城山真一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「看守の流儀」続編
刑務所で巻き起こるさまざまな問題を刑務官火石の鋭い考察と機転で解決してゆく謎解きミステリー。
連続した短編小説で、刑務所内の知らない場所を垣間見る面白さと謎解きの面白さですいすい読めます。
一度でも犯罪を犯してしまった者の生き辛さ。
本人がどんなに反省していても、厚生の道を歩む努力をしていても、やはり過去に犯罪を犯した者に対する世間の目は厳しい。
どんな綺麗事を言ったって、じゃあ、窃盗の前科者に店のレジを任せられるのか…否。暴力事件の前科者に我が子を預けられるのか…否。
出来心もあるかも知れない。心の病もあったかも知れない。ちょっとした勘違いや偶然の重なりだったかも知れない。
「根は真面目な人なのよ。」「本当は優しい人なのよ。」
そんな人も確かにいる一方で、根っからの悪人もいる。
善人が悪人が…その判断を見極める術はない。
ただ〝前科者〟という刻印だけがそこにある。
やるせない。
追記…みんなの感想を読んでいたら、多分「流儀」の大事なこと忘れてる。再読だな。
犯罪を犯してしまったものたちだけにとどまらず、警務官たちであっても日常には抱えるものがある。そういうところまで描いてくれたことが〝看守の〜〟の面白さだと思う。
〝〜流儀〟に続く第二段でシリーズ化を楽しみにしていたのけど、どうやらこの〝〜信念〟で終わってしまったようでそれが残念。
今年の2冊目 -
Posted by ブクログ
『 看守の流儀 』の続編となる『 看守の信念 』。
今回も加賀刑務所の若きキャリア警備指導官・火石司の「火石マジック」が存分に発揮していた。
一見クールな印象によって周りの刑務官に緊張を与える火石だが、実は思いやりに長け、さまざまな刑務所内でのトラブルに対し、解決の糸口を担当官に与えて問題解決を図るのだ。
その思いやりは刑務官だけに対するものではなく、服役囚たちの更生のためにも目を向けている。
いわゆる魅力溢れるキャリア警備指導官・火石司の物語なのだ。
⚫︎第一話=しゃくぜん
釈放前の教育のことを刑務所では「しゃくぜん」と呼ぶ。
⚫︎第二話=甘シャリ
刑務所内で特食と呼ばれる菓子やジュース類のことを、受刑者たちは「甘シャリ」と言っている。
⚫︎第三話=赤犬
刑務所内では、放火のことを「赤犬」と言い伝えられている。
⚫︎第四話=がて
「がて」とは手紙のことで、刑期の長い受刑者が使う逆さ言葉の一つだ。
⚫︎第五話=チンコロ
「チンコロ」とは受刑者が使う隠語で、密告を意味する。
五話の問題に、常に火石司の「火石マジック」が解決の糸口を見つけ出すのだ。
相変わらずの火石の活躍振りに読者は拍手喝采となる。
がしかし、この火石に第五話で悲劇的とも云える大きな問題が派生した。
自らの問題には、残念ながら「火石マジック」は通用しなかった。
何とか自力で元来の火石に戻って欲しいと切に願いながら読み終えた。
気長に続々編を待って、火石司の再々登場を期待しようか。
頑張れ、火石司ッ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ実際に過去にあった國松長官襲撃事件をモチーフにした本作。
途中まではすごくリアリティがあり、ちょっとグリコ森永事件を題材とし「罪の声」と被る気がするけど、これはこれでとても面白かった。
どんどん物語に引き込まれてしまった。
だけど、後半、圭一の父親が実はってなってからちょっと現実味がなくなってきた気がする。
昔、自衛官だったことごあるというだけでそんなことできる?
