古典ミステリーが読みたくなり「ガストン・ルルー」の長篇ミステリー作品『黄色い部屋の謎』を読みました。
密室殺人ものの古典的名作として高く評価されている作品なので、以前から読みたかった作品です。
-----story-------------
フランス有数の頭脳、「スタンガースン」博士の住まうグラ
...続きを読むンディエ城の離れで、惨劇は起きた。
内部から完全に密閉された“黄色い部屋”からの悲鳴に、ドアをこわしてはいった一同が目にしたのは、血の海の中に倒れた令嬢の姿だけ… 犯人はどこへ消えたのか?
不可能犯罪に挑むは青年記者「ルールタビーユ」。
密室ミステリーの金字塔にして、世界ベストテンの上位に選ばれる名作中の名作。
-----------------------
「ガストン・ルルー」の作品は約3年前に読んだ『ガストン・ルルーの恐怖夜話』以来ですね。
本作品では、密室ミステリのメインとなる“黄色い部屋”での殺人未遂事件での犯人消失の他に、鍵の手廊下での犯人消失の謎、行き詰まり庭園での犯人消失の謎、、、 三つの犯人消失シーンがあり、それぞれ、別々のトリックが隠されており、三食愉しめる感じの構成になっています。
鍵の手廊下での犯人消失は、そんなに巧く行くかなぁ… という気がしますが、それも真犯人のテクニックということで納得するしかないですね。
そして、最後に青年記者「ルールタビーユ」によって解き明かされる“黄色い部屋”の謎、、、
確かに密室ミステリーなんでしょうが、真実を知ったとき、意表を突かれた感じが否めなかったですね。
密室トリックというよりは、心理的な密室ミステリー… 密室と思い込まされた、という感じですねぇ。
あまりにも意外な人物が犯人だったので、それがトリックの妙味でもあるし、それにより読者が密室と思い込むよう、巧く誘導されてしまった感じでしたね。
(種明かしになるので、この辺りでやめておきますが… )
「スタンガースン」の門番「ベルニエ」夫妻の密猟や、旅籠屋「天守楼」の「マチュー」夫妻と「スタンガースン」家の森番「緑服の男」の関係が、読者を真実から遠ざける効果を出していました。
こういう、直接的に犯人捜索につながらない伏線も、巧く使ってある感じがしましたね。
やや冗長な文体が気になりましたが、まぁ全体的には愉しめたと思います。
個人的には、同時期・同ジャンルのフランス作家では「モーリス・ルブラン」の方が好みですね。