人間六度のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間六度を読むのは「きみは雪をみることができない」以来の2回目。5つの作品から成るSF短編集。この本も帯にいろいろと書いてある。「ダ・ヴィンチ・恐山さん」、「志賀玲太さん」残念ながら両者とも知らなかった。
前回読んだ「きみは雪をみることができない」の感想文を読み返したら、今一つで「次作に期待!」と書かれてあった。果たしてそれは叶えられているのだろうかと考えながら読み進めた。さあ、各作品についてじっくり読んでみるか。
〇「サステナート314」
恒星間飛行、それに纏わるお決まりの「ソイレント・グリーン」的な背景に加えて、GLSF未満の友情、そして意外な結末。なんか一つでも深堀して欲しかったな。
〇「推しはまだ生きているか」
表題作。デストピア世界の中で生きる厳しさ。カルシウムを分解するって一体どういう意味?と考えながら読み進める。結局、カルシウム分解と言ってもコンクリートだけに影響するみたい。他のカルシウムには影響なし。良かった。推しは生きる希望・活力、これはどの時代でも同じ、形を変えて存在し続ける。推すもの同士、推しを得た世界の話はネタバレになるので割愛します。
〇「完全努力主義社会」
敵は異星人M&M。主人公は国を代表して戦う、愛する彼のために。ん?それだけ?なのか。
〇「君のための淘汰」
これはカマキリに寄生したハリガネムシか?寄生獣のパクリか?パラサイト同士で戦うなんて、やっぱり寄生獣のパクリだな。
〇「福祉兵器309」
本作品が一番良かった。閉塞感で満たされている日本に対するアイロニー満載の作品。全体的な構成も優れていて、主人公二人の関係も緊張感があって良い。そして、最後のアクセントも効いており、これが本作品を貫くテーマの回答とも言える。
65歳を過ぎて年金を貰い始めた高齢者が「老骸」となり、65歳未満の若者世代が支払う年金の掛け金「奥豊」を吸い上げる。若者代表の福祉兵器が「奥豊」を取り戻すことで、子育て世代の資金に充てる。誰だ?こんな制度を作ることを決断した「決断者」は?あれ?これってどこかの国に似ているな。「老骸」を甘やかしちゃあいかんよ!若者は「老骸」を始末することで、安心して生活していくことができる。今はとにかく「老骸」の数が多いので、出現したのを福祉兵器で抹殺、出現したのを福祉兵器で抹殺を繰り返すしかない。この年金制度が破綻したら、日本、いや王球は完全崩壊してしまうのだろうか。考えさせられる作品でした。
前回読んだ「きみは雪をみることができない」に比べて格段に実力が伸びているのは明らか。今回で十分に短編は楽しめたので、この状態を保ちつつ新しい中・長編をどんどん発表して戴けることを期待している。順調に行けば大きな賞も貰えると思います。 -
Posted by ブクログ
テレポートが当たり前になった近未来、事故でその能力を失った主人公が、逃亡中の少女と出会い、世界の根幹を揺るがす秘密へ巻き込まれていくSF青春群像です。
ワープボックスが支配する社会、道路の消えた街、高架に住まうロードピープルの描写など、世界観の構築力が素晴らしかったです。
テレポートをめぐるバトルや能力の拡張も刺激的で、SF好きとして胸が高まりました。
一方で、設定の豪華さに物語が追いつけず、キャラの感情や行動に説得力を感じられない瞬間もあり、理屈よりも勢いに頼る流れが散見され、力業で展開している感が否めません。
それでも、壮大な構想を持ち、読後に宇宙規模の余韻を残す一冊。荒削りだからこその可能性を感じさせる、若き才能の挑戦作だと思います。 -
Posted by ブクログ
SF作品。ほっとんど読んだことなかったので、短編集から読んでみた。
意外と、あっこう言うのもSFなのか。と言ったようなのもあったけれど、近未来的な話に、ちょっと手間取ることもあり。
でも、書いているのがSF作家のなかでも、かなり有名で、食べ物、に絞ったものということもあり、楽しかった。不気味だけれど、どんどん読んでしまう作品も。
一番印象に残ったのは、
「最後の日には肉を食べたい」
主人公が、「ルカ」への依存度が高いことに恐怖を覚えたと同時に、これこそ、静かなる侵略?なんて思った。最後、「ルカ」の仲間を意識していなかったタカアキが、『生まれた』と主人公にキスをする。これは一瞬の洗脳?支配?こわ。 -
Posted by ブクログ
豪華作家陣が想像力と食欲を刺激する、新世紀のごはん小説。
日常SFから遠未来SFまで8編を収録。
「人類と食」にまつわるSF小説アンソロジーです。
「食」は人間が生きるうえで欠かせない大切なもの。生きるのに不可欠……というだけでなく、いつしかそれは娯楽となり、美食を求め奇食を追い、飽食に飽き、ある種の歪さを孕んでいるようにも感じる昨今。食のポジティブな面だけではない部分に目を向けた一冊。
具体的に言えばディストピア飯やオルタナティブフードなどをテーマに扱ったものが多いです
美味しいものが大好きな私としては、こんな未来が来ないことを祈るばかり。
個人的に好きだった話は、『E・ルイスがいた頃』と『しあわせのパン』どちらも寂寥と罪悪感、そしてしあわせの詰まった素敵な話です。