鈴木一人のレビュー一覧
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断片的に捉えていたウクライナ問題を体系的に理解するに有益な本だった。また、ロシア関係だけではなく、最も意識すべき中国に繋げて議論される。個人的には台湾有事とウクライナ戦争がストレートには繋がらない。その視点でも読んでみた。
2003年のイラク戦争はアメリカが全くロシアの言うことを聞かずに開戦した。それまではロシアもG8に参加し、西側との全面戦争は無いのだからと徴兵制を廃止しろと言う主張をしていた。それと前後して2003年にジョージアでバラ革命、2004年にはウクライナのオレンジ革命。そこでウクライナがNATOに加盟すると言い出した。2005年にはキルギスでチューリップ革命。この一連のカラー革 -
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ウクライナ戦争についてのジャーナリスト的な本はたくさんでていて、どれも役にたつものだが、これは一味違った視点を与えてくれるものであった。
東京大学出版会からの本で、主として東大の教授などが中心となって執筆した論文集。
ロシアの侵攻に対する国よって異なる考えがあることがさまざまな地域の専門家が冷静に分析してある。
複数の視点をもつこと、価値観を共有することが難しい多極的な世界をどう理解するか、どう捉えるか。
と言っても、価値ニュートラルな相対主義的な世界にとどまることは、今回の戦争は倫理的に許されないという感覚がある。
そのあたりをしっかり考えるのに役にたつ。 -
Posted by ブクログ
日本が置かれている経済安全保障の概要を知っておくために読み始めた。ESと経済安全保障についての考え方を知るためにはタイパの良い本。経済を用いた戦いの具体例は2章と3章に集約されている。
2章の中東に関しては予備知識がほぼ無かったので最初は難しかったが、エネルギーを欲しい日本と日本の貿易相手のアメリカと板挟みにされてるという話に終着している。ただ、サハリン2も継続するらしいので、なんだかんだアメリカも許してくれそう。
3章については半導体について。こちらは結構予備知識があったので理解しやすかった。簡単に言えば半導体画ある限りアメリカは台湾も日本も守るしかないし、チャイナは技術で世界一を獲 -
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財務真理教と同じぐらい罪深いのが、この、経団連です。彼らの会議において、シンクタンクに所属する人はいかなる価値観を持つのか。試しに読んでみたいと思い立ち、読んでみた次第です。
結果、「やっぱりな」と苦笑いすることもありましたが、ネイサンロスチャイルドと情報獲得の優位性を伝える歴史(ナポレオン戦争の戦費について)を例に挙げていたり、納得できる言い分もあり、大変面白かったです。
グローバリストへの警戒を確信した人にこそ、経団連はどう主張しているのか。その一端を知ってもらうための良い一冊であるとお薦めいたします。
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以下、ネタバレを含みます。
印象深い場所を箇条書きにまとめまし -
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Posted by ブクログ
脅しというか、戦争の道具だな。
ただ経済力というより、インターネットなどの情報が集中するハブになっており、それを極めて有効に利用できることに気がついた。
ネットは、政府や既存の規制からの独立を期待していたのだが、結局のところ、さまざまな効率、費用、利益の点から結局一極集中になり、一旦集中すると動かすことが物理的に困難になり、結局、首根っこを、米国という既存の権力に握られてしまった。
ところがこれが狙ってやったわけでなく、個別対応でこれいいじゃん、が積み重なって来たところもあって色々な思惑、力学が錯綜している。
その舞台には、国家と同じレベルで企業が対等して来たりしたんだが、結局「権力」「 -
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Posted by ブクログ
現在のウクライナ戦争、最近の米中対立と中国の台湾侵攻のリスクを中心に、国際政治的、軍事的、地政学的な観点で分析されている本
中長期的な課題として、プーチンロシアとウクライナ戦争の影響は大きいものの、日本•世界にとっての最大の脅威は中国だと指摘する。
中国は情報公開が不十分で得られるものは限られているとは言え、近年の軍拡は明らかで、台湾侵攻に関して説得力のある蓋然性が高いリスク分析がされている。
(なお、個人的にはウクライナ戦争はそのリスクを増大させるのではないかと思っていたが、ほとんどの中国政府や軍関係者は「ウクライナと台湾は別問題」と考えているとのことであった。)
また中国や欧米の強かさに