ガストン・ルルーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2時間21分を続けて5回観るくらい面白かった最高の映画だったが、横恋慕男の大癇癪がこんなに耽美で面白いものかと衝撃を受けた。
「美しい芸術を永遠に追求する孤独」と「愛する人の家族として生きる団欒」のどちらを選ぶか?を描いている本作で、主人公のクリスティーヌは私達であり、私達はクリスティーヌであった。
仕事と出産、趣味と恋人。
クリスティーヌが迫られている選択は私達が日頃常に迫られている選択であり、クリスティーヌの迷いは私達の迷いであった。
クリスティーヌが 芸術を選ぶか/愛を選ぶか? 才能を選ぶか/凡庸を選ぶか? を見ることを通して、私達はもう一度自分自身の選択を思い出していく。
比喩的に「怪人=芸術、ラウル=愛」で表現している作品であった。
クリスティーヌを脅しながら音楽と孤独を与えた怪人
クリスティーヌに寄り添い自由と安心を与えたラウル
どちらが"クリスティーヌ"を愛しているかは明らかであったが、同時に、どちらがより"クリスティーヌの才能"を輝かせられるかもまた明らかであった。
だからこそクリスティーヌは迷っていた。
怪人とラウルには人間性の差が大いにあり、後から考えるともはや迷う余地などないと思われるのだが、クリスティーヌは劇中、何度も迷う。
「私と分かち合って たったひとつの愛 たった一度の人生を」
何と人生を分かち合うか。これは作品のテーマであると思う。
芸術や才能を諦めきれずに何度も葛藤するクリスティーヌは本当に等身大に感じる。他人事には感じられない悩みであり、だからこそ自分の気持ちを押し付けて彼女の話を聞こうともしない怪人ではなく、彼女の不安も葛藤も全て受け止めて抱きしめてくれたラウルを選ぶのは至極真っ当であると思う。
オペラ座の地下に何年も住みつき、どれだけの芸術や、数えきれないほどの愛の物語に触れてきてもなお、自身の中にある愛を正しく表現できなかったことに対して、怪人に哀れみを覚える。
ただ、個人的には、クリスティーヌは怪人とラウルのどちらを選んだとしても、それなりに幸せになったのではないかと思う。
そもそもどちらを選んでも、本来正解であるはずなのである。
それは私達が才能の道と愛の道、どちらを選んだとしても正解であるのと同じように。
怪人のキモさがなければ本作はもっと難しく、あるいは終焉しない物語になっていただろう。 -
Posted by ブクログ
フランスの田舎町の古い城館には、科学者スタンガーソン博士と令嬢のマチルド嬢が使用人たちと暮らしていた。
ある夜、実験を続けていたスタンガーソン博士と老僕は、実験室のすぐ隣のマチルド嬢の部屋、別名「黄色い部屋」と呼ばれる部屋からマチルド嬢の悲鳴と銃声を聞く。スタンガーソン博士と使用人たちはなんとか扉をたたき破って黄色い部屋になだれ込むと、大怪我をしたマチルド嬢が倒れている。しかし完全な密室の黄色い部屋に犯人の姿はないではないか!
この事件捜査に呼ばれたのはパリ警視庁の刑事であるフレデリック・ランサン。だがこの事件を何としても自分で解決したい!と張り切る若者がいた。まだ18歳の新聞記者ジョゼフ・ルールタビーユだ。彼は数年前から観察力、論理的な考え方から、すでにいくつかの事件の真相を見抜き、新聞社でも大いに信頼されていた。そしてルールタビーユはマチルド嬢を見かけたことがあったのだが、彼の幼い頃の思い出の女性と同じ香りを持っていたのだ。あの女性と同じ香りを持つマチルド嬢を助けたいという気持ちがあった。
人当たりの良さ、頭の良さで事件関係者に近づいたルールタビーユは、被害者のマチルド嬢は犯人をかばっているのではないか?との疑問を持つのだった。
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子供の頃に児童向け簡易版で読んだので「トリック」だけは知っている状態で読んだのですが、さすが小説としても、探偵ものとしても面白かったです。
スタンガーソン博士の実験内容が「物質の消滅」で、そしたら自分の眼の前で犯人が完全密室から完全消滅した!というのもよくできているなあ。
この時代のフランスの田舎町の様子や、世間の様子も感じられます。
ルールタビーユが「事件の真相は分かりましたが、あと4時間は公表できません」と言われてあっさり承諾する裁判官とか、世間がゆったりしてたんだなーとも。
