城山真一のレビュー一覧
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横山秀夫が「どストライクだった」と評したのが頷ける作品だった。
舞台は金沢刑務所。ミステリの形を取りながら刑務所での刑務官と受刑者のリアルがとてもよく伝わった。
それにしても刑務官というのは大変な仕事だと思う。私が思う大変さは肉体的・身体的な業務の過酷さではない。犯罪白書などによると受刑者の再犯率は55%や58~59%というデータがあり、要するに出所した受刑者の半分以上はまた犯罪者になるという実態だが、受刑者の更生に尽くしている刑務官の徒労感というかやるせない気持ちは如何ばかりかと思う。更に犯罪者は国民の税金で運営されている刑務所で衣食住が保証されて安全な暮らしを送っているにも関わらず、半数以 -
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うわっ、またもや騙された!
ラストに驚きの展開と伏線回収。前作を読んで、その世界観を理解したうえで、、なのに、想像を超えてきた。
やられた感ハンパない。でもイヤじゃないし、なんなら嬉しいw
前作同様、刑務所を舞台にした5話の連作短編集。
各話それぞれの刑務官の奮闘劇は、今回も手に汗握る話があったり、胸が熱くなる話があったりで、いろんな話が楽しめる。
それにしても、出所者の就職活動はとても大変。受け入れる側も、そりゃ身構えるよな。いくら確かな技術を持った人だとしても、組織の中で綻びができるようであれば二の足を踏んじゃう気持ちは凄く分かる。
その一方で、きちんと再就職し、仕事に勤しめば再犯のリ -
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「看守の流儀」続編
刑務所で巻き起こるさまざまな問題を刑務官火石の鋭い考察と機転で解決してゆく謎解きミステリー。
連続した短編小説で、刑務所内の知らない場所を垣間見る面白さと謎解きの面白さですいすい読めます。
一度でも犯罪を犯してしまった者の生き辛さ。
本人がどんなに反省していても、厚生の道を歩む努力をしていても、やはり過去に犯罪を犯した者に対する世間の目は厳しい。
どんな綺麗事を言ったって、じゃあ、窃盗の前科者に店のレジを任せられるのか…否。暴力事件の前科者に我が子を預けられるのか…否。
出来心もあるかも知れない。心の病もあったかも知れない。ちょっとした勘違いや偶然の重なりだったかも知れな -
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『 看守の流儀 』の続編となる『 看守の信念 』。
今回も加賀刑務所の若きキャリア警備指導官・火石司の「火石マジック」が存分に発揮していた。
一見クールな印象によって周りの刑務官に緊張を与える火石だが、実は思いやりに長け、さまざまな刑務所内でのトラブルに対し、解決の糸口を担当官に与えて問題解決を図るのだ。
その思いやりは刑務官だけに対するものではなく、服役囚たちの更生のためにも目を向けている。
いわゆる魅力溢れるキャリア警備指導官・火石司の物語なのだ。
⚫︎第一話=しゃくぜん
釈放前の教育のことを刑務所では「しゃくぜん」と呼ぶ。
⚫︎第二話=甘シャリ
刑務所内で特食と呼ばれる菓子やジュース類 -
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ネタバレ実際に過去にあった國松長官襲撃事件をモチーフにした本作。
途中まではすごくリアリティがあり、ちょっとグリコ森永事件を題材とし「罪の声」と被る気がするけど、これはこれでとても面白かった。
どんどん物語に引き込まれてしまった。
だけど、後半、圭一の父親が実はってなってからちょっと現実味がなくなってきた気がする。
昔、自衛官だったことごあるというだけでそんなことできる?
偽造パスポートとか簡単に入手できる?と思ってしまい、うーんいい本なんだけどなという感じになってしまった。
妻の死の真相も良かったけど、なんか綺麗に収まりすぎな気もする。