午鳥志季のレビュー一覧
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ネタバレ新米研修医が気づいた真実、引きこもり患者を救う精神科医、無差別殺人犯への緊急手術、友人の脳腫瘍に向き合う脳外科医、深夜の出産に奔走する医療チームなど、医師作家9名がそれぞれの知識と経験をもとに描く医療小説アンソロジー。
医療小説としてのドラマ性だけでなく、診療の段取り、医師同士の距離感、病院という組織の空気、患者や家族とのすれ違いが自然に描かれている。医療者が読むと「わかる」と思う場面が多い。
使命感、判断力、患者を助けたい気持ち。
一方で、自己正当化、権威性、論文や業績への欲、組織内の空気の悪さ。
医師という職業を美化しすぎず、かといって冷笑しすぎてもいないところが読みやすい。
精神科、外科、脳外科、産婦人科、内科的な視点など、作品ごとに医療の切り口が違う。1冊で“医療小説の総合病院”のように読める。
特に「闇の論文」と「空中テント」がよかった
「闇の論文」は、医療者なら笑えないリアリティがある。論文、名誉、組織、倫理の境界がじわじわ不穏になる感じが印象的。
「空中テント」は、認知症の家族の介護問題を忠実に再現していると思った。診断がくだったときに「当事者としての自覚をもつように」と言われてもピンときていなかった主人公が、その本当の意味に気づくまでの家庭がリアルだった。
「魚類譚」は少しホラーっぽい不穏な感じ
「研修医ヒナノの洞察」「救いたくない命」「春に綻ぶ」「峠を越えてきた命」ドラマになりそうな感じで好き。 -
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『君は医者になれない』の著者が描く、手に汗握る医療ミステリー。
タイムループに巻き込まれた研修医の志葉が、難病の遙ちゃんを救おうと奮闘し寄り添う姿に、とにかく胸が熱くなった。後半の謎が解き明かされていく怒涛の展開には一気に引き込まれ、気づけば夢中でページをめくっていた。
真相を知ったときは、心にチクりと棘が刺さったような痛みが残りました。
正直、何度もループする志葉にそんな奇跡いつまで続くか分からないから「もっと早く気づいて!」と焦れったくなる場面もあったけど、あの絶望的な繰り返しがあったからこそ、最後の奇跡に繋がったんだなと納得。
ハッピーエンドの読後感も最高!(麻酔科医の潤さんのその後だけちょっと気になるけど……!)
物語の背景にある過重労働や人手不足といったリアルな医療問題も考えさせられた。私たちが安心して病院にかかれるのは、医療従事者の皆さんの踏ん張りがあってこそ。現場で働く方々への感謝が止まらなくなる一冊でした。
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定年後勤めだした仕事が少なからず医療に関係しているので、一つ現役医師の小説家が書いた小説を読んでみようと思い、手始めに新潮文庫にある『夜明けのカルテ』という9人の医師小説家の短編を集めたアンソロジーを読んでみた。収録されていたのは下記の作品である。
牛島志季『研修医ヒナノの洞察』
朝比奈秋『魚類譚』
春日武彦『パイナップルのある光景』
中山裕次郎『救いたくない命』
佐竹アキノリ『春に綻ぶ』
久坂部羊『闇の論文』
遠野九重『言葉が消えるまえに』
南杏子『空中テント』
藤ノ木優『峠を超えてきた命』
それぞれ主人公が外科医だったり産婦人科だったり研究職だったり患者を抱える家族だったり。自分に身近な問題が扱われていたり、医療関係者だからこそ書き込める医療用語が出ていたりすると、読む側としても気が引き締まる。研究職を経験したことのある自分にとっては『闇の論文』に興味を持ったが、一番印象に残ったのは救いたくないのに医者と言う立場ですく若くてはならない『救いたくない命』だった。これを機に、医療小説をまとめて読んでみようと思っている。 -
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自分を攻撃してしまう自己免疫疾患、『膠原病』をテーマにした医療ミステリー。
膠原病というグループの中に、私たちが普段耳にするものから難病指定されているものまで、多種多様な病気があることに驚かされた。診断も根治も難しく、治療法が確立されていないものも多く、非常に厄介な病気だ。
作中の「完治不可能な難病を告げられる気持ちを理解できるかい」という漆原先生の言葉が、重く心に残った。
本作では、完治がなくても「寛解」を目指していく医師と患者の姿を通し、病気への向き合い方を深く考えさせられた。寛解まであと少しというところで再発した時のショックは、言葉にならない。病気と「一生付き合っていく」という現実はとても辛いものだ。いつ再発するか、検査のたびに憂鬱になり、悪い方向ばかり頭をよぎる患者の心細さが痛いほど伝わってくる。