マチルド嬢の秘密は、大人になった今ならなんとなく察せられた。
しかしこの『黄色い部屋の秘密』で明かされたのは、あくまでも密室から完全消滅したかのような犯罪の解決で、ルールタビーユの過去(まだ18歳なのに)とか、マチルド嬢の秘密の一端に関しては『黒衣婦人の香り』に続くらしい。そっちも読まなければいけないではないか。
ところどころでエドガー・アラン・ポーや、コナン・ドイルを悪く書いているんですが、ガストン・ルルーはコナン・ドイルのファンらしい・笑 -
Posted by ブクログ
『十角館』フェアのアガサ→ポウ→カー→エラリイ→ヴァンに続いて、6人目「ルルウ」こと、ガストン・ルルー初読み。
『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルー。
移動手段は馬車の時代。1908年と年代が古いので読みにくいかと心配だったけど、さすが新訳版!読みやすくスラスラ読める。
内側から施錠された完全な密室で令嬢が襲われた。犯人は一体どこに消えたのか…
謎に挑むのは、弱冠18歳の新聞記者ルルタビーユとパリ警視庁警部ラルサン。
犯人がわかってもなかなか明かさずに、かなり焦らされる。
でも全てがわかった時に、密室トリックの謎と、なぜ焦らされたのかに「なるほど〜!」とすごい納得できた。
キーワードのような伏線回収も面白かった。
・古典が好き
・空間が狭ければ狭いほど好き
・心理的要素が絡んでいるのが好き
という自分の好みにピッタリだった。
最後まで読んで、もう一度最初からザーッと読んでしまったくらい面白かった。
何度も読みたいのでこの本は購入しよう(^o^)
(※私の好みはだいぶ偏ってるのでオススメはしません)
解説によると、この作品は密室を扱った最古典の長編ミステリとのこと。
この時代にもうこんなに完璧な密室殺人の小説が出来上がっていたとは。
ディクスン・カー『三つの棺』の密室講義の中でもフェル博士が史上最高だと言ってたな。
作中で『モルグ街の殺人』と『まだらの紐』のがっつりネタバレしてた。
この作品を読む人は当然読んでいるから問題ないんだろうけど、私も先に2作品を読んでて良かった。
そして、続編を匂わす言葉を残して終わったと思ったら、この作品には『黒衣婦人の香り』という続編があるとのこと。でも新訳版が出てない(;_;)
『十角館』フェアも残すは1人だけ!
「オルツィ」ことバロネス・オルツィ。
オルツィは作品数が少なくて、『紅はこべ』か『隅の老人』のほぼ2択。
2択はさすがに選択肢少なすぎる。。。(T_T)
『紅はこべ』は歴史小説で無理だし、『隅の老人』は新訳版が出てないので読みづらそう…。
でも綾辻さんが選んだ7人だから、きっとオルツィも読んだら何か感じるんだろうな。
いつかオルツィにもチャレンジしよう(*´∀`)
『十角館の殺人』を読んだ時には、アガサしかよくわからなくて、ルルウは男性か女性かすらわからなかった。
そのルルウがこんなに面白かったとは!
読んでみて良かった。嬉しい驚きだった。
★10 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・怪人、どんだけ歌うまいのよ!!(笑)
・はじめ、出てくる奴が全員ワガママ&自分勝手すぎて、「やっぱフランス人とは仲良くなれない!」と思いながら(笑)読んでた。
・でも、そのエゴイストな人物たちが、この物語を通して、終盤、ほんの少し、相手にふっっと思いを添わせる。。。真意はわからない。上辺だけなのかもしれない。その一瞬だけなのかもわからない。わからないくらい、かすかな描写。
・でも、わずかばかりの思いやりを感じたエリックは、嬉しくて嬉しくて、ホッとして、そのまま自殺してしまう。
・孤独が癒されたとたん、エリックには、横暴に振る舞う快感を得つづけたいという怪人的欲望が、ちっとも湧き出てこなくなった。ライバルを殺してでも手に入れたいクリスティーヌが、永遠に自分のもとに来ないとわかったのに、心が満ち足りている。その焦り、混乱。
・僕のさみしさを思い計って欲しいという、ほんとうの渇きが癒された後、、、手当たり次第の暴挙をやめ、別の生き方をはじめるには、エリックはあまりに疲れすぎていた。もう、無理だったんだ。
・幸せになりたい、満ち足りたい、その境い目に立ち往生し、生きる力の迸り先を見失った人に、どう手を差し伸べたら良いかわからない。悲しいな、と思った。