鈴木一人のレビュー一覧
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他国に対して優位性を発揮するために必要なことは、
他国に依存し過ぎない 自立性
多くの国から必要とされる 不可欠性
の2点。
自立性を高めるためには、
取引相手を分散すること
自給率を高めること
不可欠性においては、
資源を持つ
石油や天然ガス
レアアース
重要なインフラを持つ
金融
通信
技術
国際ルールを作る
などがある。
これらを自国を守るために使うことが
経済安全保障。
武器として使うことが、地経学。
アメリカファーストを志向するアメリカは、
まさに経済を武器化した交渉をしている。
が、諸刃の剣であり、これまでに培ったものを
すり減らしており、 -
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TSMC(台湾積体電路製造)がどのようにして世界最大の半導体ファウンドリーとなったのか。台湾有事が叫ばれる今だからこそ読むべきである。1987年にモリスチャンにより設立されたTSMCは、「ファウンドリー専業」という独自のビジネスモデルを採用し、当初はローエンドだったもののエヌビディアからの高性能グラフィックチップ受注獲得により評価を変えていった。顧客と競争しない戦略を徹底し多くの企業と良好な関係を築けたこと、高度な技術力、歩留まり率の向上、安定した供給力(短納期・高品質)が強みであり、従来の半導体企業とは異なる道を選んだことで、今や護国神山と呼ばれ台湾の経済安全保障に深く関わっている他、世界の
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【読書レビュー 654】
鈴木一人『資源と経済の世界地図』PHP研究所、2024年
経済安全保障について。以下、本書より。
日本唯一の同盟国であり、価値と規範を共有するはずのアメリカがリベラル国際秩序に背を向けている中で、同志国を見つけること自体が困難な状況にある。
そんな中で日本が取り得る選択肢は、リベラル国際秩序を共有すべき国々との連携が難しくとも、その価値と規範を守り、維持していく姿勢を常に見せ続けていくことであろう。ポピュリズムの嵐が永遠に続くとは考えにくく、「自国ファースト主義」の国々が主張し合う国際秩序は持続的なものにはなりにくい。
グローバル化が進む世界において、自国の利 -
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「はやぶさ」の快挙等、近年日本の宇宙開発に世間の注目が集まっています。
本書はこの宇宙開発を各宇宙先進国毎に政治的側面、社会的ニーズなどの視点から分析し、最後に今後の国際的な宇宙開発の展望を述べた内容となっています。
著者は序章において本書における分析のキーワードとして
・ハードパワー
軍事面での宇宙利用
・ソフトパワー
国家の国際的評価の向上や国内に対する政権の正当化目的での宇宙開発
・社会インフラ
社会的ニーズを満たす手段としての宇宙開発
(例:インドにおける放送衛星開発)
・公共事業
失業対策としての宇宙開発
(例:アポロ計画後に発生したNASAの余剰人員カットの回避を目的とし -
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ネタバレ地政学は聞いたことがあっても、「地経学」という言葉は初耳だった。
そんな興味から手に取った一冊。
本書では、地政学と経済安全保障を掛け合わせた「地経学」という考え方を、半導体やトランプ政権の関税政策などの事例を通じて紹介している。
キーワードは「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」。他国に依存しすぎず、同時に世界から必要とされる存在になる——この二つをどう両立するかがカギになる。
日本に求められるのは、国際秩序を守る“ルールメーカー”としての役割だと著者は説く。
私もこの考えには賛同するが、日本の意思決定の遅さは少し心配。すべての国が納得するルールを目指すよりも、ときには「納得できないなら参 -
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コロナ禍からここ3年くらい、世界情勢の生活への影響を強く実感する。物価高もそうだし、半導体問題、円安やそれによるインバウンド需要。もっと具体的に言えば、街は外国人ばかりで飲食店価格もガソリン代も高騰、米不足。
本書で取り上げるのは主にウクライナ情勢やイスラエル情勢による経済影響。キーとするのはES(エコノミック・ステイトクラフト)だが、これは経済的な手段による政治的な外交手段だ。市場が大きくレアな資源も有する中国は、時々、政治的理由で輸出入を制限して嫌がらせする。
ー 2022年以降の物価高は、侵攻を受けているウクライナが世界で消費される小麦の3分の1を生産しており、ロシアによる黒海封鎖な -
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半導体は世界的な分業、水平統合の極みになっている。かつて日本が席巻した日も今は昔。
台湾では国家プロジェクトのごとく「護国神山」としてTSMCを育てた。
資源の乏しい国がいかに世界と伍していくかのモデルと言える。
更に、創業者の精神も素晴らしく効率を求める一方、人間的な働き方と文化を確立している。
脈々と価値観が継承され「やるべきこと」と「やってはいけないこと」が明確で軸がブレない。
加えてチャレンジや学びの機会があり楽しさもある職場環境、利益還元の制度と社内のモチベーションはいかほどか。
そして、半導体製造に欠かせない電力や水の確保のためインフラにも投資を欠かさず、持続可能性を高めている。 -
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何年か前の本とは思うが勉強になる。最近の米露の関係性とトランプ大統領のウクライナに対する決断の意図がなんとなく想像できた気がした。ロシアは歴史的にアメリカに対する劣等感や敵対感が国全体にわたって刷り込まれていて、ウクライナ侵攻とその結果も今後の米露の関係に多大な影響を与える。アメリカ側としてはロシアとの溝を深めることは不本意で、今ここでウクライナという”小国”を見捨ててでもアメリカ国内の今後の平和のため、ウクライナに降伏を進めているのではないか。自分の認識している道理だけだと、ウクライナは侵攻されている側なので、静止するのであればロシア側だろと思うので。またロシアのウクライナ侵攻を中国は今後の
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ES economic statecraft とは、
経済活動を通じて政治的な目的を達成しようとすること。つまり、政治のために経済を使った他国への攻撃。
これを防ぐために経済安全保障がある。
攻めと守り。
経済安全保障のためには、
自立性と不可欠性を高める事が重要。
他国に依存しすぎると、それをとりあげる交渉をされたときに弱くなる。
グローバルサプライチェーンにおいてなくてはならない存在となることで、攻撃されづらくなる。
これまでは、各国が得意なことに特化して
お互いに依存しあうことが暗黙の了解であり、
政治と経済は分離されていた。
この関係が崩れてしまった今、経済安全保障が必要とな -
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ロシアによるウクライナ侵攻、また今後起こりうるといわれる台湾有事の予測など、昨今の国際情勢について、著者が複数名の専門家と対談する。本書は主にアメリカとロシア、中国の関係を中心に語っており、それによると、ロシアと中国は日本を半植民地と見なす、つまりアメリカと同盟国を結んでいることは完全な主権を確立していないと考えている。また日本のロシアに対する性善説は江戸時代末期からあり、実際に日露戦争の直前、桂太郎が英国と同盟を結ぶことに対し、伊藤博文は日露協商を唱えるという事例があった。さらに2022年のウクライナ侵攻時に、ロシアに経済制裁を実行したが、これは短期的に見ると効果は現れないが、相手のコスト