ガストン・ルルーのレビュー一覧
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ブロードウェイの思い出に読み始めた一冊。映画、演劇とは違い小説ではストーリーの全体像を知ることができる上、怪人の描かれ方が異なる点も興味深い。何より、小説ではエリックという名前がついている。怪人のグロテスクさと悲しさを描くことができるのが小説というメディアの強みなのだけど、クリスティーヌの心の揺らぎも、ラウル子爵の未熟さも描き出すところにも、面白さがあるというべきだろう。
怪人は超自然の力を駆使する幽霊ではなく、ある生い立ちを背負った一個の人間である。そう定義したところに、19世紀人らしいガストン・ルルーの矜持が覗く。一方で、20世紀以降にこの話を演劇・映画にした人々はその辺をむしろ曖昧にし -
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舞台はフランス、スタンガースン博士が住んでいるグランディエ城の《黄色い部屋》で博士の娘マチルドが何者かに襲われる。部屋は内部から鍵がかけられおり、ドアを壊して踏み込んでみると、そこに犯人の姿はなかった……。
密室の古典ミステリとしては、かなり有名な作品です。
最初の事件だけでなく、その後も庭と廊下といった、状況的密室から犯人が消える事件が続けて起き、密室というキーワードが好きならば、楽しめる……と言いたいところですが、展開に強引さを感じたり、犯人ならこれぐらいはやってのけただろうといった説明で終わらしたりと、引っかかるところはあったものの、全体を通すと楽しんで読めた作品でした。 -
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ネタバレオペラ座の支配人モンシャルマン、リシャール就任の日に殺害されたオペラ座の道具係。前任の支配人からオペラ座の怪人について聞かされるモンシャルマン、リシャール。怪人に予約された5番ボックス席。案内係のジリー夫人が怪人と関係あると考えて解雇するが。新たな歌姫クリスティーヌ・ダーエと彼女に恋するシャニー子爵ラウル。オペラ座の女優カルロッタが舞台上で喉をおかしくした日、落下したシャンデリア。ジリー夫人の代わりに雇われた案内係の死。クリスティーヌが謎の人物と会話しているのを聞き調べ始めるラウル。クリスティーヌの失踪。謎のペルシャ人とオペラ座の地下に向かうラウル。
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ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」観劇を機に、オペ怪原作を読もうと思いたって。
もともと、ロイド・ウェバー版とコピット版のちがいが気になって居たんだけど、原作を読んで「どっちも違うじゃんww」となる私。
原作のエリックが一番哀しいんじゃないかな…と。
お父さんの話もしっかり書かれていたことが分かり、長年疑問だったロイド・ウェバー版の「墓場にて」のシーンがしっくりきた。
オペラ座の怪人って原作読んでないといけない作品だったのかwww
原作の登場人物たちは、自分の欲望(欲求ではない)に忠実で、それぞれのぶつかり合いの果てに悲劇が生まれる。
途中、えぐいシーンもあるけれど、いろいろなことが納得でき -
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もったいぶった言い回しや表現が多く、ややくどいように感じますが、
読み進める妨げになるほどではありません。
むしろ、ページ数の多さにしてはさくさくページが進みます。
密室の謎自体は、出版から100年以上経ち、
トリックや伏線を組むのが巧みなミステリー作家の著作も増えた今となっては、
驚くというよりも、そうなんだぁ、という感じでしたが、
キャラクター造詣が巧みで、細かな描写が多く、
まぁ、よくも頭がこんがらがらずに、こんな話を書いたわ!と感心しました。
乱歩先生が選抜するのも頷けます。
解説にもありましたが、この『黄色い部屋の謎』と、続編の『黒衣婦人の香り』は、
ふたつでひとつといってもいい -
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「オペラ座の怪人」で有名なガストン・ルルーの古典的名作。100年も前の密室トリックとしては本当に見事です。逃げ出せるはずのない密室からいなくなってしまった犯人、廊下のT字路で3方向から追いつめたのに消えてしまった犯人…。
ややアンフェアなところやアラもあるとはいえ、伏線もそれなりに回収してるので個人的には満足でした。探偵同士の推理合戦や犯人の意外性など、現在の推理小説に多大な影響を与えた記念碑的作品と言えそう。
18歳の新聞記者である主人公が裁判所で大勢の聴衆の前で謎解きをする場面はまるでアニメ・ゲーム的展開で思わず笑ってしまった。逆転裁判のなるほど君かと。