遠野遥のレビュー一覧
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会社のCEOの彼氏がいながら、埋められない年齢差を嘆き、寂しさを誤魔化すようにゲームに没頭する高校生のふうか。ゲーム実況のような内容と、現実が混ぜこぜに描かれていて、現実味のない物語になっている。悪霊に取り憑かれ、何度もコンティニューすることで、ゲーム内のアバターの寿命が短くなっていくという設定だ。ゲーム内の彼女の家族は幸せそのものだった。しかし、父親の業績悪化で、一気に運命の歯車は狂い始める。曲のリズム、音程が崩れて不穏な空気になる感じ。ふうかに母親がいないのも、母親を求める記述があるのも、母親が自殺してしまったのだろうかと考えられる。Tシャツの太った男、黒田の痴漢の過去、ゲーム内で行われて
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ネタバレこの作品は「現代の若者とは」という問へのひとつの解答であると感じる。語り手のシステマチックすぎる語り口に見え隠れする不安が、まるまる語り手と同世代の自分に重なると感じた。実存主義が形を変え文学として再び表出する作品がトレンドであるように感じるが、この作品は特にそれが色濃く出ているように思う。
腹を満たすだったり、性欲を発散するという単純な3大欲求には正直なくせして、その他の複雑な欲求を理性や社会規範、また自らの肉体を檻とすることで抑制する姿は、自律的で厳しくあるように見えながら、思考停止で生きてゆけるように自分の能力不足を何かのせいにしがちな現代の若者を見事に表していると感じた。ただ、この小説 -
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ネタバレあらすじを読んで、ずっと気になっていた小説だった。元気な時じゃないと読めなさそうだと思っていてなかなか手を出せずにいた。
学校という小さな世界に閉じ込められて暮らす生徒たちが、今自分が生きる世界とは全く異る価値観、倫理観の下に、尋常ならざる日常を何の疑問も持たずに送っている。
全編を通して何も理解出来るところが無いので、学校の存在理由や、外の世界との関わりや、何か、理解出来るとっかかりが欲しく、どんどんページを捲った。
しかし、最後までその問いには答えてくれない。
異常な世界を、異常だと思っている者がそこに存在しなければ、その世界では平常であるという事だろうか。
教育というタイトルの意味 -
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ネタバレ◼︎面白かったか
面白かったと思います。行き帰りの通勤時間ですぐ読み終わりました。
◼︎なぜそう思ったか
彼なりに色々頑張ったのにことごとく上手くいってなくて可哀想だけども、希望はなんだかありそうなところが良かったような気がします。具体的には思い出せませんが、クスッと笑えるところもいくつかあったと思います。
◼︎他人に勧めようと思うか
思いませんでした。
◼︎どんな人におすすめか
コンビニ人間とかが好きな人とかにおすすめです。作者も芥川賞受賞の会見で何らかの影響を受けているかもしれない作品として挙げていました。
◼︎読もうと思ったきっかけ
芥川賞受賞の会見の様子を偶然YouTubeで見かけて、 -
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ネタバレ人はそれぞれに描き出したルールを持つ。それを自分自身や相手に強制することで納得させ、日々を送る。世の中には強制させられたらそれを受け入れてしまう人がいる。(私自身がそうであるように)これは社会的に問題視されるルッキズムや”普通”に対する考えにも通ずるところがある。世間一般的に言われる”普通は”という思想は人によって異なることがある。それを理解していながらも私たちはその普通を知らないうちに強制していたり受け入れてしまっていたりする。だからこそ、どこに自分があるのかが分からなくなってしまうのだと思う。 するべきはまず、自分の”本当”を知り、改良していくことなのかもしれない。
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この主人公好きだなぁ〜。
ラグビー、性欲、肉、筋肉、就活…
それぞれの事柄に異常とも思える執着を感じる。
変わってるし、発達障害なのかな?って
思うくらいラグビーのシーンにあるように
一つのことに集中すると周り見えなくなる。
あと、この主人公が他の登場人物に共感してる
ようなシーンが見当たらなかった。
でも、これって小説として内面を
掘り下げてるからこの主人公の変わってたり、
サイコパス的なところが読者には読み取れるけど
この感じって本人も周りもきっと気づいてないんだろうなぁ〜。とい思った。
この雰囲気がうまく言えないけど現代社会を投影している気がした。 -
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書き出しから、安定して不安定さが醸し出される。
大事件が起きるでもなく、ある大学生男子の何気ない日常が淡々と綴られていくだけ…? いやでも何かがおかしいぞ、決定的に何かがずれている…と、読者は正体不明の不安に襲われ、ぞわぞわする胸騒ぎを抱えることになる。
道徳や倫理の観念が専ら自己の外側にしか見出せない、という点において、主人公はいわば原始的な欲求のみに忠実に従って生きる獣のようなものか、と当初思ったが、動物であっても種によっては備わっている優しさや情愛のようなものもおそらく主人公の内面から湧き上がってくることはないだろうから、さらに不気味な存在と感じられる。
いわゆるサイコパスにカテゴライ