城山真一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
刑務所モノは元々好きだけど、こんなにまっすぐに刑務官たちの職業的矜持や葛藤を想像したのは初めてだった。今までの作品では、(自覚なく)エンタメとして「刑務所」を消費してしまっていたのかもしれないと反省した。
日本社会には様々な問題があって、変われない組織を批判することは簡単だ。でも、どんな場所にも愚直にそして人生をかけて仕事と向き合っている人が必ずいて、そういう人たちへの想像と敬意なしに物事を考えてはいけない、と改めて教えられるような作品だった。
受刑者の介護の話は初めて触れる話題で、「刑の執行停止」についても初めて知った。刑務所も社会の一部、社会で起きていることは、塀の中でも同じ様に問題になっているのだと、当たり前のことに気付かされた。
多様な人生の選択や価値観を尊重しあえる社会になった一方で、他人に何か影響を与えることがますます憚られるようになってきている気がする。個人的にも年齢を重ねるごとに、人を変えることの難しさを学ぶばかりの日々だ。しかし火石の言葉や態度にはそれを諦めない強さと美しさがある。人の攻撃性を抑えることができる人が本当に強く優しい人だよなぁ…とクライマックスは感動しきりだった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ最近はがっかりすることが多々あるので、帯の謳い文句を信じないようにしているんだけれど…
むむむ! これはやられた!!
「鮮やかな反転、驚きの結末!」
まったくだ。“その部分”で変な声が出てしまいましたから。
<刑務所ミステリ>ということで、なんとなく地味なものを頭が勝手に想像していたんでしょうか。まったくやられました。
続編があるので、そう時間をおかずに読みたいと思わされた良作でした。
==データベース===
刑務所、そこはシャバ以上に濃厚な人間関係が渦巻く、更生の最後の砦――。
石川県の加賀刑務所を舞台に、刑務官と受刑者たちの織り成す五つの事件。
仮出所した模範囚の失踪(「ヨンピン」)、暴力団から足を洗う“Gとれ"中に起きた入試問題流出事件(「Gとれ」)、受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムの消失(「レッドゾーン」)など、刑務官たちの矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー。 -
Posted by ブクログ
面白かった!!
第1話 蜷川という受刑者が薬をアルミケースごと飲み窒息しそうなところに、火石は口の中だけ取り出して救急車を呼ぶ。意識は戻らない。受刑者たちに薬を配っていたら、ドスンという物音がした。若年性の認知症が疑われていた。
刑務所では暴動、逃走、事故死は防がねばならない。
昨日出所したばかりの源田が行方不明。源田を探しに叔父のところに向かう。来ていないし、連絡もないと言われる。彷徨うように探したが見つからない。墓で見つけた。更生施設には昔のムショ仲間がいたので、逃げてきたという。
蜷川が亡くなる。親族には引き取りを拒否される。本の間から遺書が見つかった。自殺だ。
第2話 勝田は極道だ。懲罰ではなく、自らの意思で清掃活動に参加している。
大学入試の試験問題を刑務所で刷っているが、それが漏れたらしい。警察の捜査が入るようだ。与崎が警察に呼ばれる。とりあえず着替えさせる。罪状は教えてもらっていない。瀬山と金井が刑務官募集のチラシをパンツにいれて持ち出そうとしていたことを思い出す。与崎は関与しているのか。実は与崎は女子大生の殺しのことで呼ばれていた。翌日、入試問題の件で刑務所にガサ入れとの連絡あり。
第3話 受刑者の健康診断記録が紛失した。保管している行政文書の一斉点検があり、昨年一年分がすっぽりなくなっていた。調査の結果、おそらく大学病院勤務の柴山が持ち出していたが返却された。
第4話 受刑者の貝原が倒れた。膵臓がんのステージ4。もって三ヶ月。本人は刑務所で過ごしたいと希望。しかし家族が希望すれば刑の執行の中断という手もある。貝原は家族に話すことに難色を示した。離婚しているからだ。元妻は話を聞いてくれるという。だが拒絶された。娘が面会には来てくれるという。その最中、また貝原が倒れる。貝原は娘の面会を拒絶する。
第5話 歌手の三上が仮出所した。牛切は満期出所。再犯の疑いが濃く、監視付きである。牛切はアルバイトしたいと希望するが、出所したばかりというとどこでも断られた。 -
Posted by ブクログ
金沢のひがし茶屋街で人気の芸妓・なつ江が殺された。
殺人事件なので犯人を突き止めるミステリーではあるが、それを越えるほどの人間ドラマにのめり込んでしまう。
元新聞記者で今は警察官である小豆沢玲子の動きに目を見張るものがある。
新米刑事であるが、落ち着いている物腰と相手を追い詰める感じでは無いのに彼女には嘘をつけない…と思わせる何かがある。
事件に関係があると思われる相手との距離の詰め方が上手いのだろう。
金沢のそれぞれのお店に聞き込みするのだが、その店の内情も一話一話がドラマを観ているようで飽きさせない。
水引細工店の過去を背負った女性従業員やなつ江と仲が良かった老舗料理亭の料理人、贔屓にしていた和菓子店の店主、友人だった老人福祉施設の経営者など、誰もが抱えている後継者問題や家族の悩みに寄り添いつつ、徐々に事件の核心に近づいていく。
浅野川雨情の歌詞を秘められた思いが、親子三代のことだと明らかになる。
何故、なつ江が殺されなければならなかったのか…
これは小豆沢でなければわからなかった奥の深い事件だったと感じた。