城山真一のレビュー一覧
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城山さんの作品は、気にも留めないと普段は、気付かないことや知らない人の生き方が描かれていて、いつも面白いし、自分もいつそっちに行くか分からない現実味があって、好きだ。
「引きこもり」が主なテーマだけど、「家族だから」「家の中だから」問題が解決しにくいことやねじれて絡まって解けないし、溶けないということが、凄く頷く話だった。
フッとした弾みで、立ち止まっちゃって、歩けなくなっちゃって、後ろも振り返れなくなって、もうどうしたら良いか分からなくなる当事者、そして当事者の家族の描きかたが、凄く刺さった。
釣り針みたいに抜こうとしても、抜こうとすればするほど、深く刺さって痛みが伴うような感じだった。
現実は、こんなさーと身も蓋もない話なのかもしれないけれど、小説だからこそ良いじゃん。と思った。 -
Posted by ブクログ
「火石マジック」という言葉には若干白けつつ読んでいたのですが、最後には見事に驚かされました。読み終わってから冒頭の手記を再読して、なるほどと納得。謎解きとしても予想外の展開で楽しめました。
特によかったのは、刑務官側の内部的な葛藤が描かれていたところです。再犯を防ぐための監視と、更生を目指す刑務所の理念との矛盾など、単純に正解を出せない問題も印象に残りました。
現実にはこんなに綺麗に収まらないのだろうと思いますし、ある種の現代ファンタジーではありますが、読後感は悪くありません。ミステリーとしての意外性もあり、最後まで楽しめる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
刑務所モノは元々好きだけど、こんなにまっすぐに刑務官たちの職業的矜持や葛藤を想像したのは初めてだった。今までの作品では、(自覚なく)エンタメとして「刑務所」を消費してしまっていたのかもしれないと反省した。
日本社会には様々な問題があって、変われない組織を批判することは簡単だ。でも、どんな場所にも愚直にそして人生をかけて仕事と向き合っている人が必ずいて、そういう人たちへの想像と敬意なしに物事を考えてはいけない、と改めて教えられるような作品だった。
受刑者の介護の話は初めて触れる話題で、「刑の執行停止」についても初めて知った。刑務所も社会の一部、社会で起きていることは、塀の中でも同じ様に問題になっているのだと、当たり前のことに気付かされた。
多様な人生の選択や価値観を尊重しあえる社会になった一方で、他人に何か影響を与えることがますます憚られるようになってきている気がする。個人的にも年齢を重ねるごとに、人を変えることの難しさを学ぶばかりの日々だ。しかし火石の言葉や態度にはそれを諦めない強さと美しさがある。人の攻撃性を抑えることができる人が本当に強く優しい人だよなぁ…とクライマックスは感動しきりだった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ最近はがっかりすることが多々あるので、帯の謳い文句を信じないようにしているんだけれど…
むむむ! これはやられた!!
「鮮やかな反転、驚きの結末!」
まったくだ。“その部分”で変な声が出てしまいましたから。
<刑務所ミステリ>ということで、なんとなく地味なものを頭が勝手に想像していたんでしょうか。まったくやられました。
続編があるので、そう時間をおかずに読みたいと思わされた良作でした。
==データベース===
刑務所、そこはシャバ以上に濃厚な人間関係が渦巻く、更生の最後の砦――。
石川県の加賀刑務所を舞台に、刑務官と受刑者たちの織り成す五つの事件。
仮出所した模範囚の失踪(「ヨンピン」)、暴力団から足を洗う“Gとれ"中に起きた入試問題流出事件(「Gとれ」)、受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムの消失(「レッドゾーン」)など、刑務官たちの矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー。 -
Posted by ブクログ
金沢のひがし茶屋街で人気の芸妓・なつ江が殺された。
殺人事件なので犯人を突き止めるミステリーではあるが、それを越えるほどの人間ドラマにのめり込んでしまう。
元新聞記者で今は警察官である小豆沢玲子の動きに目を見張るものがある。
新米刑事であるが、落ち着いている物腰と相手を追い詰める感じでは無いのに彼女には嘘をつけない…と思わせる何かがある。
事件に関係があると思われる相手との距離の詰め方が上手いのだろう。
金沢のそれぞれのお店に聞き込みするのだが、その店の内情も一話一話がドラマを観ているようで飽きさせない。
水引細工店の過去を背負った女性従業員やなつ江と仲が良かった老舗料理亭の料理人、贔屓にしていた和菓子店の店主、友人だった老人福祉施設の経営者など、誰もが抱えている後継者問題や家族の悩みに寄り添いつつ、徐々に事件の核心に近づいていく。
浅野川雨情の歌詞を秘められた思いが、親子三代のことだと明らかになる。
何故、なつ江が殺されなければならなかったのか…
これは小豆沢でなければわからなかった奥の深い事件だったと感じた。