城山真一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者渾身の上梓作。「看守の流儀」も霞むほど、間違いなく今までの城山作品で最高傑作。見事で巧みなプロット、ひとつの殺人事件の真相が少しずつ明らかになっていく中での花街周辺のサイドストーリひとつひとつのきめ細かさと奥深さ、そして何といっても元新聞記者から転職した女刑事・小豆沢玲子の人間的優しさ溢れる魅力が全編に通底しており、章を重ねる毎に小豆沢玲子が好きになっている自分がいる。「浅野川雨情」を巡る人間模様の緻密さ、そしてラストで明かされる歌詞にこめられた親子愛には落涙を止められない。著者の集大成ともいえる作品で、魅力が十二分に感じられる大傑作。「ダブルバインド」の比留が登場するのは読者サービスだな
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Posted by ブクログ
城山真一さん、看守シリーズの2作目。
刑務官と受刑者をめぐるちょっとした事件を、めちゃくちゃ頭の良い火石さんが解決に導く連作短編。
前作のようなトリッキーな驚きはもうないだろうと、安心して読めるようなどこかガッカリなような気持ちで、でも1つ1つのストーリーは面白いのでフムフム堪能していた。
特に『チンコロ』はとても良くて、2度ほど感動して涙。
と思っていたら、そこから怒濤の急展開。
またしても「えぇーっ?!」と叫んでしまった。
火石さんの人生って、なんて過酷なんだろう。最後の1ページまで号泣でした。
文句無しの星5。
もう続編はないのかな…? -
Posted by ブクログ
各章の冒頭で、男たちの何やら胡散臭い話が綴られる。彼らの正体は?本筋とどのように繋がるのか?
主人公は、金沢東部署の刑事課長比留。
アポ電強盗を取り逃がし進退を問われる最中、駐在所警察官殺害事件が発生し、その捜査方針で上司と対立。
私生活では娘の家出に、彼女の実の父親の問題。
公私ともに窮地に立たされている彼がどのようにこの危機を脱するのか、嫌が応にも興味が掻き立てられ、目が離せなくある。
明らかにされる真実に、現実的にはこのような巡り合わせなんてあり得ないと思えるが、エンタメとして楽しめればいいか。
主人公が発する「組織防衛が犯罪の上にいっていいわけがない。警察は正義を前提に成り立つ組織だ。