また、現役医師が描く医療現場のリアリティと緊迫感も凄かった。
繰り返される「コードブルー」の院内放送に嫌な予感がよぎり、「先生助けて!」という叫びを皮切りに漆原のバイタルチェック、投薬の指示が飛び交いICUのピリピリした雰囲気が伝わってくる。
どうか助かってほしいと祈る気持ちでページを捲った。
医療小説としても人間ドラマとしても最高の一冊。
血が苦手な戸島くんが、泥臭く一生懸命に患者に寄り添う姿には、今回も胸が熱くなった。
そして漆原先生の医療に凛として向き合う姿が格好いい。
戸島くん、続きが読みたいから、まだ当分は「血液恐怖症」克服しないで頑張って!(笑)
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「医者が血が怖い」というのは、致命的な欠点だよね。患者の立場からすると、「診察中に先生が倒れちゃうかも……」なんて不安で、正直ちょっと怖いよね。だけど、考えてみれば最初から血に強い人間などいるのかな?。医者や看護師も、経験を重ねて「慣れて」いくものなのかもしれない。
本作は、ある事件をきっかけに血がトラウマになった医大生・戸島の成長物語だ。彼が研修先に派遣されたのは、通称「アレコー」と呼ばれる膠原病内科。そこで出会う指導医の漆原(うるしばら)は、一癖も二癖もある変わり者だが、痺れるほど格好いい。
彼女が放つ「君は勉強不足だね」「医者に向いていない」という厳しい言葉。そして「医者に一番必要なものは何か?」という問いは、医療に携わる人と患者さんがどう向き合うべきか、考えさせられた。
特に印象的だったのは、「膠原病」という馴染みの薄い病気を扱っている点だ。膠原病がどういう病気かある程度は知ることができた。
こういった馴染みののない病気や難病、希少がんを物語を通して専門医の不足や確立されていない治療法など、難病患者やその家族が直面する厳しい現状を、世の中に知ってほしいと同時に、その一助になればと願ってやまない。
現役医師が描くからこそのリアリティと、キャラクターも魅力的。特に漆原の凛とした姿が格好良く一推しだ。戸島が今後どう成長し、血のトラウマを克服していくのか。続刊を読むのが楽しみでならない。
でも、戸島の採血はまだ遠慮したい。
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面白かった!起承転結がしっかりしてて、軽くて読みやすい!少しずつ慎が変わっていく姿が印象的。恩師の姿を見て、高柴の指導を受け、頑張る姿、とても爽やかでよかった。
p.85 私はキャバクラのことしか分からないけど....。人に好かれるコッ、というものはあ
りますよ」
「本当か。教えてくれ」
真は呂律の回らなくなってきた口で言った。マキナは小さく頷いた。
「人に好かれたいと思ったときに一番大事なのは、顔よりもむしろ、声です」マキナは慎の耳元に口を寄せた。
「ゆっくり、聞き取りやすい声で喋ります。早口は自肩がなさそうでせっかちな印象になるし、ゆっくりした話し方は堂々とした印象を持ってもらえるから。声が小さいのは一番良くないけれど、大き過ぎる声量も怖がらせるからダメです。最低限の、スムーズに聞き取れはするくらいの音量がベスト」
マキナの声が鼓膜を震わせる。囁きは官能的な響きで、慎は背筋がゾクゾクした。
「最初にまず、好きだって伝えてあげてください。人は、自分を好きな相手には心を許します。相手に親しみを持ってもらいたいなら、自分から好意を示すのがマナーです」
p.258 「外科医の本領は手術である。では内科は何か。問診である」 -
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膠原病は最近テレビなどでも取り上げられるようになり、少しは認知度が増えてきたように思います。そんな膠原病内科の医師、漆原光莉と医学生の戸島光一郎が接する患者達との物語の二巻目です。
相変わらず、診察以外は自堕落な漆原と、血嫌いの光一郎のコンビがいい仕事をしていました。治らないからこその治療に向き合う2人と患者や家族とのやりとり、そして緊迫した場面もあり、夢中になって、あっという間に読んでしまいました。
「医者は、本当の意味で患者と同じ目線にたつことは出来ない」
この漆原の言葉を聞いて、光一郎はまたひとつ進歩したように思いました。
私としては、激務の漆原先生の健康が心配です。患者のために何か出来ないかと考え行動する光一郎は、これから先どんな成長をしていくのか楽しみです。
続編が待ち遠しいです。