偽造パスポートとか簡単に入手できる?と思ってしまい、うーんいい本なんだけどなという感じになってしまった。
妻の死の真相も良かったけど、なんか綺麗に収まりすぎな気もする。 -
Posted by ブクログ
資金難に苦しむ人からの依頼を受け、株取引を行い利益をもたらす投資の女神。ただし報酬は依頼人の最も大切なもの。
そんな「黒女神」の異名で呼ばれる二礼茜の活躍を描く経済サスペンス。シリーズ1作目。
第14回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
◇
その日、二礼茜と百瀬良太は金沢市中心地の百万石通にあるカフェのテーブルで向かい合っていた。
良太は「金融商品取引法」を盾に取り、他人に代わって株取引ができるのは役所に登録した業者だけですよと、真面目な口調で釘を差している。けれど茜はどこ吹く風だ。
登録業者なら確実に利益を上げてくれるのか。業者が損失を出したら役所は資金を保護してくれるのか。大切な資金を預けるのなら少しでも儲かる業者に任せるのが当然ではないのか。
茜の反論に良太は返すことばがない。
なら「金融商品取引法」なんてつまんない法律ねと茜が駄目を押して、この話題は終わった。
良太が黙り込んで間もなく、窓の向こうにある証券会社の株価ボードの数字が動いた。
茜が口にした銘柄のみが大きく値を上げている。それを見ても茜は表情を変えず、そろそろ行きましょうと良太を促したのだった。
( 序章 ) ※全4章と序章および終章からなる。
* * * * *
茜と良太の出会いから描かれるため、2人の関係がわかってすっきりしました。 ( 2作目を先に読んだので……。)
茜は、資金不足で窮地に陥った人の依頼を受けて株取引を行い短期間で利益を出すという、言わば資金調達代行業をしています。
けれど、誰でも茜に会えるとは限らないことや、茜の要求する報酬が依頼人にとって痛みを伴うものであること、その代わり茜が請け負った投資のリターン率はかなり高いものであることから、ニ礼茜はいつしか都市伝説化した存在となり「黒女神」と呼ばれるようになりました。
そんな茜が受けた仕事の依頼人が良太の兄だったところから、2人の縁が始まります。
良太はもとメガバンクの行員でした。融資を通して誠実に事業に取り組む経営者を支えたいという思いから選んだ職業でしたが、そのような公益精神の欠片もない企業体質に失望して退職。石川県庁付属の行政機関「いしかわ金融調査部」の金融関係の相談員に転職します。
金融面で困りごとを抱えている人の助けになればと就いた仕事でしたが、クレーマーたちの暇つぶしの相手が大半で、虚しい日々を送っています。兄の正弘から「黒女神」との交渉に立ち会って欲しいと電話があったのはそんなときでした。
地元で小さな繊維会社を営む正弘は堅実な経営手腕の持ち主でしたが、国内の繊維業が海外製品に押され衰退するなか業績悪化を止めることができません。
社運を賭け新事業に切り替える決心をするものの資金が足りない。そこでツテを辿って「黒女神」にすがることにしたのでした。そして交渉当日……。
というのが序章の内容です。本作のミソは茜と良太のキャラ設定にあります。
第一印象は冷淡な茜と温情家の良太。正反対に見える2人ですが芯の部分は共通しています。
雨の日に傘をさすことを忘れない。そして目の前にいる傘のない人には傘をさしかけずにいられない。
これが茜の拠って立つ信条です。
実際、茜が引き受ける依頼は基本的に、困難が降り掛かっても自分でできることは何でもしようとする人からのものです。それでも力及ばない人のサポートなら、せずにはいられないのが茜なのです。
そして良太も、銀行員時代からそんなサポート精神に溢れていました。投資のプロでも何でもなく茜のビジネスに直結する能力を持たない良太を、茜がパートナーに選んだ理由はそこにあります。
序章での2人の出会いが印象的でした。
茜は良太の誠実なサポート精神を気に入ったし、良太は茜の冷淡に見える対応の裏にある温情に気づきます。出会うべくして出会った2人。だからこそ正弘に対し、茜が報酬として要求したのが良太の協力だったのです。
2人はいくつかの依頼をこなすうちに呼吸が合うようになっていき、やがて意外な転機を迎えます。実にドラマチックな展開です。
黒装束に身を包み、そっけない態度を取りつつ、自助努力を忘れないクライアントには最善を尽くして応える。ブラックジャックのような投資の女神・ニ礼茜。
純情で正直なため駆け引きには向いていないけれど、本筋は決して外さない。ピノコのような最良の助手・百瀬良太。
魅力的な2人の主人公。
続きが読みたい。3作目ができないかなあと切に願います。 -
Posted by ブクログ
プロローグでの警察庁長官狙撃事件は実際にあった國松警察庁長官狙撃事件を思い出しました。場所も日にちも同じ設定でおまけに未解決であることも。そしてオウム真理教の地下鉄サリン事件を思わせる宗教団体の存在。
最初は十条銀座商店街の楽器店の店主青井圭一とこの事件がどう繋がるのだろう?と思って読み始めたけれど、妻であり、記者でもある沙月の亡くなる前の行動を辿って行くうちに思ってもいない真相に辿り着きました。
全ては家族の為に…。この小説の中の隠されたテーマのような気がしました。
タイトルにもなっていますが、狙撃手の祈りが通じたのは良かった。しかし、実際の事件の裏にはどんな真実が隠れているのでしょう?改めて当時の事件の事を思わず調べてしまいました。