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Posted by ブクログ
「血が苦手な医学生の成長譚」と書けば、どこかで見たり読んだりしたよくある物語と思われると思います。
しかしながら、この作品には、医療ドラマでよく見るような、腕の立つ医師により患者が完治する、というようなシーンは一切出てきません。
それは、本作品が自己免疫疾患を主な治療隊hそうとする膠原病内科を舞台としているからです。
本作品の中でも触れられていますが、自己免疫疾患は現代の医療を持ってしても完治させることはできず、症状の寛解を目指すのが治療目標となります。
医学生なのに血が病的に苦手で医師に向いていないと言われ続けていた主人公は、とある事情から大学病院の膠原病内科に助手(パシリ?)として立ち会うことになり、目の前で繰り広げられる光景に戸惑い、自らの無知・無学を痛感し、「正解」のない現実に打ちひしがれる中で、多くのものを学んでいきます。
本作品の帯には、「膠原病内科は、患者の人生を背負う科なんだよ」と印刷されています。
これは作中に出てくるセリフですが、本作品は膠原病内科を舞台にすることによって、これまでの医療ドラマとは異なる切り口の作品となっており、感心しました。
珠玉の医療ドラマ
世の中に数多ある医療をテーマにした物語の中では地味な作品かもしれません。この作品には失敗しない美人女医もゴッドハンドのスーパードクターも登場しませんし、緊迫感のある手術シーンもありません。
主人公は研修医どころかそのずっと手前の医学生。しかも血を見るのが苦手という医療を志すには致命的とも言える欠点があります。そんな志は高く座学は優秀なのに血を見ると失神してしまうヘタレ医学生の戸島くんが、膠原病内科医の漆原先生の『助手』もとい『パシリ』としてこき使われつつ、人としてそして医師の卵として成長していく物語になっています。
厳しい現実を突き付けられることもあり、一読者である自分も戸島くんと一緒に考え、学び、成長していくような気がします。
いつか自分や家族が膠原病になったとしたら。
そんな未来はない方が良いけれど、この作品を読んだ経験があることで、万一の時にはより納得のいく選択ができるかもしれません。
この作品を書いてくれた作者様に感謝します!
Posted by ブクログ
「医者が血が怖い」というのは、致命的な欠点だよね。患者の立場からすると、「診察中に先生が倒れちゃうかも……」なんて不安で、正直ちょっと怖いよね。だけど、考えてみれば最初から血に強い人間などいるのかな?。医者や看護師も、経験を重ねて「慣れて」いくものなのかもしれない。
本作は、ある事件をきっかけに血がトラウマになった医大生・戸島の成長物語だ。彼が研修先に派遣されたのは、通称「アレコー」と呼ばれる膠原病内科。そこで出会う指導医の漆原(うるしばら)は、一癖も二癖もある変わり者だが、痺れるほど格好いい。
彼女が放つ「君は勉強不足だね」「医者に向いていない」という厳しい言葉。そして「医者に一番必要なものは何か?」という問いは、医療に携わる人と患者さんがどう向き合うべきか、考えさせられた。
特に印象的だったのは、「膠原病」という馴染みの薄い病気を扱っている点だ。膠原病がどういう病気かある程度は知ることができた。
こういった馴染みののない病気や難病、希少がんを物語を通して専門医の不足や確立されていない治療法など、難病患者やその家族が直面する厳しい現状を、世の中に知ってほしいと同時に、その一助になればと願ってやまない。
現役医師が描くからこそのリアリティと、キャラクターも魅力的。特に漆原の凛とした姿が格好良く一推しだ。戸島が今後どう成長し、血のトラウマを克服していくのか。続刊を読むのが楽しみでならない。
でも、戸島の採血はまだ遠慮したい。
Posted by ブクログ
午鳥志季 プロフィール
1993年神奈川県生まれ、東京大学卒、内科医。第25回電撃小説大賞“最終選考作”『AGI‐アギ‐バーチャル少女は恋したい』(電撃文庫)にて作家デビュー
「医者にとって大切なのは、自分の力と責任を自覚することだ。なら、アレルギー・膠原病内科医に大事なのはなんだと思う」
「患者から逃げないことだ」
「自己免疫疾患は治らない。一度発症したらずっと外来に通い続けるんだ。私たちがちゃんと治療をすれば、完治はしないまでも寛解には持ち込める。逆に見当外れな治療をして病気を抑えられなかったら、患者の人生を破壊してしまう」
「膠原病内科は、患者の人生を背負う科なんだよ」
医者に一番必要なものとは? 現役医師が描く感動の医療ドラマ!
血が怖いという致命的ハンデを抱える医学生・戸島光一郎。落第にリーチが掛かった彼は、救済措置として人手不足のアレルギー・膠原病内科の手伝いを命じられる。
免疫が己の身体を傷付けてしまう難病患者を診療する、膠原病内科、通称アレコー。その外来医長・漆原光莉は、歯に衣着せぬ言動に加え、人として残念な面が多々あるものの、どんな些細な症状も見逃さない名医として大きな信頼を得ていた。そんな彼女の下で戸島は様々な患者と出会い、多くのものを学んでいく。
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