遠野遥のレビュー一覧
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ネタバレ追記
彼はただ美しくなりたかった。だけどそれを性癖だと勘違いされ、女だと勘違いされた。
うまくいかない、なんかちがう。
でも確かにメイクは崩れているか、確かに手は汚れているか、そう自分を省みる。
この不自然さが、彼特有に感じる。
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ほう、そして改良。
スピードを上げたまま終わり、タイトルを見て思った。改"良"か。"良"で良かった、その逆でなくて。
整理しよう。
幼少期、友人に性器を触られ触らせられた。
大学生になり、女装を好み、女の子を買って家に呼ぶ生活をしている。
そして最後。
バヤシコに言われた自分自身のことについて、驚きつつも納得し、大 -
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第163回芥川賞受賞作。ふとしたきっかけで、この作品を知ることとなり、久しぶりに芥川賞作品の小説を読んだ。芥川賞の作品を読みまくっているわけではないのだが、なんか芥川賞っぽいというか、取るべくして取った作品な気がします。
表向きには現代社会に適応しているまともな人間に見えるが、実は社会に適応していように演じている、ちょっとまともでない今風の現代的な人間を描いているって感じ。今の時代の純文学ってこんな感じなんだろうなと思いました。作者は、平成生まれではじめて芥川賞を受賞した人だそうです。
純文学系の作品って、あまり小説的なストーリー展開はないのだけど、それでも小説として成り立たせてしまうのはつく -
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ネタバレ率直な感想は典型的な芥川賞作品。でも、これは作者の責任というよりは評価する側が「このぐらいの文量で、性について触れて、少し大衆とはかけ離れた感性を持たせた主人公で…」みたいな教科書的な感覚を植え付けてる気がしてならない。
肝心の内容は色々批判的に書き始めたが割と好み。主人公の陽介はあくまでドライでどこか俯瞰していて、それでいてマジョリティな感性とは少し異なり、どちらかといえばサイコと捉えられるような大学四年生。
麻衣子という完全無欠な彼女を手放してなんとなく灯を選んだりどこまでも読めない雰囲気がミステリアスで良い。
ただ、テーマの一つに性欲が中心に据えられてる気がしたのと、ここまで無感情 -
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4.0/5.0
自分に対する性自認が曖昧で、男の女の間で揺れ動く主人公。
だが、そのことに対して葛藤したり、悩んだりするというよりは、ただ「美しくなりたい」という願望の元、試行錯誤を繰り返す主人公の姿が印象的だった。
そして、人間における見た目の重要性みたいな部分にメスが入れられていると感じた。
見た目、という自分ではどうすることも出来ない先天性の要素がここまで人生に大きな影響を及ぼすことに、個人的に疑問や引っ掛かりを感じることが時折ある。だが、自分は男である以上、見た目の良い女性に惹かれるし、女性に好かれるためにカッコよくなりたい、という願望も当然ある。
そのやるせなさみたいな部分が繊細 -
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ネタバレものすごいものを読んだと思った。
文庫本を買って2年積んでいたけど、
日帰り旅行の際に
荷物が多くならないよう薄くてちょうどいいと
思ってもってきて新幹線で
読み始めたら止まらなかった。
性描写が多くて、それが全く主人公の幸せに繋がっていなくて怖かった。
凄惨な場面では主人公はいつも被害者だったけど、
女性といるときの自分の加害性には無頓着で
それも怖かった。
ストーカーのような存在に怯える女友達に
今日は一緒にいようと言って部屋に上がり込む
図々しさ、
使うかわからないけど、とコンドームを買う様子に
腹が立った。
それでいて自分が被害者の時は被害者然としていて
多様性ってこういうことなん -
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ネタバレ本当に面白かった。俺が好きなタイプの文章だった。
人間的であることを意識して、人間的なことを思考している、というふうな文体だった。
性愛と恋愛は決して違う。灯は恋愛から性愛へと徐々に移行していったということができると思うが、彼の場合はどうだったのか。そもそも恋愛だったのか。でも、おそらく、愛ではあった。
なぜこれを書いたのだろうか。思うままに書いたのだろうか。
膝の、真に人間的な、ある種の美しさが彼との対比になっていてそこがとても好きだった。
想像できないものが「破局」なのだと思うが、彼にとっての破局とはなんだったのか。
p.105 「悲しむ理由がないということはつまり、悲しくなどな -
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会社のCEOの彼氏がいながら、埋められない年齢差を嘆き、寂しさを誤魔化すようにゲームに没頭する高校生のふうか。ゲーム実況のような内容と、現実が混ぜこぜに描かれていて、現実味のない物語になっている。悪霊に取り憑かれ、何度もコンティニューすることで、ゲーム内のアバターの寿命が短くなっていくという設定だ。ゲーム内の彼女の家族は幸せそのものだった。しかし、父親の業績悪化で、一気に運命の歯車は狂い始める。曲のリズム、音程が崩れて不穏な空気になる感じ。ふうかに母親がいないのも、母親を求める記述があるのも、母親が自殺してしまったのだろうかと考えられる。Tシャツの太った男、黒田の痴漢の過去、ゲーム内で行われて
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ネタバレこの作品は「現代の若者とは」という問へのひとつの解答であると感じる。語り手のシステマチックすぎる語り口に見え隠れする不安が、まるまる語り手と同世代の自分に重なると感じた。実存主義が形を変え文学として再び表出する作品がトレンドであるように感じるが、この作品は特にそれが色濃く出ているように思う。
腹を満たすだったり、性欲を発散するという単純な3大欲求には正直なくせして、その他の複雑な欲求を理性や社会規範、また自らの肉体を檻とすることで抑制する姿は、自律的で厳しくあるように見えながら、思考停止で生きてゆけるように自分の能力不足を何かのせいにしがちな現代の若者を見事に表していると感じた。ただ、この小説