遠野遥のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ① 女たちが吸血鬼のような暮らしをさせられる。
日光(紫外線) → 真実を白日の元にさらすことを意味する
分厚いカーテンや日傘によって女性は真実を見えなくされている。
美の基準がかわって日光を少し浴びた方がよいとされるが、日を浴びすぎると皮膚ガンやランク落ちの危険がある。
(真実を知りすぎることは生命にかかわる。)
② 男たちが吸血鬼のように生きている。
「美しさ」「弱いものを守る」「社会の平和」「秩序」などと言いながら、恵まれた男たちが女性たちの「自尊心」や「時間」を吸血している。
③ 最も悪質な吸血鬼「白井先生」
一見、理解があるように思える白井先生。
「自覚なき差別」と「無知 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「悲しむ理由がなかった。悲しむ理由がないということはつまり、悲しくなどないということだ。」
この1行があったから読んで良かった。
不気味にはじまりそのまま終わり、不気味だと思えることに安堵した一冊。
でも自衛のために規範にあてはめて考えて自分が相対的に幸福であると感じて胸を撫で下ろすことはわたしも何度もしてきた。
「客観視できる」といえばそれはいいことかのようだけど、いきすぎた客観視の末路がこの物語なんだろうな。
じゃあどう生きればいいんだろう。
感じたままに好き勝手生きていいわけない。
瞬時に「そんなわけない」と思うこれは、わたしが見事に社会化させてもらえて、生きやすくいられていること -
Posted by ブクログ
第163回芥川賞受賞作。ふとしたきっかけで、この作品を知ることとなり、久しぶりに芥川賞作品の小説を読んだ。芥川賞の作品を読みまくっているわけではないのだが、なんか芥川賞っぽいというか、取るべくして取った作品な気がします。
表向きには現代社会に適応しているまともな人間に見えるが、実は社会に適応していように演じている、ちょっとまともでない今風の現代的な人間を描いているって感じ。今の時代の純文学ってこんな感じなんだろうなと思いました。作者は、平成生まれではじめて芥川賞を受賞した人だそうです。
純文学系の作品って、あまり小説的なストーリー展開はないのだけど、それでも小説として成り立たせてしまうのはつく -
Posted by ブクログ
ネタバレ率直な感想は典型的な芥川賞作品。でも、これは作者の責任というよりは評価する側が「このぐらいの文量で、性について触れて、少し大衆とはかけ離れた感性を持たせた主人公で…」みたいな教科書的な感覚を植え付けてる気がしてならない。
肝心の内容は色々批判的に書き始めたが割と好み。主人公の陽介はあくまでドライでどこか俯瞰していて、それでいてマジョリティな感性とは少し異なり、どちらかといえばサイコと捉えられるような大学四年生。
麻衣子という完全無欠な彼女を手放してなんとなく灯を選んだりどこまでも読めない雰囲気がミステリアスで良い。
ただ、テーマの一つに性欲が中心に据えられてる気がしたのと、ここまで無感情 -
Posted by ブクログ
ネタバレものすごいものを読んだと思った。
文庫本を買って2年積んでいたけど、
日帰り旅行の際に
荷物が多くならないよう薄くてちょうどいいと
思ってもってきて新幹線で
読み始めたら止まらなかった。
性描写が多くて、それが全く主人公の幸せに繋がっていなくて怖かった。
凄惨な場面では主人公はいつも被害者だったけど、
女性といるときの自分の加害性には無頓着で
それも怖かった。
ストーカーのような存在に怯える女友達に
今日は一緒にいようと言って部屋に上がり込む
図々しさ、
使うかわからないけど、とコンドームを買う様子に
腹が立った。
それでいて自分が被害者の時は被害者然としていて
多様性ってこういうことなん -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に面白かった。俺が好きなタイプの文章だった。
人間的であることを意識して、人間的なことを思考している、というふうな文体だった。
性愛と恋愛は決して違う。灯は恋愛から性愛へと徐々に移行していったということができると思うが、彼の場合はどうだったのか。そもそも恋愛だったのか。でも、おそらく、愛ではあった。
なぜこれを書いたのだろうか。思うままに書いたのだろうか。
膝の、真に人間的な、ある種の美しさが彼との対比になっていてそこがとても好きだった。
想像できないものが「破局」なのだと思うが、彼にとっての破局とはなんだったのか。
p.105 「悲しむ理由がないということはつまり、悲しくなどな -
Posted by ブクログ
会社のCEOの彼氏がいながら、埋められない年齢差を嘆き、寂しさを誤魔化すようにゲームに没頭する高校生のふうか。ゲーム実況のような内容と、現実が混ぜこぜに描かれていて、現実味のない物語になっている。悪霊に取り憑かれ、何度もコンティニューすることで、ゲーム内のアバターの寿命が短くなっていくという設定だ。ゲーム内の彼女の家族は幸せそのものだった。しかし、父親の業績悪化で、一気に運命の歯車は狂い始める。曲のリズム、音程が崩れて不穏な空気になる感じ。ふうかに母親がいないのも、母親を求める記述があるのも、母親が自殺してしまったのだろうかと考えられる。Tシャツの太った男、黒田の痴漢の過去、ゲーム内で行われて
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品は「現代の若者とは」という問へのひとつの解答であると感じる。語り手のシステマチックすぎる語り口に見え隠れする不安が、まるまる語り手と同世代の自分に重なると感じた。実存主義が形を変え文学として再び表出する作品がトレンドであるように感じるが、この作品は特にそれが色濃く出ているように思う。
腹を満たすだったり、性欲を発散するという単純な3大欲求には正直なくせして、その他の複雑な欲求を理性や社会規範、また自らの肉体を檻とすることで抑制する姿は、自律的で厳しくあるように見えながら、思考停止で生きてゆけるように自分の能力不足を何かのせいにしがちな現代の若者を見事に表していると感じた。ただ、この小説