城山真一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ社会から遮断された特殊な「刑務所」という空間で繰り広げられる社会派ミステリーであり重厚な人間ドラマ。かつて公務で地元の刑務所を見学した際の記憶と重なり、現場の息づかいや張りつめた空気がリアルに伝わってきた。
本作の大きな魅力は、厳格なルールを守る冷徹さと、人としての立ち直りを願う温かさ。そのジレンマを抱えながら愚直に職務に向き合う姿は、プロフェッショナルによる「お仕事小説」として深く胸に響く。
連作短編の話ごとに語り手が変わることで刑務所の多様な側面が浮き彫りになり、独立した事件に見えた謎や伏線が後半の作品で収束していき、個々の苦悩や成長が少しずつ重なり合い、大きな一つの物語へと繋がる。
ミステリーとしての意外性と、人間模様の温かみが絶妙なバランスで同居しており、横山秀夫氏が称賛した理由にも強く納得させられた。閉ざされた壁の向こうにある誇りと人間味に思いを馳せ、読み終えた後には深い余韻と温かな感動が残った。 -
Posted by ブクログ
これは驚き、すごく自分好みのミステリーでした。
5編の短編連作ミステリー
最終章は驚きの展開!
帯に
「読んで損することは絶対にない。必読である」
とのコメントがありましたが、まさにその通り!
金沢の刑務所を舞台に刑務官、受刑者の物語
刑務官って大変なお仕事なのね(笑)
■ヨンピン
仮出所した模範囚が失踪。その理由は?
刑務官が渡さなかった手紙に隠された秘密。
■Gトレ
暴力団から足を洗うためのトレーニング、Gトレ。
そんなプログラムがあるんですね。
そこで、起きた入試問題流出事件。
誰が、どのようにして流出させたのか?
■レッドゾーン
受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムが消失。
盗難?誤廃棄?
盗難なら誰が持ち出したのか?その目的は?
ここでは、刑務所内の総務部VS処遇部の対立
どこでも、部門間のいざこざってあるんでしょうね。
■ガラ受け
すい臓がんになりながらも、頑なに刑務所内の療養を希望する受刑者。
一方、その刑の執行を止め、家族に身柄を引き受けることを頼みに行く刑務官。
家族との面会を拒む受刑者。
受刑者が守りたかったもの。
その真相とエンディングは心打ちました!
■お礼参り
出所した元放火犯を警察と刑務官が共同で監視。
そんなことってするんですね。これまた驚き。
そして、その元放火犯も姿を消します。
元放火犯の目的は?
ここは叙述トリックも含めてびっくりの仕掛け。
この最終章はかなりの驚きです。
ネタバレになるので、あんまり書けない。
とても満足なミステリーでした。
これ、ドラマになっているんですね。
でも、ドラマだとこの驚きは半減なのでは?
とってもお勧め!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ「看守の流儀」の続編。
引き続き、加賀刑務所で起きる不可解な事件を描く5つのお話。
受刑者や元受刑者のやるせない心情や関わる刑務官の切ない事情に加えて火石のプライベートも交えて描かれるお話は、今回もまた、とても面白く読めた。
織り交ぜられる、釈放前教育に“刑務所ラジオ”、就労支援スタッフや教誨師の存在など、知られざる刑務所のシステムもなかなか興味深く、そのシステムがうまく物語に溶け込んで、支援スタッフが現場に足を運んだのをきっかけに就職先が決まったり、全館放送を利用してある受刑者に特別なメッセージを届けたり、なかなか泣かせるいい話。
これだけでも十分なのだが、398頁になってビックリ。
確かに、宗片は出て来ないし、刑務所長から看守部長から処遇部長まで名前が違うし、次長へ昇進したはずの火石は指導官のままだし、第四話での火石の判断と行動にはらしくないところがあったし、だけどなあ、今回もまた驚かされるとは思わなんだ。
前作は『火石さん、女性でしたか……!』だったが、今作は『火石さん、男性でしたか……!』って、二冊目ならではサプライズでした。