上出遼平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山登りが好きだから、登山の話ということで
点数は甘め。
ハイパーハードボイルドグルメリポート、
ありえない仕事術を読んでから
本書を読んだ順番。
体裁としては、登山小説に近いけど
ありえない事象、人物が出てきて
不思議な読感。
日常の描写からスタートして、
少しずつ少しずつ非日常的な人物が出てきて
不思議な世界に入り込んでいく感じは
村上春樹的なそれ。
印象的だったのは、前半と後半の山小屋で食べる
食事の描写が秀逸で、めちゃくちゃ食べたくなる。
ここらへんは「食う」にこだわってきた
上出氏らしいところかなと思った。
あとは、ありえない仕事術を読んだ後だから感じるのかもしれないけど、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄まじい本だった。
第一部も本質を突く内容で良かったが、第二部からがさらに凄い。
実直な主人公とその仲間が正義をもってドキュメンタリーを撮る物語を一人称視点で描く形式なのだが、どっぷり感情移入していた主人公に、突如しかし滑らかに感情移入できなくなる瞬間があり、技術を見せつけられた。
全編通して「正義とは何か」という強いメッセージを倫理観揺さぶる物語でストレートに伝えているにも関わらず、この装丁、このタイトルで闇に紛れさす真意が気になるところ。(カバーを外すと表に大きく正義の文字、裏はその正義の文字が崩れ去っているのも憎い)
あんたの正義は一体なんだ⁉
読む手が止まらない体験を久しぶりにしました -
匿名
ネタバレ自意識に殺される
生きづらさを抱えるすべての人に読んでほしい。 この小説は「自意識」に翻弄され、人生を遭難する現代人への警鐘でもある。 幼少期から「見られること」を強く意識し、周囲の視線への最適解だけを求めて生き続けてきた主人公山田の病巣は、SNSにより他人の視線がより顕在化された現代人にとっても他人事ではない。 しかしこの小説がより不幸なのは、山田がその最適解を出し続けた成功体験こそが、山田の視界を曇らせたこと。「聡明な」山田は、都市を『思考停止』と位置づけ、我こそが現代人に一石を投じるとばかりに、都市の対比としての「山」に向かう。しかし、一石を投じる動機は愛や平和のためなどでは決してないのだ。他人から「一目
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Posted by ブクログ
素晴らしい小説は、そんじょそこらのビジネス書はもちろん、哲学書すら凌駕する「気づき」をくれるもの。
その意味で、この本は(そもそも小説なのか?という気すらするが)とことん素晴らしい。
主人公は、身体と知性と屁理屈をもって、とことん、ホントにとことん考え抜く。一方で、結論は保留する。正解はコッチだと決めつけることなく、疑問符を抱きかかえたまま、主人公は歩く、歩き続ける。
登山の話のはずなんだけど、気づけば家族との暮らしや、仕事のこと、人生のことに想いを馳せる導線を、勘弁してくれ!っていうぐらい、引かれてしまう。
他にも色々言いたい魅力はあるけど、紙幅が足りない。例えば途中、「道とは何か」を問