で、今日を生きるために様々な手段に出る遠い地の人々に思いを馳せるとき、平凡な感想だけど、日本に生まれて今こうして暖かい部屋で本を読む休日を過ごせていることの幸運さを痛感する。
『僕たちが半分飽きながらケーキの蝋燭を吹き消している時、その祝福を受け取ることができない人間が存在している』
誕生日はおろか年齢すら分からない。それが当たり前だという人がこの地球にたくさんいる、ということを、普通に生活を続けていると忘れてしまう。
この本はあくまで食にスポットライトをあてるものだ。(スラムに住む人達のご飯、マフィアのご飯、カルト信仰者のご飯、ゴミ山で暮らす人のご飯など)
本という媒体で、文字を使って味を伝えることはそんなに簡単じゃないと思うけれど、上出さん、食レポもめっちゃうまい。
文章がそもそもとってもお上手なのだと思うけれど、食べ物を食べた時の豊かな表現を見ていると、やっぱりどうしても美味しそう。
過酷な暮らしをする人達はいつも飢えていて、決して満足してはいないだろうけれど、それでも、様々な工夫を経て、美味しそうと思えるものを食べているんだなぁとぼんやり思った。
こんなことすら、本を読まないと私は想像することができない。
上出さんの、文字通り命懸けのロケの結果生まれたコンテンツ。ジャーナリズムに対する熱い想いも垣間見えて本当に尊敬するし、感謝もしたい。
謝辞の最後の奥様への言葉にもじーんとくる。
上出さんがスラムの男たちに追い詰められた結果逆ギレして大嘘つくシーンが大好きです。 -
Posted by ブクログ
題名はコミカルだけど、全然コミカルじゃない話。
この本を読み終えた今、いろいろなことを考えさせられます。食べ物が題材のように見えるけれど、それとはもっと違った、本当に奥深いテーマや課題を考えさせられました。社会、文化、道徳、人種、宗教…
技術も文化も発展している日本に生まれて、日本で生きている自分にとっては、この作品中の人々の人生や境遇があまりにもかけ離れていて、まるで物語を読んでいるような気にすらなります。
どのエピソードも大小の衝撃がありましたが、ゴミ山のスカベンジャーのエピソードが1番心に響くものがありました。とても強く逞しく生きている彼ら。おそらく、住んでいる場所も、身なりもお金の稼ぎ方も、世界で最も貧しい人たちだと思います。でも、決して手を汚そうとはしない。そんな彼らはとても誇り高い生き方をしているな、と感じました。
この本は、どのような境遇でどんな立場の人であっても、「食事」というものは平等に心を満たし、温かくしてくれるものなんだな、と感じさせてくれます。が、それはこの本の一つの側面に過ぎないと思います。
この作者の方の旅を通じて、まるでパラダイムシフトを経験するような、そんな異文化な体験ができると思います。
食べ物が好きな人、ノンフィクションでジャーナリストが書いた本が好きな人だけでなく、日々の日常にモヤモヤしている人や世界の見方を変えたい人、世界を知りたい人など、いろんな人におすすめしたいと思います。
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Posted by ブクログ
「ヤバイ世界のヤバイ奴らは何食ってんだ?
食は多種多様な生活の写し鏡だ」
紛争地、マフィアや薬物、スラム、カルト、ゴミ山‥人が住めるとは思えない“ヤバい場所”に、確かに生活があり、食事がある。
著者の上出さんが身を削って伝えてくれた血の通ったリポートは、現実であるということがどんな物語より心を揺さぶり、とんでもない衝撃を受けた。
取材慣れした住人が金銭を求めて案内を始める。
それでも、素の人間を撮ることをあきらめない。表層的な演出や見せ物ではなく、その奥にある本音と日常を引き出そうとする執念がすごい。
読んでいるうちに、自分の中の「正しさ」が揺らいでいく感覚があった。
戦う少年兵も、信仰に生きるカルト村の人々も、一見異様に見えるけれど、彼らなりの日常と正義が確かに存在する。
上出さんは、それを同情や断罪でジャッジせず、ただ水平に差し出す。
ゴミ山で出会った少年。
踏み場がないほどウジ虫がわく収集車に乗り込み、投げ込まれるゴミを頭から被りながら少しでもお金になる資源を探す姿に、ジャーナリストとしての一線を死守してきた上出さんでさえも涙がにじむ。ページ越しに伝わってくるのは、どうにもならない無力感と、背筋が伸びるほどの生命力。
彼らは、ギリギリの生活を送っていてもだいたい「食べな」と一口わけてくれる。
上出さんが「美味しい」と言うと、嬉しそうに笑う。
その瞬間、武器も思想も貧富も忘れて、ただ「人間」としてつながれる。
食うこと=生きること。それ以上でも以下でもない。
「自分は恵まれている」と言い聞かせるだけでは余りにも軽い。
じゃあ自分に何ができるのか、は簡単に答えが出せる問いではないけれど、日常を生きる重みが少し変わった気がする。
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Posted by ブクログ
今まで読んだことがないタイプの本。ビジネス書かと思いきやドキュメンタリー、そしていつのまにか小説に。文章が上手いので、所々怪しいとは思いつつ、途中まで小説だとは気づかなかった。
更に作中で出てくるドキュメンタリー映像のテーマが「死」なので、取材対象の話も心をえぐられるものばかりで、涙してたのに。途中から何を読まされてるんだ?という気に。
ビジネス書なんか読むより、何より大事なのは心だよ、と。「ありえない仕事術」というタイトルにも、なるほど、となった。
・手に入れるべきは幸せを感じる心
・誰のための仕事か、その仕事でどんな世界観を実現させるべきかを見失わない。
・入口は欲望によって開かれる(食欲、性欲、睡眠欲)
・Qを問われるとAを知りたくなる。
・前提知識ゼロの人にも理解してもらえるかの視点 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1部
フジテレビのスポンサー離れをニュースに触れるたび、大変だとか感じてたけど具体的にどんな影響があるか腹落ち感なかったけど、この本を読んでイメージが湧いた。
テレビのマネタイズの仕方みたいなのがわかって興味深かった。
2部
1部とがらっと話の進み方が変わって、ぐいぐい引き込まれていった。
小説として読んだんだけど、
どんどんと闇が深くなって
抜けられなくなっていった。
体が動かなくなって、生きてるまま棺桶に閉じ込められる恐怖と闇。
正義を間違い良くない方向に進んでいってしまう闇。
カミデが闇に入ってからの加速度がすごかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネタバレ有。初見全く予測できない本。詳細を知らずに読んだ方が面白い。非常に面白いし革新的だった。読み通して感じたことは、筆者はこれに近い経験をしたのでは無いか、あるいはそう言った感情を常に持っていたのでないかと思わせられる。第一部は第二部を読んだ後もう一読してほしい、思わず笑ってしまうところがある(飲みは控えようの欄など、第二部の展開を予測させて面白い)第一部では実際に起こっている事象(実際売れたテレビ番組の話、オピオイドクライシスなど)をうまく混ぜて読者に『実際に起きている話』を布石に置き第二部へ繋げるのは新鮮だ。正直いうと二部も途中まで実話だと思ってた(前書きでの注釈に気づかなかった)酔っ払ってるくせにやけに口が回る爺さんが登場して違和感を感じ、ここでこの本の構造に気づいた。仕事の熱意、倫理観が何かのかけ違いで大きく道を逸らしてしまうのが実際の現場でも大いにある。テレビの功罪を身をもって体感してるから書けるであろうと話だった。Do the tight thingを肝に命じたい。